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東川篤哉 / 光文社文庫 (88件のレビュー)
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総合評価:
たんと
4
ユーモア・ミステリのスタイルはデビューの前から
全作品、いわゆる安楽椅子探偵モノの体裁をとっており、読みやすくまた後味も悪くありません。 時間つぶしに肩肘張らないお手軽な謎解きミステリを、という人に向いていると思います。 ≪収録作品≫ ●中途半端な…密室 連続婦女暴行事件が起きている町で、金網で囲まれたテニスコート内で腹部をナイフで刺され死んでいる男が発見される。コートに入る唯一の出入り口は内側から鍵がかけられており、現場は密室だった。テニスコートに屋根がないことを除けば・・・。 中途半端な密室状況下での事件。金網を乗り越えれば出入りできるのになぜ内側から鍵がかかっていたのか? 不可能犯罪ならぬ不可解犯罪な謎に、名探偵十川一人が新聞記事を手がかりに挑む。 読み終えてみれば全ての手がかりがひとつにスーッと繋がっていたことに納得します。 奸智に長けた犯人の企みを看破するというトリック作品ではありませんが、都筑道夫氏の短編に似た味わいがあります。 ●南の島の殺人 南の島「S島」にバカンスに出かけた友人の柏原則夫が体験した全裸殺人事件談を手紙で受け取った岡山の某大学の学生である「敏ちゃん」と「ミキオ」が、なぜ「全裸で死んでいたのか」の謎解きに挑戦する。 叙述トリックと殺人事件の真相に至るロジックを組み合わせた所に新鮮味がありますが、現地の人でしかわからないことが事件解決の鍵になっているので、誰もが解けるというわけでなく、少々ズルイ謎かなとも思います。 ●竹と死体 古本屋でバイトをする「敏ちゃん」と退屈な敏ちゃんに呼ばれて来た「ミキオ」が、一面が無くなっていて売り物にならなくなった昭和11年の新聞記事に掲載されている東京で起きた老婆首つり事件。一見なんの変哲もない自殺と思いきや、その老婆は高さ20メートルの竹で首をつっていたのだ。地上17メートルの首つり死体。はたして自殺なのか他殺なのか。なぜ老婆は高さ20メートルの竹で首つり死体になったのか。「敏ちゃん」の推理が導き出す意外な真相とは。 新聞の一面を隠すことで、読者が容易に解決に至らないようにしている所に東川篤哉さんの苦心が見受けられます。 ミステリクイズ的なネタで、本編の中で一番(良い意味で)アマチュアらしい謎の作りとなっている作品といえるかも知れません。 ●十年の密室・十分の消失 十年前の夏に密室状態の丸太小屋のアトリエで首つり自殺をした画家の中江陵山。十年後、母の死をきっかけに父の自殺の真相を知るため、中江美也子は途中で出会った大学生、柏原則夫と共に再び事件のあった緑雨荘に帰ってくる。 出迎えるのは、十年前の事件当時、緑雨荘いた叔父の中江孝太郎と使用人の老夫婦の3人。美也子を迎える老夫婦の顔はなぜか暗かった。 翌日の早朝、部屋の窓から見える丸太小屋のアトリエが雪が降り始めて十分で消失してしまうのを柏原則夫は目撃する。 密室と消失のふたつの謎、10年前の真実に、柏原則夫からの手紙を受け取った「敏ちゃん」と、手紙を声に出して読まされるために呼ばれたトホホな「ミキオ」が挑む。 密室と消失という、本格ミステリの中でも最も魅力的な謎ですが、謎の解決自体は、やや非現実的だと思います(消失)。 しかしこの作品は、「どのようにしてやったのか」ではなく、「なぜしなければならなかったのか」に重点を置いており、トリックに比重を置くとかえって作品のバランスを崩してしまうことになるので、これで正解なのかも知れません。 読み応えもあり、本編で随一、読後に事件関係者への思いをはせる作品です。 ●有馬記念の冒険 有馬記念のテレビ中継を見ている最中に強盗に押し入られた被害者は、強盗に襲われたのはは有馬記念のスタート時間だったと言う。 しかし、事件現場から2.5キロ離れたアパートに住む有力容疑者は、その真向かいのアパートにいた若者二人の証言でスタート時間の2分半前には部屋にいたとことが判明する。2分半で2.5キロを往復することは可能なのか。 「敏ちゃん」が強盗事件の真相を暴くとともに後輩のピンチも救う。 本短編集で唯一、長編デビュー後の作品です。他の作品と比べユーモアはかなり抑えられております。これは編集者の意向なのかもしれません。その分、東川篤哉さんの魅力が減少しており、良くも悪くも、普通のアリバイ・本格ミステリになっているように思います。続きを読む
投稿日:2013.10.05
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Mr.k
2
思い込みは禁物
短編が5作ありますが、結果は知ると何だそうなのか!と思わせる作品ばかりです。 ミステリーや推理小説をたくさん読んでいると、文章の流れから勝手に推測をして思い込んでしまいます。 書籍説明に書いている”男…の死体"って言葉を聞くと十中八九被害者と考えますよね? その時点で作者の術中にはまってしまっているんです。 言葉巧みに、推理を導かれていくような感じですが、最後結末を見るとやられたって感じるんですが悔しさより爽快感があります。続きを読む
投稿日:2013.09.27
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maple
ユーモアたっぷりの短編集です。軽く読めて重たいミステリーが苦手な人にオススメの作品。思わず笑ってしまうシーンがたくさんありました。普通に面白かったです
投稿日:2024.03.10
せ
五篇のユーモアミステリ。 もう、ゆる〜ゆる〜笑 さすが東川篤哉先生。 気張らずに読める本って良いですよね。いつ読んでも併読にいい。
投稿日:2024.01.24
かずま
このレビューはネタバレを含みます
短編作品集。 小学6年生の頃、初恋の人がミステリーに興味があることから購読した。 暗闇のテニスコートのネットに引っかかって死んだ犯人、雪で撓った竹で自殺し融雪と共に10m程の場所まで上った老婆、有馬記念によるアリバイを語るも友人に録画用を見せられていたことが発覚する話等、自分の記憶力を考慮するとかなり記憶に色濃く残っている作品。全部のトリックがとにかく面白かった。はず。
投稿日:2023.07.09
じゅう
東川篤哉の短篇ミステリ作品集『中途半端な密室』を読みました。 『学ばない探偵たちの学園』に続き、東川篤哉の作品です。 -----story------------- テニスコートで、ナイフで刺された…男の死体が発見された。 コートには内側から鍵が掛かり、周囲には高さ四メートルの金網が。 犯人が内側から鍵をかけ、わざわざ金網をよじのぼって逃げた!? そんなバカな(^_^; 不可解な事件の真相を、名探偵・十川一人が鮮やかに解明する。(表題作) 謎解きの楽しさとゆる~いユーモアがたっぷり詰め込まれた、デビュー作を含む初期傑作五編。 ----------------------- 2012年(平成24年)に刊行された、デビュー作を含む初期の短篇集5篇を収録した作品… 本格推理小説の公募アンソロジー『新・本格推理〈02〉黄色い部屋の殺人者』に収録されていた『十年の密室・十分の消失』だけは再読です。 ■中途半端な密室 ■南の島の殺人 ■竹と死体と ■十年の密室・十分の消失 ■有馬記念の冒険 ■解説 光原百合 イチバン面白かったのは『南の島の殺人』かな、、、 南の島でバカンスを過ごす友人からの手紙に書かれていた殺人事件の謎… 向かいがK島というS島が舞台なのですが、実在するS島が、どの島かとわかった瞬間に、頭に描いていた風景ががらりと変わってしまう、どんでん返しが愉しめました、 それ以外にも、 金網で囲まれたテニスコートでの殺人という中途半端な密室状態を扱った『中途半端な密室』、 地上17メートルの首吊り死体の謎に挑戦する『竹と死体と』、 雪の降る山中で山小屋が幻のように消えていくという建物消失の大掛かりなトリックが印象的な『十年の密室・十分の消失』、 有馬記念のスタートと同時に起こった強盗事件のアリバイを解く『有馬記念の冒険』、 と、どの作品も面白かったなー 初期の頃からユーモアたっぷりの本格ミステリを生み出していたことを知ることができる一冊でした。 相変わらずテンポが良く、ユーモアと本格のバランスが絶妙ですね… 安楽椅子探偵モノという共通性はあるものの、扱う事件は密室トリックあり、建物消失あり、アリバイものあり とバラエティに富んだ作品集で飽きずに読めましたね、、、 次も東川篤哉の作品を読もうと思います。続きを読む
投稿日:2023.06.22
りーり
タイトルはあくまで表題作であり密室をテーマにした短編集ではないので注意。 東川作品らしいユーモラスなキャラクターとタイプの違うトリックの作品集なので手軽に楽しめます!
投稿日:2023.06.04
こつめかわうしょ
ほんとによみやすいなぁと思いながら読みました。 仕掛けが壮大なものもありますが、個人的にびっくりしたのが竹のお話です。 慌ててそのあと、検索しました。 本当に竹はU字の逆みたいに曲がるのですね!!
投稿日:2023.05.05
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