【感想】巴里の空の下オムレツのにおいは流れる

石井好子 / 河出文庫
(104件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
28
43
21
2
0
  • 文章の上手さ!!!

    この本は文の1つ1つを見ているだけでお腹が空いてくる!
    文化・風土・気候などの条件からなる料理の歴史,その料理のレシピまで丁寧に書いてある。
    そして料理を切ったり,つついたり,食べたりした時の文章表現は読者に食への欲求を感じさせてくれる。
    何より驚いたのは、この本の発表年が1963年であったということだろう!!!
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    投稿日:2015.04.05

  • 本を読んで本当にヨダレが出る

    1963年に出版されたこの本は、いまなお食エッセイの分野でもっともよく知られた本になっています。日本シャンソン界の草分け的な存在として知られ、料理の鉄人の審査員として見たことのある人もいるかもしれません。

    まだ戦後の気配が漂う1952年にパリへと渡った石井を刺激したのは、音楽はもちろんでしたが、なによりも毎日の初めて出会うおいしいごはんたちでした。ポムフリット(フレンチフライ)にグラティネ(グラタン)、そしてこの本で最もおいしそうなバターをたっぷりと使ったオムレツ。

    50年経っても、これを超える本はそれほど多くないと思えるほどの名著。
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    投稿日:2014.02.23

  • 大好きです

    あつあつとろとろのチーズとか、うんと冷えた白ワインとか、お金はかかっていないのに本当においしそう。読むだけでお腹がなりそうな一冊。
    ちょっと古風な食材の呼び方なんかも想像力がかきたてられて楽しい。
    れとともに、背中をしゃんとさせてくれる本でもあります。
    異国の地でひとり歌手として生きていくのに、どれだけの苦労があったのでしょうか。

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    投稿日:2013.09.24

ブクログレビュー

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  • tamazusa_do

    tamazusa_do

    タイトルだけでもう素敵だ。
    およそ六十年ほど前に書かれたものだと思うが、全然古さを感じない。
    世界が平均化してしまった現在よりも、色濃く異国を感じられ、味わい深い。
    流行りの美食、というものではなく、土地に根ざした伝統的な料理が紹介されているためかもしれない。

    『巴里の空の下オムレツのにおいは流れる』
     白系ロシア人の、マダム・カレンスキーのアパートに部屋を借りた。
    せまくて細くて、中庭に向かった窓があいた台所で、マダムと食事をした。
    フランス語のレッスンを取るより私と話している方が勉強になりますよ、とマダム。

    『また来てまた見てまた食べました』
    初めてパリに来たのは昭和26年。
    フランス人は楽しそうに食事をする。

    『よく食べよく歌え』
    モンマルトルは下町の人情あふれるところ。
    仕事が済んだ後の夜食とおしゃべりは一番の心がほぐれるなぐさみ。

    『外は木枯 内はフウフウ』
    寒い季節は西洋でも鍋や煮込み料理があたたまる。
    スイスでは「ブルギニヨン」と、家庭では「チーズフォンデュ」
    パリの冬は「グラティネ(オニオングラタンスープ)」、家庭では「ポトフ」南のマルセイユでは「ブイヤベース」

    『西部劇とショパンと豆と』
    西部劇に出てくる男たちが食べている、ポークアンドビーンズに憧れ、ショパンの伝記映画の中で豆をむく女性が素敵だと思ってグリーンピースが好きになった。感化されやすい。

    『紅茶のみのみお菓子を食べて』
    フランスではお菓子の歴史は古く、店頭に並ぶお菓子によって季節を実感する。

    『作る阿呆に食べる阿呆』
    パリに住んでいた頃、日本食が食べたくてお客に来てくれた日本人の偉い人たちにも、ひどい失敗料理をたくさん出してしまった。

    『とまとはむぽてと』
    トマトも果物も、汁を垂らしてかぶり付くのがおいしい。
    フランスでは、ジャンボンとよばれるハムをよく食べた。
    じゃがいもは戦時中さんざん食べたが今でも好き。

    『フランスの料理学校』
    「コルドンブルー」という料理学校へ3週間通った。

    『わが家の食い気についての一考察』
    両親、姉、弟二人の六人家族で育った。
    父は大食いで美食家。母は父とは正反対で、薄味好み。
    姉は料理がきらい。
    上の弟は味に無頓着、下の弟は食通で、どちらも妻は大変。
    母方のおばあちゃんは料理好きで、懐石料理一式を自分で作れた。

    『私のゆくところに料理がある』
    料理の随筆を書きはじめてから、料理上手と思われたり言われたりすることが増えたが、自分では上手とは思わず。食べる事に熱心なのだ。
    この十年内は、国外も国内も旅行し、旅の思い出は食べ物とつながっていることが多い。
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    投稿日:2023.12.26

  • ゆっくり

    ゆっくり

    たまに生活の匂いがする本が読みたくなって、この本はとてもちょうどよかった。ブルギニヨンとパエリア・ヴァレンシアーナを特に食べてみたい。あと柔らかなソーセージの中身を黒パンに塗りつけるようにして食べるやつ。続きを読む

    投稿日:2023.07.31

  • ☆ベルガモット☆

    ☆ベルガモット☆

    Macomi55さんのレビューで出会えた本です。ありがとうございます!
    著者は米国留学を経て1951年フランスパリでシャンソン歌手としてデビュー。世界各国の舞台出演、帰国後は歌手、エッセイストとして活躍。
    素敵なカバーデザイン(佐々木暁)。目次にユーモアがある。表題の「巴里の空の下オムレツのにおいは流れる」「また来てまた見てまた食べました」「外は木枯 内はフウフウ」「西部劇とショパンと豆と」「紅茶のみのみお菓子を食べて」「私のゆくところに料理がある」などなど。軽快なおしゃべりと料理を味わうようにページをめくるのが楽しい。
    マロニエの花を調べたり、フランスパンの温め方やレタスの味わい方を真似したくなりました。
    彼女の視点からすると、フランス人は、身を粉にして働いてためたお金でも、高い肉を買うのには惜しまない、強情だから食べものの話にまで自我を出す、たべもののことなら物知り、「焼肉は太らない」と決めてるらしい。小林英雄さん、藤田嗣治さんとの交流エピソードも素敵。石井さんの歌声が聴きたくなった。
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    投稿日:2023.05.27

  • Macomi55

    Macomi55

    (抜粋)
    オムレツは強い火でつくらなくてはならない。熱したバタにそそがれた卵は、強い火で底のほうからどんどん焼けてくる。それをフォークで手早く中央に向けて、前後左右にまぜ、やわらかい卵のヒダを作り、なま卵の色がなくなって全体がうすい黄色の半熟になったところで、片面をくるりとかえして、火を消し、余熱でもう一度ひっくり返して反面を焼いて形を整えたら出来上がる。

    いやあ、朝ごはん食べたばっかりなのに、またお腹すいてきちゃったな。石井さんがパリに渡られた(1951年頃)ばかりのころ、下宿されていたアパートの白系ロシアの未亡人に作ってもらっていたオムレツは特別美味しかったらしい。
    フランス人は卵は肝臓に悪いと決めているので、一週間に二度以上、卵料理は食べないのだそうだ。そのかわり、食べるときは出来るだけ美味しく料理する。上のアパートの家主の未亡人のオムレツにしても卵4個に対して、バターを56gほども入れていたそうだ。どんな料理にもフランス人はバターをよく使うらしい。そんなに贅沢に使ってたら、こっちじゃ業務スーパーで買って来たって2週間くらいで無くなるんじゃない(テキトー)(°_°)っていうくらい。
    このエッセイ集はもともと1963年に暮らしの手帖社から出されたもの。石井さんは戦後早々にアメリカ留学、パリでシャンソン歌手としてデビューされ、世界各国の舞台で活躍され、帰国後は歌手、エッセイストとして活躍された。
    食べることと料理が大好きだった石井さん。今では誰もが知っている、フランスのポトフやチーズフォンデュ、クレープ、スペインのパエリアなども「こんな料理があるのですよ」というふうに作り方と共に紹介されている。ちなみにポトフの作り方
    (抜粋)
    ずいの通ったすじ肉を買って、人参、キャベツ、玉ねぎ、セロリ、などの野菜を適度に切って入れ、塩で味をつけ、ぐつぐつ水を足しながら、2.3時間煮て、ブイヨンを作る。
    (略)このブイヨンの中に肉のかたまり(ばら肉)をいれ、玉ねぎ、人参、ネギも形のまま入れて、ぐつぐつ2時間くらい煮る。はじめは強火で、煮立ったらとろ火にして、最後にあくをすくいだし、もう一度塩コショウで味付けして、熱いところを食卓にのせる。スープは少し濃いめが美味しい。肉や野菜の味はこくがないから、からしを付けて食べるほうが良いが、肉や野菜の上からスープをかけて食べても美味しい。

    失礼しました(°_°)。「知っている」なんてウソでした。ポトフはスーパーでアルミパウチの容器に入った「ポトフスープ(ストレート)」と書いてあるのを買ってきて、野菜やベーコンやウインナーを入れて煮るものだと思ってました( ̄▽ ̄)。だいたい“ずいの通ったすじ肉“がどういうものなのかも分からない。ちなみに私は何でもかんでも火がすぐ通るように薄切りにして入れるので、ポトフなのかスープなのか区別のつかないものを作ってしまう。うちの家族はめんどくさがりの私の料理を食べるよりも、一食抜いて石井さんの本を読むほうがお腹も心も満たされるかもしれない。

    パリのパン屋さんやお菓子についての記述も素敵だ。以下抜粋。

    ・パリではお菓子だけを売っている専門の店もあるが、たいていはパン屋とお菓子は兼業だ。
    ・朝食用のパンは、この(バゲット)の他に、バタをたっぷり入れてあげた三日月形のクロワッサン、それからちょっと甘いお菓子ふうのブリオッシュ、甘味のないラスク風のビスコットが売られている。
    ・一月に入ると菓子屋の店頭にはギャレットが並ぶ。なにも入っていない、丸い円形のパイで、いっしょに金色に塗った紙でできた王冠が売られている。
    ・四月一日のエイプリル・フールはフランスではプワソン・ド・アヴリルといい、どういうわけか、お魚の形をしたチョコレートが店頭に並ぶ。
    ・マルディ・グラと呼ばれる謝肉祭にはクレープを食べることになっているが、クレープはたいてい家庭で作るものなので、クレープを作る時、片手に金貨を握って、片手にフライパンを持ち、うまくクレープが空中で回転すれば、幸運が掴めると言われているという話だ。

    ああ、フランス行きたいなあ。石井さんのパリ生活は60〜70年くらい前のことみたいなので、今のパリっ子にとっても知らない、古き良き時代なのかもしれないけれど。

    石井さんはこの時代にアメリカ留学を経てパリでデビューしたほどの華麗なるご経歴で、画家の藤田嗣治氏や評論家の小林秀雄氏にも手料理を振舞ったとか、パリの料理学校で江上栄子氏と一緒に学ばれたとか、住む世界が違う方といえばそうなのだが、そんな世界のことを自分たちのものだけにせず、こうやってエッセイに書いて庶民や後の世代の人々の心を満たし、知識を与えて下さっている。若い頃、玉ねぎと間違ってスイセンの球根を刻んでオムレツに入れてしまい、家族を食中毒に合わせてしまったという、今となっては笑い話になるようなエピソードも石井さんの意外な側面が見えて楽しい。
    それから、Wikiで調べたことだが、あのフランス童謡「クラリネットをこわしちゃった」の歌詞を邦訳された方だとは知らなかった。「オー、パンキャドパオ」は適当な擬音ではなく、フランス語のままなのだそうだ。

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    投稿日:2023.04.14

  • おぼろトーフ

    おぼろトーフ

    漫画で紹介されていたので、購入した本。
    全く知らない方でした。終戦直後にこんなすごい女性がいらしたとは知りませんでした。

    最近は、日本でも普通に食べられるようになったメニューなどもあり、時代を感じました。
    また、豪快(?)な方で、様々なエピソードが掲載されていて、面白かったです。
    続きを読む

    投稿日:2022.11.23

  • らじヲ

    らじヲ

    昭和38年に書かれた政治家の娘さんでシャンソン歌手の石井好子さんの食事をメインとしたエッセイ。
    パリやスペイン、イタリアなどヨーロッパで暮らしていた際に現地で食べた食事をメインに書いているので、インターネットもなく海外旅行もめずらしい時代の日本人にはわくわくするようなエッセイだったのだろうと思います。

    今は世界中とネットで繋がっているし、コロナで下火にはなったけれど若い子でも海外旅行に行ける時代だから、良い時代になったよね。
    やっぱり旅っていいな。
    続きを読む

    投稿日:2022.10.30

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