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小川洋子 / 文春文庫 (496件のレビュー)
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総合評価:
moga
14
ケーブルカーはすれ違う
美しい言葉で語られる、チェスをキーとした主人公の思い。主人公の原体験、「マスター、猫、象、ミイラ」がそのままチェスのメタファーとして使われ、身体的に成長しない(したくない・できない)少年の世界をつく…っていきます。 しかし否応なしに周りは変わっていき、チェスの腕だけが大人になった少年は何を思うのか・・・。愛する物の為に愛する者を失い、そしてすれ違う。 切ないなぁ。 (若干ファンタジックなところもあり、リアルなチェス界で話をすすめてもよかったのではないかと思ったりもしました。)続きを読む
投稿日:2016.11.28
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naotan
7
少年の魂は棋譜の上で輝く
身体的なハンデを負って生まれた少年の夢は、デパートでお子様ランチを食べること。 決して裕福ではなく、学校でいじめにあいながらも、自分を不幸だとは思っていない彼のもとに契機は訪れます。それは、バスを改造…した家に住むマスターとチェスとの出会い。彼はマスターからチェスを教わりながら、世界や、人生や、生き方を決定づける数々のことを学ぶのです。 どんな境遇でも、チェスがある限り、少年は自由で、力強く生きていける。 そんな彼の生き方に勇気をもらえる一冊。 個人的に小川洋子のマイベストです。続きを読む
投稿日:2014.07.18
rams
ひょっとすると小川さんの作品は電子ブックと相性が悪いのかも知れない
小川さんらしい静けさを纏った作品です 単純にストーリーそのものを追いかけるのではなく 物語を支配する薄暗い静かな空気の匂い そしてその先にある小さな暖かさを感じるそんな印象の話でした できればゆっく…りと時間をかけて対峙し ページを捲る音さえも物語の一部として楽しみたい ひょっとすると小川さんの作品は電子ブックと相性が悪いのかも知れない 続きを読む
投稿日:2014.08.24
ココすけのままりん
5
最後にやっと『猫を抱いて象と泳ぐ』この題名の世界観が入ってきました。
その人が何かの病気でとても大変な状態だとする。 なのに自分のことより、愛する家族や愛する人にはどうぞ元気でいて下さいと願い、祈り続ける。 そんな人が見る夢、いや目に映るものとは?それはあまりにも切なく…悲しいと思うのですが。 でも、ミイラとの棋譜だけの手紙のやりとり。そこから生まれてくる愛するがゆえに分かる、思いやりや気遣いが痛いほど伝わってくる。 その温もりがやっぱり切ないなあ。 しかしそこには大きな暖かいヴェールでくるまれているような安心感があり、 インディラとポーンとミイラとともに静寂の海を自由に漂っているリトル・アリョーヒンがいた。続きを読む
投稿日:2016.03.06
BACH/バッハ
2
静かにただチェスをし続けるマシーンとなった、ひとりの男の子のこと。
本作に登場するチェスや将棋、碁のボードゲームは、その無限に広がる板状の可能性の世界をもって、宇宙に例えられることがある。 深く思考の海に潜り込み、考えうるあらゆるパターンの中から最良の選択肢を選び出…す。それは相手の意志や戦略を自らの手の考慮に入れた、信じられないほどに高度なコミュニケーションでもある。 ロシアの伝説のチェスプレイヤー、アリョーヒンと同じようで違う、背中合わせの主人公”リトル・アリョーヒン”は、体が子どもの頃から大きくならず、年齢もはっきりしない男の子。自動チェス機の中に入り、自分という存在を消しながらチェスを指し続ける彼。唯一その人だけが生み出せる棋譜でのみ自分の存在が証明されること。 それは果たして悲しいことなのか。人が生きる以上に生き続ける自らの思考の軌跡。自然でいながら圧倒的な情報量を持つあまりに見事な言葉の選択と、静謐な世界を豊かに表現する物語の奥深さ。 続きを読む
投稿日:2013.09.20
スタッフみっちー
1
静かにそして限りなく広がるチェスの海
唇に毛が生えている少年。 その不思議な設定に最初は、『え?』と、 引き込まれたのですが チェスを通して、自分の生きる場所を見つける 主人公やそれを受け入れてくれる周りの優しさ。 そして人の生き様を見…せられるようなチェスでの対戦。 物語は、時代や国の設定も語られず、 まるで遠い国の童話のように静かに展開していきます。 ミイラを救えなかったことが悲しくて、 大人の汚い世界に翻弄される純粋な心、 でも誰のせいでもなくて、 そんな憤りは現実にもたくさんあって 少年の優しすぎて悲しい思いが痛いほど伝わってきます。 それでも彼は幸せだったんだろうなと涙がでてしまいます。 素敵な物語が読めて幸せです!続きを読む
投稿日:2015.06.01
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まこと千春
初めて読んだ時、独特な世界観と作者の豊かな表現力に衝撃を受けました。私にとってこの作品は凄い!の一言につきます。 唇がくっついて生まれてきた少年に神様は並み外れた集中力とチェスの偉大な才能の仕掛けを施…して下さった。しかも少年しか出来ない独特なチェスの指し方で。恵まれない環境の中でも、愛情に満ちた人々に囲まれてチェスと共に生きる少年。チェスが出来たらもっと深く少年の気持ちを理解出来るのでは?とも思いました。 常に孤独と闘いながらチェスに向き合う心根の優しい少年の生き様を感じて欲しい一冊です。 続きを読む
投稿日:2024.03.13
か
リトル・アリョーヒンとして生きたチェスの名手。実在していた人物だが、いまだに謎が多いという。その彼を題材にしているが、チェス盤の下が彼の命そのものというくらい、チェスに魅了されチェスに生かされた彼の生…き様が、素朴だけど奥深くて、心動かされた。彼を取り巻く、優しくて強い人物たちの存在にも勇気をもらえる。 続きを読む
投稿日:2024.03.04
ふぃつ
このレビューはネタバレを含みます
読み終わってしまった… もう少し浸っていたかったし、ミイラとの再会も、老人ホームを出てまた別の場所でチェスをする姿も見たかった… 洋館のような廃バスや、地下プールの更衣室など、場面が美しくどんな場所か想像しながら読むのが楽しかった 途中から、私も棋譜の美しさをわかりたいと思い、チェスを学びながら読んだので、ミイラからの手紙「e4」だけで、文通でチェスをしようとしてるんだ!とわかったりして楽しかった。初めからチェスを知っていて読んだらもっと楽しめただろうなと思う。 ストーリーがすごく面白いわけではないけれど、全体に漂う空気感が好みだった。 猫を抱いて象と泳ぐという題名も、題名先行でストーリーを考えたのかな?というくらいぴったり。
投稿日:2024.02.28
あこ
世界観に引き込まれて一気に読んでしまった。チェス好きにはとっても楽しいと思う!チェスをよく知らない人にも楽しく読めます!
投稿日:2024.02.22
WATARU
ちらっと事前にスマホで調べた時、予測変換で「モデル」って出てきて事実ベースなのかと思ったけど違かった。 いい話だ。
投稿日:2024.02.19
shuzo music&book
チェスの棋士リトル・アリョーヒンの他は人名も地名も固有名詞が出てこない無国籍で異空間な小川ワールド。 それでも豊富で緻密な表現力でどんどん引き込まれていく。 たびたび訪れる死の場面も悲しいだけではなく…必然だったんだなと様々な感情に揺さぶられる。続きを読む
投稿日:2024.02.17
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