博士の愛した数式

小川洋子 / 新潮文庫
(1622件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
580
563
351
30
2
  • 哀しくて、切なくて、それでも心温まる一冊

     小川洋子さんの代表作品の一つ。映画化もされた有名な物語ですので、読んだ方も多いのではないでしょうか。

    【内容情報】(「BOOK」データベースより)
    「ぼくの記憶は80分しかもたない」博士の背広の袖には、そう書かれた古びたメモが留められていたー記憶力を失った博士にとって、私は常に“新しい”家政婦。博士は“初対面”の私に、靴のサイズや誕生日を尋ねた。数字が博士の言葉だった。やがて私の10歳の息子が加わり、ぎこちない日々は驚きと歓びに満ちたものに変わった。あまりに悲しく暖かい、奇跡の愛の物語。第1回本屋大賞受賞。

     小川洋子さんの小説には、なんらかの障がいを持った人物が主人公として登場することがありますが、この物語も交通事故によって高次脳機能障害になったと思われる数学者が主人公として登場します。

     年老いた義姉が有する屋敷の離れに一人で住む彼は、記憶が80分しかもたないため身の回りの世話をするための家政婦が通っています。しかし、どの家政婦も長続きせず、義姉に次々と交代させられてしまいます。

     新しい家政婦として通うようになった「私」は、博士の数学に関する素晴らしい知識と愛すべき人柄に接していくうちに、息子とともに博士の”友だち”として心を通わせるようになります。

     静かで、穏やかで、少し哀しくて、でも心が温まるという結末が待っていますが、そこに至るまでの過程が丁寧に描写されていて、本を閉じたときに思わずため息が出てしまいました。

     名作はやはり読んだほうが良い。単純なことながら、あらためてそう思いました。皆さんもぜひ。
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    投稿日:2013.12.06

  • 優しさにすっぽりと包まれる

    優しく穏やかに進む物語
    何度読んでも同じように感動してしまう
    読後幸せな気持ちになりたいなら 是非!

    投稿日:2013.11.07

  • 純文学と数学と野球の三角関数

    沢山の伏線で、美しさと発見の喜びと喪失の哀しみの関係を結晶化させた作品。読んだときの自分の立ち位置(立場・経験・関心事等)によって見え方が異なり、何度も繰り返し読んでも、まるで新しい作品に出会ったかのような気持ちになれると思います。

    評者の場合、新しいことを記憶できないことの辛さに寄り添そうと、痴呆に苦しんだ祖母のことを想いながら読みました。

    小川さん、美しい作品をありがとうございます。
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    投稿日:2015.10.04

  • 心があたたまる

    なにげなくすぐ読めそう、っと買って読んでいるうちに自分でも知らずに涙がでてきた。くすっと笑ったり、せつなくなったり、なんとも心が温まる本である。情景まで浮かんでくる。また読み返してみたくなる部類の本。

    投稿日:2013.10.02

  • 小川さん独特の慈悲深い文章がたまらない

     ストーリーそのものに何か大きなトリックやどんでん返しがあるわけでもないのに、その文章の暖かみにグイグイ引き寄せられます。数式ネタは数学者の藤原正彦さん(「若き数学者のアメリカ」は、僕の青春の一冊!)によるものだそうですが、一つ一つのエピソードが光っている。
     色々な描写から、舞台は岡山なのだろうと思わせるところは、地元民にとってはツボです。
     全てが変わった日、1992年9月11日。忘れもしない阪神×ヤクルト戦(甲子園)の、八木の幻のホームラン・・・。 阪神ファンには忘れられない9.11を小説のターニング・ポイントに設定しているところもツボでした。
     読むだけで清涼な気持ちになれた一冊です。
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    投稿日:2013.10.04

  • 読み返したくなる

    数式と言う小難しい題材を用いながら、自然に読ませてくれる。素数が好きになる。3人のことが好きになる。特に野球の試合を見に行ったときの博士がいい。読んで損はない作品。

    投稿日:2013.10.09

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ブクログレビュー

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  • りんご花

    りんご花

    このレビューはネタバレを含みます

    80分しか記憶がもたない数学博士と、家政婦とその子供が数学を通じて関わりを深くするお話。
    切ないのですが、決して嫌なきもちで終わらず余韻を残した感じでした。
    博士がいたら、数学も好きになれたかもしれないと思います。数字で広がる考えは新しいなと感じました。

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    投稿日:2020.11.16

  • 零

    このレビューはネタバレを含みます

    博士のルートに対する惜しみ無い愛、ルートの成長していく姿や主人公の悩みながらも大切な人を守ろうと格闘する姿にとても胸を打たれた。


    「僕の記憶は80分しかもたない」

    80分が経過し、0分目にこの付箋を見る時の博士の気持ちを考えると、本当に胸が苦しくなる。主人公とルートとの穏やかで暖かな日々を、博士が少しでも思い出すことができたなら、と願わずにいられない。

    「空っぽとは、つまり0を意味するのだろうか」
    「0を発見した人間は、偉大だと思わないかね」
    「1-1=0 美しいと思わないかい?」

    数学に造詣の深くない私にも、0のもつ数学的な意義や美しさは感じられた。ただ、一方で本作中では80分経過後記憶が「0」にリセットされる博士がその美しさを説く姿が私には切なくてならなかった。

    人生辛いこともあれば楽しいこともある。忘れてしまいたい過去もあるけれど、楽しかった想い出や何かを成し遂げた記憶はその後人生の糧になる。記憶、時間、自分の愛する人たちを大切にしながら生きていこうと思えた。また読み返したい素敵な作品でした。

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    投稿日:2020.11.13

  • nami

    nami

    純粋に数学や子供に向き合って、愛情を注いでいく博士の姿は温かい気持ちになった。どんだけレベルの低い質問をしても、誇らしい気持ちにさせるような博士のぬくもりを私も受けてみたいし、そんなすごい人になりたいと思った。
    数学ってこんなに美しいものやったんやって思った。
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    投稿日:2020.10.24

  • スズキ

    スズキ

    このレビューはネタバレを含みます

    10年以上前に読んだことあった作品であったが楽しめた。
    中後半辺りからなんとなく不穏な空気が漂い始めるが、最後はハッピーエンドと言って良い終わり方だった。

    博士の性格?物腰が素晴らしい。
    無知である者を馬鹿にしたり、上からみたりせず簡単な発見でもそのことについて褒める姿勢は見習うべきだなと感じた。
    子どもの頃にこういった人と出会えていたら√のようにその人同じ道を歩もうと思うだろう。

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    投稿日:2020.10.16

  • しいな

    しいな

    心が落ち着いた本
    物語が大きく動くことは少なく、人物も少ないため読み進めるのには少し体力が必要だった。
    こさかなも今読んでいる小説

    投稿日:2020.09.29

  • はるちち

    はるちち

    80分しか記憶がない博士とシングルマザーの家政婦とその息子との優しく静かな時間の物語。
    中学で算数から数学に変わった時から勉強について行けなくなった、あの頃の私に手渡してあげたい凄く良い本。
    きっと数学はもっと近寄りやすいものだったかもしれない。
    記憶があるのは47歳までで、朝起きて老いた躰とメモを見るたび記憶が80分しかないと知る衝撃や切なさ、苦しみは計り知れない。
    でも子供を何よりも大切に慈しむ博士は、きっと記憶を失う前の博士そのもの
    なのだろう。親類縁者からの愛情に疎遠な息子を力強く抱きしめ、共に喜び、泣くほど心配して触れ合ってくれたことは、孤独な中出産・子育てをしている「私」にとって、どれ程嬉しかった事だろう。
    その愛情をしっかり受け止め、真っ直ぐに素直に息子・ルートは愛情を返せる子に成長していく。それが本当にいじらしく、可愛い。

    いつもは好きな一節を必ず見つけるが、この物語はどの一節、誰の言葉をとっても心に染みて、涙が溢れる。
    続きを読む

    投稿日:2020.09.27

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