【感想】ハーモニー

伊藤計劃 / 早川書房
(683件のレビュー)

総合評価:

平均 4.3
298
220
80
11
4
  • 生きていれば日本の当代最高のSF作家の作品に

    虐殺機関の世界線から延びるディストピアSFの到達点でしょう。
    例の国が崩壊した世界観というのは、日本人の嗜虐心と極めて危険な表現の限界ではあります。
    この作者の作品は素晴らしいが、ディストピアSFを何冊か読んだ後で読むことをお勧めする。
    純粋なくらいに悪意にも善意にも満ち溢れた世界に!
    人類のハーモニー…。
    既に技術的に可能なのが背筋を震わせます。
    伊藤計劃、暗殺されたののでは、とか少し真剣に考えてしまいます。
    星5つ。
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    投稿日:2017.11.02

  • 「虐殺器官」が面白かったので期待が大きすぎた

    体内に埋め込まれた医療分子により病気のない世界を作り上げた。
    そして社会システムまでも再構築し、個々の暴力や国家的な争いなどこの世界に悪影響を及ぼすものは監視し排除した優しさや思いやりに満ち溢れたユートピアを確立した世界。
    そこまでは良かったのですが・・・・。
    昨年アニメ映画化されてるみたいなんですが、あまり話題にもなってなかったので、正直アニメ化しても感想はそんな感じかな~って思います。
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    投稿日:2016.09.17

  • これぞ傑作SF

    設定が興味深いし、それを物語によく活かしている。SFの傑作だと思う。

    HTML的な文章がとても読みにくいのですが、最後の最後にその意味が分かって、あっ、と納得しました。

    投稿日:2016.04.27

  • 自分の中の「SF」が変わった

    失礼ながら著者のことも、ほとんど知らず「なんか小説が読みたい」でお得だったときに購入しました。
    正直、SFはイメージ的にロボットがかくかくしているという、貧困なものしかなかったため、読んでみてそのイメージがあっさりと覆され、夢中になって読んでしまいました。

    完璧な健康状態を維持し、有害なものは全くない世界。
    現在の医療の進み方を見ていると、近くはないけどいつかは来るのではという現実的な仕組み。統一された「平和」な世界と、汚れた生の「野蛮」な世界。
    もし自分がそこにいたら、やはり「平和」な世界を選んでしまいそう…。
    SFなのに、こんなに自分が入り込める小説は久しぶりでした。
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    投稿日:2015.12.20

  • 慈母によるファシズム

    読み切るのにちょっと時間がかかったけども。虐殺器官の後の人類の話。世界平和に向けて究極の『何故何故』を追求した社会の行く末、みたいな。こういう、人が個を成形するためにあると思っている精神要素を、生態機能としてロジカルに追究する物語は嫌いじゃない。続きを読む

    投稿日:2015.10.03

  • いまいち

    『虐殺器官』があまりにも良かったので購入したが、こちらのほうは今一つだった。現在、私たち自身が苦しんでいる問題がすべて解決された世界を批判する主人公たちは、若干金持ちの遊び的な感じで、ぴんと来なかった。大体女の子ってあまり中二病にかからないのにな、みたいな感じがした。文体も新しすぎて、私にはあまり美しいと思えなかった。
    続きを読む

    投稿日:2014.07.02

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ブクログレビュー

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  • aqua

    aqua

    このレビューはネタバレを含みます

    人間に意識や意志は必要か、そうでないか。最後まで読んでも自分の中で答えが出せなかった。
    争いもなく自死もない世界は望ましいのだけれど、「わたし」というものが無くなったら、それは生きている意味があるのだろうかと悩んでしまう。時には自らを傷つけもするこの自我を、どれだけ厄介であっても、持ってしまった以上は捨て去る勇気は出ないだろうなと思う。
    読んでいる最中、病気や体調不良をなくしたいという気持ちと、空気を読むなんて真っ平御免、何にも指示されたくないという気持ちが拮抗してつらかった。
    ユートピアでありながらディストピア。少女が夢見た世界を、少女自身は見られなかったのが切なくて、でもその決断をしたトァンのことも嫌いになれなかった。私の印象では、終盤でトァンがどんどん魅力的になっていった。真実を知ることでシンプルになっていったのかもしれない。大人になったとも言える。ミァハを神格化する向きが無くなったからかもしれない。
    最終的に色んな要素が削ぎ落とされ、ミァハとトァンの個人的な話になっていくところが良かった。世界を元少女たちが動かしているという、すべてはあの、本気かどうかも分からないたわいもない会話から生まれたのだと思うと感慨深かった。

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    投稿日:2024.03.27

  • apapatti

    apapatti

    ・こちらのほうがなんとも残ってる
    ・重い本を持つことは社会的正義に反する
    ・ワッチミーによる完全監視社会
    ・こどもは守られなければならない
    ・スコアリング ドミネーターみたいな社会感
    ・キアン、ミァハ
    ・ひところしのほんは良くない
    ・リソース意識
    ・さよなら、わたし、さよなら、たましい。
    続きを読む

    投稿日:2024.01.14

  • たろう

    たろう

    ユートピア感のあるディストピアの話は個人的にとても大好き。終わり方も最高に好き。
    戦争や暴力、疫病や無秩序は間違いなく人の不幸を招くけれども、逆に振り切れば(完全な健康と秩序)人類は幸せになれるのか。「病気にならないこと」と「病気になることが許されないこと」は似て非なるものではあるけれど、じゃあどうすれば人類は幸福になれるのかと言われると難しい。社会性とプライベートを両立させるためには、人は傷つきながら進むしかないんだろうな、と思う。続きを読む

    投稿日:2023.12.16

  • かんろ

    かんろ

    SF小説が少し苦手ながらも一気に読了。壮大なストーリーでまだまだ余韻が抜けません。こんなユートピアは厭ですね……。ありきたりな言い方出すが、色々と考えさせてくれました。文章が好き。ミァハの、孤独への持久力は紙の本がいちばん頑丈、という意見に頷きました。続きを読む

    投稿日:2023.11.03

  • keiko

    keiko

    勧められなかったら読まなかった本。
    すごい完成度の高い未来の世界に次々と予測出来ない事が起こる。
    この世界ならではの少女達の自殺の動機。
    なかなか斬新な一冊。

    投稿日:2023.10.22

  • おうどん

    おうどん

    このレビューはネタバレを含みます

    何度読んでも面白い!優しさに殺される世界の少女たちの話。
    世界を巻き込む規模の話で、最終的に世界は大きく変わってしまうけど物語の形としてはひたすら主人公の個人的な話で、セカイ系だな〜としみじみ
    トァンが良いキャラしてる。好き。
    なんのために考えて生きてるんだろうってたまに思考するけど、そういうものをロジカルに突き詰めたSFでとても引き込まれる。
    最後は世界が幸福で満ち溢れる「ハッピーエンド」だけど、意志をもつ私たちからしたら素直にそう受け取れないのも良い。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2023.10.17

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