【感想】山月記・李陵 他九篇

中島敦 / 岩波文庫
(65件のレビュー)

総合評価:

平均 4.3
34
15
10
2
0
  • 岩波文庫の充実した注釈をぜひ電子書籍で

    岩波文庫が電子書籍で読めるということは、オールドファンにとってはとても幸せなことだ。中島敦の作品は、もう青空文庫ですべて入手できるが、それでもこの「山月記・李陵 他九篇」という作品集を買う価値はどこにあるか。それは、岩波文庫に特徴的な充実した注釈にある。「李陵」の冒頭の中島敦の名文から立上る荒涼とした辺境のイメージは、最初の1ページだけで九個ある注釈がしっかりと具現化している。電子書籍の本書では、この注釈がハイパーリンクされており、簡単に注釈文を読めるのがうれしい。中島敦が初めてという方は、「李陵」、「弟子」、「文字禍」、「狼疾記」などの名編を収録した本書を今から味わえることが非常にうらやましい。続きを読む

    投稿日:2014.01.09

  • まさに、引き込まれました。

    一気読み。
    さてはて、小説技法は進歩したのでしょうか。
    それとも、小説は技法ではなく、気合いなのかな。
    いや、面白かった。

    投稿日:2016.03.18

ブクログレビュー

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  • djuax

    djuax

    詩によって名を成そうと思いながら、進んで師に就いたり、求めて誌友と交わって切磋琢磨に努めたりしなかった。己の珠(たま)ではないことをおそれるが故に、あえて刻苦して磨こうともせず、己の内なる臆病な自尊心を飼い太らせる結果になった。この尊大な羞恥心が猛獣(虎)だった。▼人生は何事をもなさぬには余りに長いが、何事かをなすためには余りに短い。中島敦『山月記』1942

    彼は殆ど本能的に「自分は自分が思っている程、自分ではないこと」を知っていた。『光と風と夢』1942

    夜、床に就いてからじっと眼を閉じて、人類が無くなったあとの・無意義な・真黒な・無限の時の流れを想像して、恐ろしさに堪えられず、アッと大きな声を出して跳上った。中島敦『狼疾記』1976
    続きを読む

    投稿日:2023.07.13

  • アワヒニビブリオバトル

    アワヒニビブリオバトル

    100冊ビブリオバトル@オンライン第19ゲームで紹介された本です。オンライン開催。チャンプ本。
    2020.08.22〜23

    投稿日:2023.05.04

  • figo2011

    figo2011

    短編集で一つひとつをゆっくりと粗食しながら読みたい一冊。李陵の生きざま・心情が深い。とても深い。

    ”ゆっくりと”、というのはやはりちょっと難しい。さらっとは頭に入ってこない。

    図書館から借りていたこともあり、全体の3分の2くらい読んだところであきらめました。続きを読む

    投稿日:2022.10.10

  • 紗井谷

    紗井谷

    このレビューはネタバレを含みます

    『文字禍』が少し恐ろしい作品です。考えてはいけないことを考えてしまった人の話です。「余計なことは考えずに文字を使いなさい」と、いうことなのかもしれませんね。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2022.10.02

  • ymm25

    ymm25

    虎への変化がすんなり受け入れられる書き口からの、ストレートに響くその哀愁
    なんだこれおもしろい
    普通の高校って国語の授業でやるのか、高校で先生の解釈とか聞きながら読みたかった



    「飢え凍えようとする妻子のことよりも、己の乏しい詩業の方を気にかけているような男だから、こんな獣に身を堕すのだ。」
    社に飼われている私は身をつまされる思いであります
    続きを読む

    投稿日:2022.09.26

  • tulufu

    tulufu

    又吉さんのYouTubeで紹介されていた本

    人生は何事もなさぬにはあまりにも長いが、 何事かをなすにはあまりにも短い。

    という言葉で有名だが、今の私には李徴が虎になり、人間の部分をしだいに失いかけてはじめて気づく、自身がかつて持っていた過剰な自己意識、根拠のないプライド、虚栄心を悔やむ部分が、我が身に照らしこの歳になって胸が痛む。

    かつての私は李徴そのものではなかったか。虎になりかけていないか。

    短いが、全てに無駄がなく、そして誰もが持っている人間の目を背けたくなる本性が表現されているからこそ、人生の座標軸を確かめるために、繰り返し読まねばならない名著だと思う。
    続きを読む

    投稿日:2022.02.03

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