【感想】海の仙人

絲山秋子 / 新潮文庫
(132件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
37
55
22
2
0
  • 薄いけれどギュッと詰まっています

    あらすじだけ要約したら「なんじゃこれは」と言いたくなるような話ですが、それでいて読ませます。前半で、ともすると細部のウマさだけを読まされているような気がしてくると、家族とか会社の同期とか人の死とか、人生の時間の経過を感じさせるようなフレームが後半に向けて待っています。

    終盤は時間があれよあれよと流れていくのですが、あるシーンでの、主人公の友人のたった一行のセリフで時間の経過がグッと感じられます。目立つ所ではないのですが、これには感心しました。
    続きを読む

    投稿日:2014.05.01

  • 時の過ぎ行くままに

     200ページそこそこの中で、タイトルどおりの仙人のようなゆっくりとしたスローライフが書かれているにもかかわらず、あっというまに時代は過ぎていきます。読んでいて(よい意味での)不安定感・・・胸騒ぎ??を覚えました。 ファンタジー要素もあるので、苦手な方はご注意を。続きを読む

    投稿日:2014.06.03

ブクログレビュー

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  • ほげ

    ほげ

    作者が描く風景とメッセージが胸に流れ込んできて、いい読み心地でした。絲山秋子さんの物語はどっしり背中を預けて読めます。

    投稿日:2024.03.18

  • mumin

    mumin

    切なさが残る。
    読み終わってすぐはあっさりとした感覚だった。でも、この本のことを考えると少しずつ心の奥底に切なさが降り積もっていき、今はずっしりとした気持ちになった。

    会ったこともないはずのファンタジーに想いを馳せる。彼は一体誰なのだろう。とても不思議な存在で、そこにいなくても誰も困らないし、いつかきっと忘れてしまう人。それなのに会うと嬉しくて心が温まる人。まるで人の希望が具現化したような人だな。

    不器用でも、傷を抱えていても、孤独でも、人は生きていかなくてはいけない。私たちはみんな、孤独とともに生きるのだ。静かな夜にじっくりと読みたい一冊。 
    続きを読む

    投稿日:2023.01.03

  • nakaizawa

    nakaizawa

    「海の仙人」絲山秋子著、新潮文庫、2007.01.01
    170p¥380C0193(2022.09.30読了)(2009.04.20購入・拝借)
    絲山秋子さんの本が、何冊か手元にあるし、薄くて取りつきやすいので、骨休め的に読んでいます。この本が三冊目です。
    薄いけど、お気楽な内容ではありませんでした。
    登場人物
    河野勝男、主人公、海の仙人
    ファンタジー、出来損ないの神
    村井豊、船主
    中村かりん、ニックネームが部長
    片桐妙子、元同僚
    澤田、元同僚

    ☆関連図書(既読)
    「袋小路の男」絲山秋子著、講談社、2004.10.29
    「イッツ・オンリー・トーク」絲山秋子著、文春文庫、2006.05.10
    (「BOOK」データベースより)amazon
    宝くじに当った河野は会社を辞めて、碧い海が美しい敦賀に引越した。何もしないひっそりした生活。そこへ居候を志願する、役立たずの神様・ファンタジーが訪れて、奇妙な同居が始まる。孤独の殻にこもる河野には、二人の女性が想いを寄せていた。かりんはセックスレスの関係を受け容れ、元同僚の片桐は片想いを続けている。芥川賞作家が絶妙な語り口で描く、哀しく美しい孤独の三重奏。
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    投稿日:2022.09.30

  • hito-koto

    hito-koto

    このレビューはネタバレを含みます

     ~森の青葉の蔭に来て なぜに寂しくあふるる涙 想い切なく母の名呼べば 小鳥答えぬ亡き母恋し~♪ 霧島昇と高峰三枝子の「純情二重奏」(1939年)。この物語は「孤独の三重奏」でしょうか。絲山秋子「海の仙人」、2007.1発行、文庫。ファンタジーの世界が広がっていました。 

    レビューの続きを読む

    投稿日:2022.03.18

  • yoooo☻

    yoooo☻

    リアルと不思議に浸った本。
    ちゃんと自分を律する大人たちの、安らぎと悲しみと愛情。
    とても丁寧な思いやりと、心地よい距離。
    素敵な風景が豊かな表現でいつまでも読み続けたい気持ちになりました。

    もっと分厚いページにしてほしかった。
    せめて、あと1ページほしい。
    それもファンタジーということか。
    続きを読む

    投稿日:2021.08.21

  • nekotaro

    nekotaro

    恋愛、結婚、友情、生活、出世、家族、人間って色々な悩みや楽しみの中にも沢山の孤独を背負って生きているんだなって深く感じさせられた一冊でした。

    東京でサラリーマンをしている主人公は宝くじが当たって福井の敦賀で自由で孤独な仙人の様な暮しを続けていたある日に"ファンタジー"と言う不思議な神様が出現し主人公の家に居候する様になる。"ファンタジー"はその存在を感じられる人とそうでない人に分かれる。

     そんな不思議同居人との田舎暮らしの夏に海岸で仕事中毒なOLと知り合い付き合い始める。

    遠距離恋愛を重ね年月が過ぎたある日に彼女が末期ガンと知らされる。


     彼女を失った主人公は元の孤独な仙人生活に戻るが元同僚である女性が思い出の貝殻をきっかけに8年間途絶えていた主人公に遭いに行く。

     不思議で柔らかな感じで爽やかな青春物かと思いましたが深いです。流石ですね絲山秋子さん、、最後のシーンで視力を失った主人公とファンタジーの会話と8年を経て遭いに来た彼女・・・泣きそうになりました。
    続きを読む

    投稿日:2021.04.18

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