【感想】未完の肖像

アガサ・クリスティー, 中村妙子 / クリスティー文庫
(12件のレビュー)

総合評価:

平均 3.7
1
6
4
0
0

ブクログレビュー

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  • みちょはちゃ

    みちょはちゃ

    このレビューはネタバレを含みます

    未完の肖像
    アガサ・クリスティ

    メアリ・ウェストマコット名義のクリスティ小説②

    *☼*―――――*☼*―――――

    559pの長編。
    解説を書かれた訳者の中村妙子さんによると、シーリアにクリスティが重なるとのこと。
    「誰の身にも起こりえる珍しくもないこと」かもしれないけど、敢えてそう言う小説を違う名義で書かれたということが、彼女のことでは?という懸念が出てもおかしくないと思った。

    まずは子供の頃のシーリアの世界観が楽しい!1人遊びが好きで想像力のあるシーリアは「愛の旋律」のヴァーノンと重なる。

    ダーモットが突然現れ(小説内でも)、シーリアが彼の何処に惹かれたのかと言えばその前に婚約をしたピーターとのギャップ?そういう強引な人を好む人もいるけど、そして自分にないものを持ってる人に対する憧れなのか。
    ダーモットのことは好きになれなくて、私はきっとミリアムの気持ちになってた。彼女が亡くなる前にシーリアに告げた「ダーモットは残酷で情けのない人だと思っていた」がその通りで、とにかく自分が中心でいなければならない子供のような人。
    その夫と性格が似た娘のジュディすら他人だと思ってしまうシーリアはどれだけ孤独だったろうかと思う。
    結婚当初からほとんどのことが否定され「くだらない馬鹿げたこと」だといわれてるのに、愛されていると感じていることが私には不思議でならなかった。けど、世の中にはダメ男ばかり好きになる人もいるし、愛って不思議。

    絶対ピーターとの暮らしは長閑に過ごせたと思う。

    庭師が首を吊った縄の切れっ端を持ってると運が良くなるってとこかなりイメージ強め。

    個人的には、ミステリー並かそれ以上に恋愛シリーズ好きです。ミステリー版にはない一人一人の感情が"自然に"出てると思う。

    2022/07/10読了(図書館)

    レビューの続きを読む

    投稿日:2022.07.10

  • quatorze

    quatorze

    これは私の人生。

    母の死と夫の裏切りに心を閉ざすシーリアは、失踪事件を起こした著者の姿だと言われる。穏やかな婚約者を捨てて選んだダーモット。すれ違うシーリアとダーモット、産まれた娘はダーモットの性質を引き継いだ。孤独なシーリアが語る腕のない男の意味とは。

    ぎくりとする場面も多く、読むのしんどいこともあった。内気、自意識、夢想、色々なところに自分と重なるところを見つけた。シーリアの不安を我が事のように感じた。

    痛快な祖母グラニー。よき理解者の母ミリアム。自分ではなくダーモットの性質を受け継いだからこそ助けになる娘ジュディー。四世代に渡る女性の生き方を描いた作品とも読める。

    シーリアが指摘された小説家としての視点は、クリスティーも同じことを言われたのだろうか。これがまったくのノンフィクションでない以上、どれだけこの作品に真実の姿を探しても、クリスティーの肖像はまだわからないままだ。
    続きを読む

    投稿日:2021.08.19

  • dongurinomori

    dongurinomori

    アガサ・クリスティーのウェストマコット名義の小説。
    主人公の子ども時代からの日々が細やかに描かれていて
    ドラマ「ダウントンアビー」の世界観がありましたが
    娘との確執など、現代の私たちに共通する
    切なさや、やるせなさを感じました。続きを読む

    投稿日:2021.06.27

  • tanaka9999

    tanaka9999

    未完の肖像。ミステリーではなく、ロマンス小説。解説や他の人の感想を見ていると、作者のクリスティと重ねてみることができるとのこと。私はなんとなくそのような見方がしなくて(できなくて)、当時の女性と半生記として。社交とか女性の結婚相手の選び方とか結構よくある話なんだろうなぁ、と。続きを読む

    投稿日:2020.03.08

  • bukurose

    bukurose

    主人公シーリアの幼い時から結婚、離婚に至る経緯が書いてある。シーリアが自殺しそうな所に遭遇した若い肖像画家メアリーがその時シーリアから聞いたシーリアの話を活字にまとめた、という体裁をとっている。おだやかな性格の婚約者を振り、積極的で現実的なダーモットと結婚。夢見がちなシーリアと現実的なダーモット、読み終わるとそのずれが痛々しくこちらの心に沈着する。

    離婚に至る夫婦とそうでない夫婦、どこでどう作用するのか、ひとつのケースを見せつけられる。前作「愛の旋律」の5人にもそれぞれクリスティの片鱗を見出したが、あちらは男女の大きなうねりが大河の流れのようにフィクションとして迫ってくる。が、こちらはクリスティの伝えられる事跡と同じなので、一人の女の心の無残な軌跡が露わになる。

    この本で見る限り、ダーモットは自分本位な感じだが、その夫の性格を受け継いだ娘ともなかなか相容れない描写も見逃せない。クリスティの娘もそうだったのか。

    シーリアの老母は最後まで父に愛された、とシーリアは思っていたが、若くして死んだ父も母に万全では無かった時期がある、と晩年の母に匂わせた描写がある


    1934発表
    2004.1.15発表
    続きを読む

    投稿日:2020.02.04

  • 萵苣(chisya)

    萵苣(chisya)

    『右岸』を思い出した、というよりあちらがもう一つの『未完の肖像』と言うべきか。
    クリスティーの愛がテーマの作品はどれもこれもずっしり来ますね。

    投稿日:2017.01.04

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