【感想】森林の崩壊―国土をめぐる負の連鎖―

白井裕子 / 新潮新書
(6件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • 東 鮪

    東 鮪

    木材を大いに消費し、森林に関わる産業に従事している為、こちらの本を手に取りました。

    現場を知らない人が、全国で画一的な補助金制度を作り、林業という地域性が非常に強い業界の足かせとなっている現状。林業の補助金制度に着目していましたが、日本社会のあらゆる問題にあてはまることと思います。

    本書の中でありました、どこの地方に行っても似たような街並み、地域性が見られないというのはよくわかります。地方に行った際に、個々のお店や狭い範囲で地域性を感じる場面はありますが、街全体に地域性を感じる事はあまりありません。これらは、地域性を勘案しない画一的な補助金制度や規制の結果なのではないかと考えさせられました。

    あまり欧米の価値観や、個人の意見をはっきりという文化を礼賛するような事は好きでないのですが、あの美しい欧州の街並みというのは、守ろうという強い意識や、現場にこれからも長く携わる、技術や知識のある方に責任と権限を持たせる仕組みが確立されて、はじめて作られるものと知りました。決して補助金や規制によってコントロールできるものではないようです。現場を知ることが大切ではなく、現場が大切です。

    日本の伝統木造建築が守られ、国内の木材の価値が上がり、森林も豊かとなる好循環にどうすれば変えられるのか。少なからず森林と関わる産業に従事している者として、この視点は持ちたいと思います。
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    投稿日:2022.02.06

  • 香菜子(かなこ/Kanako)

    香菜子(かなこ/Kanako)

    森林の崩壊。白井裕子先生の著書。日本の森林行政や森林管理の問題点がよくわかります。現行の森林行政や森林管理は無駄が多くて旧態依然。誰のための森林行政や森林管理なのでしょうと思いました。

    投稿日:2018.01.18

  • kerukamo

    kerukamo

    国土の三分の二の森林を守り育てているのは人口の0,05%にも満たない5万人の人口。近代の優等生としての日本が如何に自らの国土を痛みつけてきたかということがよくわかる。本レポートを世に問うた著者の志に謝するべき。続きを読む

    投稿日:2017.02.05

  • ホリウチ ダイ

    ホリウチ ダイ

    大学のレポート作成の資料用に。
    少し古い情報ですが、数値以外の部分や当時の状況が端的にまとめられていて利用しやすかった。

    投稿日:2014.10.31

  • のり

    のり

    本書の半分は森林の話、残りの半分は木造建築の話である。
    森林の話は業界では周知の内容であり新鮮味は無いが、新書という形で広く世の中に知られる事に意味がるだろう。
    林業は三竦みの状態にある。ヘビとカエルとナメクジが牽制している。そしてそこには問題解決の特効薬が無い。
    本書を読んでも何も解決しないが山に関心を持つということが大切である。
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    投稿日:2012.01.02

  • yuichi

    yuichi

    長良川流域では、人為的に杉を大量植林した。これとは対照的に昔からヒノキが自生もしていた木曽川流域は、そこにある森林資源と結びついて木材地場産業が育ってきた。

    林業の補助金制度は、それを日々担当している者すら混乱するほど煩雑だ。

    補助金をもらう条件を決める5機能
    山地災害防止機能 水源涵養機能 保険文化機能 生活環境保全機能 木材等生産機能

    日本で木材価格を吊り上げているのは、木を運び出すコストである。

    その地にかなった林業をすすめるべきだ。優良材が収穫できる樹種が勝手に自生するような土地なのか。戦後、はげ山となった山肌に、広葉樹より育ちやすいと思われている杉、檜、松をただ植林しただけなのか。もとは広葉樹林でも、それを針葉樹の人工林に変えても立派に育つところなのか。林業に向かない土地は、もとの自然に戻す方法もある。
    林業の世界では、広葉樹は針葉樹より育てるのが難しいと思われているが、植物生態学ではそうもいっていない。私が訪問した人工美林の所有者は広葉樹も植えていたが、見事に育てていた。
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    投稿日:2009.02.07

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