【感想】二度はゆけぬ町の地図

西村賢太 / 角川文庫
(55件のレビュー)

総合評価:

平均 3.7
9
22
14
3
2
  • なまなましい私小説

    学歴もなく自らの欲望に自制もできずに思うがままに生きようとして、それもまかりとおらない青年の物語。その露骨で下品とも思える単語単語に嫌悪感を覚えることもあるが文章の完成度が高いのは否めずに読み進めてしまう。著者の本ははじめて読んだが、別の作品も読まざるを得ないか。続きを読む

    投稿日:2014.01.03

ブクログレビュー

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  • orii_k

    orii_k

    短編4部作。この本もやっぱり面白い。
    主人公の貫多イコール西村賢太さん。
    きっと自身の経験を踏まえつつは作品に落とし込んだのだろう。
    全作とも大変面白い!

    投稿日:2022.11.08

  • 官兵衛

    官兵衛

    「また君か。今度は何?」
    と、口に出しそうになりそうになる。余計なお世話だと気が付いた。

    厳しい文体とは裏腹に、しょうもない事が書かれいる。しかし時折見せる、腐った患部を見せつけられるような、顔を背けたくなるような描写があり、そこに美化しきれないヒトの生態がある。

    下手なホラー小説より、ずっと怖いと思いました。
    続きを読む

    投稿日:2022.10.08

  • おさるさん

    おさるさん

    苦役列車を読んで二作目。
    私小説なので主人公は変わらず、過去の出来事が物語になっている。
    彼の考え方や物事の捉え方自体がコンテンツであり、なるほど彼のような「怠惰」な人格が出来上がる過程や行動の理由がよくわかるのが、西村さんの私小説の良さだと思う。
    苦役列車に比べ⭐︎一つ減らしたのは、苦役列車に出てくる短大生と彼の対比がとても素晴らしく、彼のキャラクターや生き様を際立たせていたのでむしろ向こうに感動したことが大きな理由です。
    なので、この小説もとても面白かったし、定期的にいろんな作品を読んで彼の言葉や思考に触れたいと思ってしまう不思議な魅力があると思う。
    続きを読む

    投稿日:2022.08.09

  • suenaganaoki

    suenaganaoki

    西村賢太にどハマりしています。
    3月から「人もいない春」「小銭を数える」と立て続けに読み、本作が3冊目。
    手に入れられる著作は全て集め、年内には読破したいところです。
    ただ、西村さんの著作は絶版になっているものも多く、それが心配。
    再出版してほしいものです。
    さて、本作も西村賢太の分身である「北町貫多」が主人公。
    西村さんは、「貫多」シリーズを50作以上書いています。
    短編4編を収めた本作は、貫多が16~25歳の話です。
    なぜ、年齢がそんなに正確に分かるのかというと、「本の雑誌」(6月号)が西村賢太特集を組み、その中に「北町貫多クロニクル」と題して、貫多の年表が収録されているのです。
    これはファンにはたまらないでしょう。
    なかなか本題に入れません。
    本作で貫多は、中卒の日雇い人夫として相変わらず明日の見えない生活を送っています。
    「貧窶の沼」は、そんな17歳の貫多が上野赤札堂前でナンパした佐久間悠美江と付き合い、やっと見つけた居酒屋でアルバイトする日々を描きます。
    4度目の逢瀬で悠美江と肌を重ねることになりますが、あることが原因で貫多は悠美江に幻滅します。
    卑猥過ぎて、ここにその原因は書けませんが、あくまで身勝手な貫多は、こう考えて悠美江と付き合い続けます。
    「これから自分には、心底から本当に愛しく思える、可愛い恋人といくらでも出会えるチャンスもあるだろうから、その日まではこの小汚い悠美江を一種の『練習台』として、いろんなことを試してやろう、とも考えたのであった」
    「春は青いバスに乗って」は、25歳の貫多がバイト先の先輩をカッとなって暴行し、警察に捕まって留置所で過ごす日々を描いたもの。
    「潰走」は、16歳の貫多が高齢の大家を相手に家賃を踏み倒す話です。
    「腋臭風呂」は、18歳の貫多が空いている銭湯を見つけてくつろいで入浴していたら、腋臭の男が入ってきたという話(しょーもない笑)。
    その後、月日を経てて39歳の貫多がホテルに呼び出したデリヘル嬢が腋臭だったため往生し、銭湯の一件を懐旧するという展開となっています。
    常識って何だろう、普通って何だろう。
    西村さんの小説を読みながら、48歳のぼくはいつも考えています。
    それから、「金輪際、きれいごとは口にすまい」と心に誓うのであります。
    続きを読む

    投稿日:2022.05.23

  • getdownto

    getdownto

    私のブログ
    http://blog.livedoor.jp/funky_intelligence/archives/1993998.html
    から転載しています。

    西村賢太作品の時系列はこちらをご覧ください。
    http://blog.livedoor.jp/funky_intelligence/archives/1998219.html

    タイトルを見てすぐに分かった。著者の西村賢太(主人公の貫多)があちこちで不義理を働き、再訪することができないのでは、と。

    当たりだった。あまりに振り切った不義理に拍手をしたくなるほど。が、こちらも短編4つで構成されており、そのうち2つは他作品にて読了済みなので、半分の2つだけがお初。読了済みのものも面白いので再読したけど。

    「貧窶の沼」
    「けがれなき酒のへど」にて読了済み。
    http://blog.livedoor.jp/funky_intelligence/archives/1993795.html


    「春は青いバスに乗って」
    公務執行妨害で逮捕された西村賢太の一人称小説。警察署での取り調べ、留置場での他者との交流などの体験談が生々しい。

    「潰走」
    貫多を主人公としての三人称小説。16歳の頃、雑司が谷は鬼子母神のアパートに引っ越してきたはいいが、家賃を滞納しまくり家主である老夫婦とバトル。好好爺が厳しい爺さんキャラに変貌する様子が面白すぎる。
    そして貫多の毒付きがまた凄い。よくもまぁこんな言葉が出てくるもんだ。
    「この乞食(ほいと)ジジイに白癬(しらくも)ババアはよ、そんなに12000円が大事だと言うんなら、貴様ら12000円の為に余生を台無しにされてみるか」
    まぁ、これは実際に発した訳でなく、独り言なのだが。

    「腋臭風呂」
    「けがれなき酒のへど」にて読了済み。
    http://blog.livedoor.jp/funky_intelligence/archives/1993795.html
    続きを読む

    投稿日:2022.01.22

  • がんちゃん

    がんちゃん

    生々しい描写、どこまでも生々しい、いやすでに生崩れしている。生の部分が液ダレしている、ぽとぽと落ちている。黄色いシミも、赤い血も、小銭の為にいきりたつ老人の形相も、尿道の奥から放たれるとんこつラーメンの匂いも、とにかく垂れている。続きを読む

    投稿日:2021.02.04

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