【感想】日本辺境論

内田樹 / 新潮新書
(439件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
83
190
80
22
4
  • 題名以上の内容

    本書の冒頭で、著者である内田先生は本書の内容はこれまで語られてきたことの焼き直しであると謙遜されておりましたが、私にとっては全て新鮮な内容でした。私は恐らく先生が意図された読者の一人であったのだと思います。深い内容を平易ではあるが美しい言葉で記述されており、このような日本語の表現もあるのかとも感心しました。辺境論については、なるほどこの考え方を当てはめることで私が海外で感じたことや日本人の行動について説明できることがあると思いました。途中で哲学的領域の解説が続く部分がありましたが、ここは少々読解に苦労しました。著書中先生も書かれているように、本書では題名に関わる議論の他に、日本人とはという部分についても述べられており、題名以上の内容を学ぶことが出来たと思いました。続きを読む

    投稿日:2014.01.19

  • いつもの内田節ではありますが

    中井久夫が『関与と観察』所収の書評で日本文化の辺境性について語っているのを読んで「ふーん」と思っていたら、そこにポンと出会ったのがこの本。

    ふだんより著者のブログで学びの構造や、武道の「機」について読んでいたので新鮮味こそなかったものの、「面白いなー」とサクサク読めました。

    足利義満が中国に対して「日本王」を名乗ったことを論評したくだりには思わず吹き出してしまいました。
    続きを読む

    投稿日:2013.11.06

  • 「日本人である自分」を理解するための本

    どの国にもその国の人たちに共通の性質、国民性というのはあると思いますが、日本人にも日本人共通のものがありますよね。それが何か明らかにしてくれる本。分かっているようで、説明するとなると難しい、そもそも合意された答えが無いような、でも何となく感じる「日本人とはこんなもの」的なものを、なるほどと納得できる仕方で説明してくれる本。続きを読む

    投稿日:2014.02.23

  • 自分(日本人)を理解する為には、必須

    地政学的な影響を受けて、島国である「日本」がどの様な「日本人」を育んで来たのかが、書かれている。
    「日本人」はそれぞれで、「定型」は無いと思うが、それでも、共通点が有る事は容易に想像出来る。
    外圧に対して、現実主義的に徹する小狡い日本人、世界を承伏させるだけの理念を持たない日本人、
    それが日本人の生き残り戦略で有ると言う考え方は、とても「腹落ち感」が有った。
    「日本の常識」は、「世界の非常識」の面もあろうが、どちらが良い悪いを言うのでは無く、文化としての背景
    分析を行い、今後の日本人を支えていく著作だと思う。
    「国歌」の曲の部分(初代)は、西洋人が作曲した、と言うのは初めて知りました。不評で、作り直したそうですが、それでも編曲はやはり西洋人にまかせたとの事。

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    投稿日:2014.06.29

ブクログレビュー

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  • キヨハラ00

    キヨハラ00

    「Ⅳ 辺境人は日本語とともに」を中心に拾い読み。

    抜粋された内容に触れる機会があり、それが非常に興味を引いたので読んだ。

    その内容とは、
    紀貫之伝来の語法(ハイブリッド文字の活用、仮名の上に外来の概念や術語を乗せるなど)そのもの…いわば土佐日記がビッグバンだったということに瞠目。
    そして、それが、母語による学術書や高等教育レベルでの教育が可能になったという説明…世界では教科書は母語ではないという人々が多いが、その理由が思いも寄らなかった。(自分は日本人が日本語の教科書で大学まで学べるのは識字人口の規模にあると考えていた)
    続きを読む

    投稿日:2024.04.10

  • 頼む

    頼む

    村上春樹と並んで、うちの本棚の占有面積1位、内田樹先生。
    その出会いとなった1冊。

    日本論や日本人論は、国内にとても多くある。
    自国の文化や国民性についてこれほど多くの知的資源を割く国は、他にない。
    そもそもなぜ、僕たち日本人は、こんなに日本論が好きなのか。

    日本人は、他国を参照し、比較して、常に自分が何者であるかを確認しなければ、不安だからである。

    日本人はいつの時代も、外の世界に向けてキョロキョロと目を向けてきた。
    キョロキョロ目を向ける先は、中国だったりアメリカだったり北欧だったり、時代によって変わる。
    けれど、この「キョロキョロしかた」だけは、いつの時代も変わらない。
    これが日本人の持つ普遍的な「辺境性」である。


    明解な論理。
    突飛な論理の飛躍はない。
    しかし、その論理の向かう先は、他の誰とも違うオリジナリティ。

    これぞ、知識ではない、知性。教養。

    僕は、知識ではなく、この知性に憧れて、今日も本を読むのだ。

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    投稿日:2023.11.13

  • 青森県立保健大学附属図書館

    青森県立保健大学附属図書館

    読書といえば小説一辺倒だった私の読書傾向を変えてしまった一冊です。読み終えたときに、もっと知りたいこと、確かめたいこと、読みたい本が次から次へと芋づる式に出てきて、読書の無限ループにはまりました。日本とは、日本人とは。痒いところに手が届き、痛いところをすっと突かれる、わかりやすくて痛快な日本論です。
    【事務局図書課非常勤嘱託員 熊谷和香子】

    ●未所蔵です。読みたい方は学内者限定ホームページから「読みたい!」を送信してください。
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    投稿日:2023.09.26

  • oiko2015

    oiko2015

    「日本人とは?」について述べた書。
    「なんとなくそんなな感じ」と思っていたことを、
    様々な歴史的事実に基づいて肉付けした感じの一冊。
    終章の「日本語」についての考察が面白かった。(2010.12.10)続きを読む

    投稿日:2023.07.19

  • takkuwa

    takkuwa

    このレビューはネタバレを含みます

    「スケールの吟味」、「変化の仕方が変化しない」、「先行者の立場から他国を領導することが問題になると思考停止に陥る」、「人間が過剰に断定的になるのは、他人の意見を受け売りしているとき」、「自説を形成するに至った自己史的経緯を語れないとネゴシエーションできない」、「清水の舞台を飛び降りる覚悟の例外的な才能」、「弟子は師が教えたことのないことを学ぶことができる」、「未熟さの内に安住する傾向」、「学ぶ力とは先駆的に知る力」

    レビューの続きを読む

    投稿日:2023.01.07

  • みこし

    みこし

    大昔から大国の思想や制度を真似して取り入れてきて、取捨選択やアレンジはしこそすれ、自分たちで0から1を作るということはしてこなかった国だから、どうしてもどこかの誰かの真似しかできず、きょろきょろしている辺境人こと日本人。
    日本という国家や日本人の国民性について、痒い所に手が届くような論が展開されており、たしかに~~~なるほどな~~~とばかり思いながら読んでいた。
    後半に進むにつれ、日本人の「学び方」など、哲学的な話が多くなってきて難しかった。
    続きを読む

    投稿日:2022.11.18

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