運命の人(一)

山崎豊子 / 文春文庫
(87件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
16
44
14
2
1
  • 政治の規制、報道の自由と国民の知る権利をめぐって

    毎朝新聞の記者・弓成亮太は、親しい外務省の事務官・三木昭子から沖縄返還の機密文書コピーを入手する。野党の横溝宏へ機密文書のコピーを託すも、ソースがばれ、弓成は逮捕されてしまう。知る権利、守秘義務、不倫関係。真実はどこにあるのか。

    1924年生まれ、2009年85歳で本書を完結させた山崎豊子。新聞記者上がりの丹念な取材や時間をかけた膨大な資料調査、そしてフィクションと現実を行き来する丁寧な描写で、時に現実以上に真実にせまる小説世界を描いている。読売新聞の渡辺恒雄会長が自身をモデルとした登場人物にキレたのだって無理もないほど、山崎は穴があくまで現実を見つめている。

    報道の自由と国民の知る権利、情報提供者の保護と弾圧問題、いつスクープされるかもしれないスキャンダルと大どんでん返し。読者にとっても切実な問題がどんどん展開していく。元ネタとなった西山事件は、毎日新聞を倒産にまで至らしめた報道・出版史上に残る事件。実在の人物を思わせる人に思わず怒りも、呆れも、ニヤニヤもしてしまいます。
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    投稿日:2014.10.27

  • 衝撃的な展開の連続

    普通に予測できないような事件展開や裁判結果などが次々に訪れ、全4巻を通じて緊張感を持って読めます。
    4巻が一番印象的でしたが、どの巻でも主人公の苦悩が読み取れると同時に戦後日本の基地問題、沖縄返還交渉などの問題について考えさせられました。
    またここまで調べあげることができた山崎さんの力に敬服します。
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    投稿日:2014.08.23

  • 「ヌチドゥ宝」を噛みしめよ

    沖縄辺野古基地化を強行しようとする政府関係者、国家議員達にまずこの第四巻から読んで貰いたい。鉄弾の暴風雨が襲う沖縄の島々、本土の捨て駒にされ辛うじて命が長らえても米占領下に虐げられた。沖縄の島民は自分の土地を略奪され返還後もそれは大して変わらず、そして今再び三度、新たな基地が押し付けられようとしている。沖縄の艱難辛苦を顧みればこうした仕打ちが出来ようにもない筈だ。この本は元毎日新聞記者西山氏をモデルにした物語だ。その人間の生きるを問う深い内容とは別に、縷々語られる沖縄を、沖縄の哀しみをぜひ読み取って欲しい。「命こそ宝」の深い意味合いと意義、今日に生きる全てに届けたい。続きを読む

    投稿日:2015.09.01

ブクログレビュー

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  • ぽっきぃ

    ぽっきぃ

    「西山事件」をもとに書かれた作品です。山崎さんの作品はどれを手にとっても非常に勉強になります。日本のこと、日本人のことを知らなさ過ぎる自分には刺激的なものばかりです。この「運命の人」もそんな感じを受けました。

    新聞記者の主人公が公文書、とくに極秘文書を手に入れながら記事を書き、世の中に伝えていく・・・ペンと紙を武器とする人たちの強さが伝わってきました。一方で今も昔も変わらない国民へ明らかにしないお金の使い方や取引など、政治家の裏側にイライラする気持ちが起こりました。
    続きを読む

    投稿日:2021.09.03

  • mutotsu55

    mutotsu55

     平成21年、第63回毎日出版文化賞特別賞を受賞した巨編小説。文庫では全4巻。
     戦後の沖縄返還を巡る密約の内実について描かれている。
     ジャーナリストにとって、如何にしてスクープをモノにできるかは人生を左右する大きなことである。しかし、そのスクープがあまりに大きすぎる場合は、どう公にするのかの判断が問われる。公開すると基本である情報源の秘匿が守り通せない。しかし、公開しないと国民に真実を知らしめることができない。
     そしてそれがどのような形であれ公開されてしまうと、一気に歯車が動き出す。今回はそれが政府にとって不都合なものであった。その情報源について政府は記者の逮捕に踏み切り、全力で潰しにかかる。戦後史を彩る、国家権力vsジャーナリズム。
    続きを読む

    投稿日:2021.03.28

  • あっちょ

    あっちょ

    綿密な調査をもとにしたリアリティの高い作者ならではの作品。新聞記者を主人公にどう展開してゆくのか楽しみ。そして、運命の人とは。

    投稿日:2021.01.03

  • yoh7011

    yoh7011

    全4巻通してのレビュー

    毎朝新聞政治記者、弓成亮太。
    政治家・官僚に食い込む力は天下一品、自他共に認める特ダネ記者だ。昭和46年春、大詰めを迎えた沖縄返還交渉の取材中、弓成はある密約が結ばれようとしていることに気づいた。
    熾烈なスクープ合戦の中、確証を求める弓成に、蠱惑的な女性の影が……。

    読み進めていくうちに、久しぶりに胃がキリキリした。
    裁判に向けた準備や法廷でのシーンは特に圧巻。
    国家権力のあり方、外務省の伏魔殿ぶり、個人のあり方…どれもこれも、いつの世も変わらないものである。
    最も本質的なことが隠し立てされ、最も多くの被害を被った方々がいつまでも救われない世の中。


    山崎豊子氏の作品は重厚感と臨場感が深く、読み応えがある。
    「この作品は事実を取材し、小説的に構築したフィクションである」と冒頭にあるが、事実は限りなく小説に近いのではないだろうか。
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    投稿日:2020.09.25

  • 四季子

    四季子

    良かった!の一言。
    続きが楽しみ。
    山崎豊子の本は、他の作品も知らなかった歴史や職業を知る事が出来、夢中で最後まで読めてしまう。

    投稿日:2020.09.11

  • b1o4okkml4org

    b1o4okkml4org

    山崎豊子さんならではの、どこまでが事実でどこまでがフィクションなのか分からなくなる。

    しかし女はやはり弱いのか。

    いやそんなことはない。彼の妻は強かった、立派だった。
    郵政省疑惑で冤罪となった女性も本当に立派だった。


    続きを読む

    投稿日:2020.01.11

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