廃墟に乞う

佐々木譲 / 文春文庫
(135件のレビュー)

総合評価:

平均 3.2
9
33
63
16
4
  • 直木賞受賞作

    直木賞受賞前に読んで、面白いとおもった作品の受賞が決まってうれしかった。
    休暇中の刑事がその経験と感を働かせて事件を解決していく連作短編モノ。
    素直に面白くて、サスペンスドラマを見てるように読める。

    投稿日:2014.11.20

  • 楽しめる短編でした

    休職中の刑事なので 実際に捜査に携わるわけではなく 外周を丁寧に調査している内に 事件が見えてくるという感じの短編。
    関係者との会話も 捜査官としてではなく 一個人としてなので柔らかくそれでいて裏もあり面白く読めました。
    この方の作品は 初めて読みましたが もうひとつ読もうという気になりました。
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    投稿日:2016.12.30

ブクログレビュー

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  • iadutika

    iadutika

    このレビューはネタバレを含みます

    廃墟に乞う

    佐々木譲
    2012年1月
    文春文庫

    デビュー作以来、40年ぶりに佐々木譲「笑う警官」を読んだけど、一緒に借りた彼の直木賞作品。短編6編が収められていて、2編目に表題作。

    どの作品も、北海道警本部に所属するも、3年前の殺人&自殺事件でPTSDとなり、その影響で酒場で暴れて以来、休職している仙道という刑事が主人公のシリーズもの。休職中、知人や同僚に個人的にSOSを出されて、プライベートで、私立探偵のようにして事件に向かっていく。短編なので、真犯人を突き止めて捕まえるというものはなく、無実の被疑者から捜査の目を逸らさせるように説得したり、真犯人を嗅ぎつけて警察に知らせて捜査させるという程度のお話。

    2編目、直木賞受賞作はなかなかじんとくるものがある。最初から疑われている男が真犯人なのだが、その生い立ちや、以前の事件の担当だった仙道と犯人との微妙な信頼関係と、裏切りを疑われた状況など、犯人と刑事との切ないやりとりがあったりする。
    佐々木譲のデビュー作「鉄騎兵、跳んだ」は、モトクロスのレースの話だった。彼はミステリーに変身したの?と思ったが、どうやら手がける分野は広いらしい。

    北海道出身、立正大学中退後、大阪など各地で働き、広告代理店、本田技研で働き、小説家に。

    ◆◆◆以下、本人メモ用です、ネタ割れ注意◆◆◆

    1.オージー好みの村
    外国人だらけになったニセコ。中でもほとんどがオーストラリア人で、オージービレッジともリトルシドニーとも呼ばれる地区があり、そこの貸別荘で女性の遺体が見つかった。貸別荘をオーナーから借り、それを宿泊場的に貸しているオージーがいるが、管理者でもあり第一発見者でもある彼が、女性を殺したと疑われて連日、朝から晩まで取り調べ。
    オージーたちは地元にとっては金づるではあるが、ごみ出しなどのルールを守らないやっかいもの、嫌われ者にもなりつつある。
    頼まれてその地に乗り込んだ仙道は、疑われているオージーが、安い家賃で貸別荘の長期賃貸契約を結んでいるため、そこを処分して香港勢と組んで一帯を開発しようともくろむ不動産会社を疑う。つまり、借りてのオージーを殺人犯に仕立て上げて権利関係をクリアしようと目論んでいると見抜く。
    最初からオージーだと決めつけている地元警察を説得して、他に目を向けさせる仙道。

    2.廃墟に乞う
    千葉・船橋のラブホテルでデリヘル嬢が殺された。13年前に仙道が担当した札幌娼婦殺害事件と手口が似ている。犯人の古川は殺人で起訴されたが傷害致死となり、刑期を終えていることが分かる。
    13年前、取り調べで古川の出身地の地名を言われても仙道は知らなかった。古川にそれを軽蔑され、結局、担当から外れることになった。裁判では、通常することがない傍聴を一度だけした。幼い頃に極貧、母親に捨てられて養護施設育ちであることを知る。母親は失踪、妹は2年後に病死。幼い頃、母親が妹をダムから落とそうとして古川が体当たりをして止めたことがあった。しかし、実際は止めたのではなく一度落ちた妹が消防団に救われたのが真実だった。古川は自分が止めたと思い込んでいた。
    今回の事件で、なんとその古川から電話があった。会いたいという。古川はすでに指名手配されている。今回、仙道は古川の故郷を訪ねていた。
    古川はある火力発電所あとに仙道を呼び出す。必ず一人で来てくれと言って。仙道は一人で行った。古川は仙道に対し、取り調べで自分の故郷のことを知らないから軽蔑したことを申し訳なく思っていた。そして、本当は13年前に死刑になりたかったことも告白。あんなに恥ずかしい過去をさらけ出してまで生きていたくなかったのだ。
    そこで、警察が彼を逮捕に来る。古川は仙道に裏切られたと思って逃げ出し、発電所跡を出てダムへと向かう。そして、ダムから飛び降りてしまう。

    3.兄の想い
    ある漁港、町一番の有力漁師が、町一番に人望がある若い衆に刺し殺された。多くの目撃者の前での出来事だった。しかし、容疑者は刺したことは認めたが刃物は自分のものでないし、どうして刃物がそこにあったのか分からないとも供述している。
    容疑者は、被害者の船で働いていたが、辞めて別の船に移籍していた。その時、彼を慕う他の若い漁師も少しついていった。被害者となった有力漁師は怒り、ありとあらゆる手段で邪魔をした。地元の暴力団をも動員して。しかし、結局、新しい船の漁師が話をつけて丸く収まっていた。はずだった。それなのになんで彼は元雇い主にけんかを売り、殺してしまったのか。
    仙道が探るうち、彼の妹が一連の嫌がらせ行為の中でレイプされていたことを突き止める。それを知った兄が元雇い主に再びけんかを売ったのだ。しかし、彼は殺すつもりなどなく、刃物も持参していなかった。真相は、その場にいた連中の一人が刃物で襲いかかり、それを取り上げて、元雇い主を刺してしまったということだった。

    4.消えた娘
    家を出て行った(離婚している父親の元から出て行った)娘が、ずっと行方不明。しかし、最近、ある男の部屋からハンドバッグが発見された。娘は体を売っていたらしい。そして、男は過去にも罪を犯した連続婦女暴行犯だった。男は、拉致未遂事件を起こし、その容疑で警察から逮捕される寸前だったが、逃げ出したところを大型トラックにはねられて死亡。彼は、2000年代初頭から半ばあたりに北海道と東京で連続して監禁事件を起こした「監禁王子事件」の模倣犯だったという想定。
    問題は娘の行方だった。そんな男の部屋からハンドバッグが出てきたから、殺されたことは極めて濃厚、しかし、親からするとせめて死体だけでも見つけて供養してやりたいと、仙道を頼ってきた。
    仙道は、ミュージシャンを目指していた時にしたっていたプロデューサーの森の中にあるスタジオに目をつける。きっと、その近くに捨てたに違いない、と。

    5.博労沢の殺人
    大畠という競走馬(軽種場)牧場のオーナー(61)が殺された。名門牧場だが彼自身は古参ではなく、わずかな借金のかたに差し押さえて「騙し取った」と陰口を叩かれるような人物だった。
    17年前、バブル景気が終わった1992年、彼は殺人事件の容疑をかけられていた。彼の牧場の増築を請け負った長沼建設社長が殺された。支払いの件でもめていた。しかし、代金の一部を払うと約束して400万円を用意して待っていた日に長沼は殺された。結局、事件は迷宮入りした。
    大畠には彼によく似た性格の長男と、音楽の道に進みたかったが父親に反対されて東京の大学を出た次男、そしてすでに嫁入りした娘がいた。長男、次男と、父親は仲が悪かったので、そのどちらかが犯人であることも疑われて捜査が続いている。
    仙道は、次男が、17年前に長沼を殺したのは父親だと疑っていることを知る。調べると、大畠牧場で働く原田という青年が長沼と関係があることをつきとめる(どんな関係かは明かされない)。彼(原田)の生い立ちに関わることで、彼自身もしらなかったことを、次男が知っていて彼に話したことを告白させる。すなわち、次男が教唆して、原田に自分の父親を殺させたのであった。原田は18才、事件は17年前。原田は父親がおらず祖父母に育てられたという。読者想像ということになるが、原田は長沼の実子である可能性が高いと判断できる。

    6.復帰する朝
    仙道の復帰が間近になった頃、帯広のある女性から協力依頼。3年前の事件で世話になったホテルの従業員だった。彼女の妹が、ある殺人事件で疑いをかけられ、連日マンションにマスコミが張り付いている。繊細な子なのであれではもたない、なんとかしてくれとのこと。
    殺されたのは30才の美人。菓子メーカーの娘でレストランオーナーでもある資産家。一方、疑われている妹も、親が資産家で自分でエステを経営している。姉は単なるホテルの従業員ではなく、将来のための研修として働いていることが分かった。
    殺された30才美人と疑われている妹はよく知った仲で、レストランのオーナーと客の関係でもあった。それなのになぜ殺しが疑われるのか。
    仙道が彼女のマンションに行くと、マスコミは1社も見当たらなかった。2日前からいなくなったとのこと。姉が仙道にSOS連絡してきた時には、すでに困った状況ではなかった。不可思議である。帯広時代の同僚に聞くと、別の容疑者が浮かび上がっているという。誰かがマスコミにそれを漏らしたため、矛先がそっちに向いたのだろうとのこと。
    仙道は姉に言われるままにある女性と会う。すると意外なことを耳に。妹は以前、その女性が男を取ったとして、彼女の飼っていた猫を焼き殺す事件を起こしていた。恐ろしかったので被害届けはださなかった。彼女は、レストランオーナーの女性とも男にまつわるトラブルがあり、殺したのではないかとの見解だった。
    実は、姉はそれを見抜いていた。それを知らせるため、手のこんだ仕掛けで仙道にそのことを悟らせたのだった。
    この話では、3年前、仙道がPTSDになった事件のことが書かれている。ある女性が行方不明になり、仙道と今は帯広にいる刑事が2人で聞き込みをしたとき、ある若い男のマンションを訪ねる。仙道はなにも感じなかったが、もう一人は怪しいと睨んだ。警察犬を連れて男のマンションに戻ると、激しく吠える。しかし、男は出てこない。窓から逃げ出した。マンションの中では首を切られた女性。切られたばかりだった。そして、男は逃げたあげくに飛び降り自殺。
    さっきまで、男も女も生きていたのに自分の眼力のなさのために一度に2人の命が消えた。そのシーンがフラッシュバックしてくる。

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    投稿日:2021.03.29

  • Wind

    Wind

    このレビューはネタバレを含みます

    事件に意外性も無いし、オチが雑過ぎて自分には合わなかった本。

    特に「博労沢の殺人」、「廃墟に乞う」の話の最後、
    「え、これで話終わり? 雑すぎない?」とつい口にしてしまった。

    ここ数年で1番2番を争う酷さだった。
    ※あくまでも個人的な意見です。

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    投稿日:2021.02.26

  • かみりこ

    かみりこ

    休職中の刑事が事件解決。…そんなのアリ?
    とはいえ面白かった。
    事件の捜査員の捜査はもちろん、彼らのプライドを傷つけることなく事件解決。本当に仙道孝司は出来た人間だ。
    それぞれの事件も背景に良くも悪くも人間らしいものがあり、事件解決もホワッとした何か考えさせるような締めくくりで、そこが仙道とリンクしてるようでよかった。続きを読む

    投稿日:2020.12.08

  • syukashizuka

    syukashizuka

    このレビューはネタバレを含みます

    しんと静まる北の空気。
    何となく分厚い雲に覆われている北の大地。その雰囲気は、かなり伝わってくる。派手さは無いので、心の浮き沈みはそう無いが、そう悪い作品でも無い。仙道の心が天気に表れているようだ。淡々と、でも着実に頁を繰っていける作品だ。どっしりとした安定感が魅力。

    「兄の想い」が良かった。
    実直な若き漁師・石丸が、別の統の漁師・竹内を衆目の中で刺殺した。石丸は、殴りかかった事は認めているが、自分が刃物を所持していたはずがないと主張。その齟齬の裏に潜む物とは何か。また、真面目な石丸青年が、そもそも何故竹内に殴りかかったのか。警察物は、ミステリィではなく、人情物として描かれている物の方が好みだ。ベテランの刑事が、会話の中でホシを落とすシーンこそが見物だ。又、隠された真相にこれまた人情が絡んでいる物が良い。その点では、この話は良かったと思う。頑なに口を閉ざす石丸は、何を守っているのか。その先に待つ真実は残酷だった。でも、そこにある家族の絆にちょっと感動した。あんなお兄ちゃん欲しい。

    あとは、あんまり。
    これと言って目立った作品は無い。短編集ながら、トータルで判断せざるを得ないような一冊だった。きらっと光る話は無いが、全体として非常に安定して纏まっている。でも、直木賞にするには、ちょっと魅力不足かもしれない。佐々木譲なら、「警官の血」の方を推したい。

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    投稿日:2020.11.08

  • tikuo

    tikuo

    休職中の刑事、仙道に所に個人的に舞い込む謎解きの依頼を追う短編集。ここのところ、なぜか取る本取る本短編集なので、他の短編集と平行に読んでみた。

    オーストラリア人が集まるようになったニセコで、オーストラリア人が経営していたコテージで女性が殺された。当然持ち主が疑われるが、友人たちはそれはないと信じている。真犯人は誰か。

    一応それぞれの作品が謎解きであり、犯人は誰かを考えさせられるのだが、それぞれ突然終結する。ミステリでは有るのだが、純文学的な手触りの作品群である。というのも、オチの部分は叙情的でありぼんやりと終わらせている作品が複数有る。

    全体にかなり強めの動機が用意されているため、オチの部分はぼんやりとしていても、普通の読解力があれば、誰がどう関わったのかというのはわかるはずだ。

    ただ全体に、わかるけど弱い作品となってしまっているのも、強い動機に依存しすぎているところが有るのではないか。

    直木賞をとったらしい作品で、わかりやすさと読了感はよかったものの、6本もいらないから2本くらいの中編にしてほしかったと思う。仙道のところを頼りに来る一般人が多すぎるのも鼻についた。
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    投稿日:2019.08.15

  • 読魔虫

    読魔虫

    H31.4.1 読了。

     休職中の刑事の事件簿。連作短編集。格闘なし。銃撃戦なし。そのためか警察小説にしては、読んでいて物足りなさを感じた。

    投稿日:2019.04.01

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