二つの祖国(三)

山崎豊子 / 新潮文庫
(14件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
4
5
3
0
0
  • 第三巻~東京裁判 前

    2011/10/25読了。
    今年度に入ってすぐに手に取った記憶があり、
    ずいぶんと時間がかかってしまったように思う。
    新装文庫版により全4巻。
    トヨコさんの作品は、いつものごとく第一巻を読み終わるのに
    時間がかかってしまう。
    本作品においては、ざっくりと下記のように分かれるかと。

      第一巻~日系アメリカ人強制収容所
      第二巻~戦場における日系二世
      第三巻~東京裁判 前
      第四巻~東京裁判 後

    第一巻では、戦争時下の日系人家族がどのような
    処遇を受けたかを通して、小説構成上の舞台設定、
    登場人物の心理スケッチを読みながら
    彼らの人となりを理解する工程を踏むのだが
    その作業に時間を費やされてしまう。
    第二巻以降は、戦場ないし裁判という局面において、
    本作品のテーマでもある二つのアイデンティティの端境の中で
    自分の果たすべき役割を見出しながらもそれに伴う苦悩に
    悶える主人公にぐっと感情移入することができ、
    夢中になって読み進めることができた。

    また、第三巻以降では、東京裁判というあまり馴染みのない
    話題に触れ、戦争指導者たちの証言から
    全く知らなかった事実や、意外な思想・信条に
    触れることができる。
    個人的な一番の関心事は、天皇についての扱いについて。
    法的理屈とは無関係に、日米ともに現実に即した
    暗黙知の中でことが進んでいったのだと実感。
    この点は日本人にとって絶対に譲れない聖域であり、
    そこを侵さなかったGHQは懸命だと再確認。

    この作品を読了できたので、最新の「運命の人」及び、
    「ぼんち」「華麗なる一族」以外の
    代表的な作品はほぼ網羅できたかな?
    戦争三部作を完読して思うのは氏の描く女性像って
    なしてここまで男目線の理想像が描けるのかしらと
    毎度のごとく感心してしまう。ナギコーーー。
    Wikiで本作のモデルは誰だろうと調べると
    思わぬネタバレに合ってしまったのが悔やまれるところ。

    余談だが、「不毛地帯」の壹岐正のモデルである瀬島龍三が
    後の作品の「沈まぬ太陽」だけでなく、本作にもちらっと登場。
    まあ、東京裁判を扱えば必然ではあるけれど。

    広田弘毅については、悲しいかな予備知識が足りず。
    東条英機は割合良く描かれているが、さもありなんかなと。
    続きを読む

    投稿日:2013.12.26

ブクログレビュー

"powered by"

  • taiko

    taiko

    ついに始まった東京裁判。
    言語モニターとして、裁判に参加する賢治。
    父の見舞いでアメリカに一時戻った賢治は、リトルトウキョーの裏庭に埋めた日本刀を掘り返したことで、日本人としての血が騒ぎ出す。

    東京裁判をまとめた巻、読む進めるのに苦労しました。
    賢治と梛子のシーンが出てくるとホッとします。(笑)
    梛子とエミーを比べたら、やっぱり梛子よね、と思いますが、エミーはホントに性格的に損をしてるなと…。
    彼女に起こった不幸も本人が招いたことでもあり、結果賢治との仲も上手くいかなくなるなんて。
    エミーの出方次第で修復するチャンスはあったはずなのにと思います。

    いよいよ最終巻。
    ドラマで結末は知ってはいるものの、やはり先が気になります。
    このまま次巻に進みます。
    続きを読む

    投稿日:2019.04.14

  • ともくん

    ともくん

    ついに始まった、東京裁判。
    南京大虐殺や、真珠湾攻撃の真相が、徐々に明かされていく。
    日本は、被害国なのか、加害国なのか。
    だが、敗戦国なのは、間違いない。
    敗戦国が裁かれる未来とは。
    その中で、賢治も、己の未来と日本の未来に揺れ動く。続きを読む

    投稿日:2019.03.20

  • kozokanto

    kozokanto

    3巻は東京裁判で通訳の適正をチェックするモニターとしての仕事と、東京裁判の審理が描かれている。まさに’’小説東京裁判’’というべき内容。

    投稿日:2019.03.01

  • 赤黒い人

    赤黒い人

    このレビューはネタバレを含みます

    戦争が終わり、戦争犯罪人たちを裁いた東京裁判が始まる。
    東京裁判のモニター役を任された賢治は、その重圧と家庭や弟との不和から、次第に追い詰められていく。

    今までは賢治たち二世の境遇がメインだったが、この巻からは東京裁判の描写にかなりの比重を置かれている。
    漠然と「戦犯が国際法で裁かれたものだ」と記憶していたのだが、そんな簡単なものでは無いことを思い知った。

    印象に残ったのは、日本側の被告を弁護するアメリカの弁護士である。
    アメリカ人でありながら、日本の弁護に全力を尽くし、ともすれば祖国アメリカの正義にも臆せず疑問を呈す姿に感銘を受けた。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2018.06.13

  • reinou

    reinou

    このレビューはネタバレを含みます

     東京裁判前半。

     著者の東京裁判史観は正直、どうでもいいが、評価の誤導はいただけない。
     確かに、弁護側・検察側の夫々がそれぞれの立証命題を目指して尋問を重ねていくのだが、その立証命題が、公訴事実との関係でどのような意味合いを持っているのか、ここを正しく認識していないので、著者のおかしな評価になっていくのだ。

     現実を見るに、返す返すも、交渉打ち切り通告文書の交付が遅れた点、その文面が戦争開始とすら読めない内容であった点が取り返しのつかない過誤ということが良く判る。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2017.02.05

  • あーちゃ

    あーちゃ

    4巻まで読み終えて、アメリカがしたことの酷さ。これをどうして歴史で伝えないのだろうか。人種差別。ナチスよりも酷い行為。無差別殺人が、原子爆弾投下ではなかったのか。日本人の両親から生まれて、アメリカで育ち、アメリカの考え方を受けた2世。両方が祖国。複雑な思い。どちらも大切な国なのに。続きを読む

    投稿日:2016.08.21

Loading...

クーポンコード登録

登録

Reader Storeをご利用のお客様へ

ご利用ありがとうございます!

エラー(エラーコード: )

本棚に以下の作品が追加されました

本棚の開き方(スマートフォン表示の場合)

画面左上にある「三」ボタンをクリック

サイドメニューが開いたら「(本棚アイコンの絵)」ボタンをクリック

このレビューを不適切なレビューとして報告します。よろしいですか?

ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。

レビューを削除してもよろしいですか?
削除すると元に戻すことはできません。