【感想】決壊(上)

平野啓一郎 / 新潮文庫
(54件のレビュー)

総合評価:

平均 3.7
11
19
13
6
1
  • 個人的に重松清「疾走」と並ぶ2大絶望小説

    ひたすらに読んでいて痛々しい。
    「決壊」という言葉が暗示する不吉な印象を克明に、徹底的に描き切った問題作。

    個人的に、重松清の「疾走」と並び2大絶望小説。
    とにかく救いがない。

    しかし、救いのない絶望の状態を知ることが、普段の何気ない生活にあたっている光を認識するために必要だったりして、
    小説の役割というものを改めて、身に染みて感じられる大作だと思う。

    でも、「疾走」「決壊」ともに、元気がないときは読んじゃだめです。劇薬すぎます。
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    投稿日:2014.07.15

  • ゆっくりと時間をかけて築き上げて来たものが、一気に決壊し始める

    主人公は少々鼻持ちならないエリートだが、家族思いで充実した人生を謳歌している。そこには彼の積み重ねてきた歴史があり、多少のトラブルにも臆せず対処してきたという自負がある。
    どこにでも転がっていそうな日常。そこから何かが綻びを見せて、一気に崩れ落ちていくまでを描いた上巻。ここまで読んだらもう止められない。続きを読む

    投稿日:2013.09.24

  • 大きな転換までの序章

    「決壊」までへの序曲という感じ。前半は鬱然とした雰囲気でテンポは良くないけれど、後半加速。

    投稿日:2013.09.26

  • 『決壊』 平野啓一郎 著

    最初は私達も経験するような、平凡な日常の記述から始まる。誰でも経験するような夫婦間や家庭内のスレ違い...。「まあ、そういうこともあるよねぇ」と思って読んでいると、やがてその小さなほつれをきっかけに破滅的な事件へと巻き込まれていく...。小さな穴からダムが決壊するということから本書の題名は来ているのだろうか。

    筆者は日々のニュースで耳にする現代的な犯罪(※1)や社会的な問題(※2)をリアルで精緻な筆致で深く掘り下げている。(※1 イジメ、リベンジポルノ(?)、未成年の犯罪、家族の崩壊、ネットで知り合った人間たちがネットで知り合った人を殺す、猟奇的なバラバラ殺人事件、爆弾テロなど ※2 センセーショナルで偏向したマスコミ報道、警察の横暴など)
    深くて精緻な記述はドストエフスキーを想起させられ、読み進めるにつれてぐいぐいと引き込まれた。でも、主人公が頭が良くて容姿端麗、女にもてるエリート公務員というイヤな奴なので、あまり感情移入することはなかったが。
    リアルで精緻に、且つ深く力強く現代社会を描き切った筆者の力に感嘆させられた。他の作品にも注目していきたい。

    但し、他の方の書評にもあったのだが、この小説には「救いがない。」読後感は決して軽くない。 ハッピーエンドを求める人は読まないほうが良いかもしれません。
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    投稿日:2015.03.09

ブクログレビュー

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  • 鈴華書記

    鈴華書記

    一犯罪を取り巻く人々の悲哀がよく書かれている作品。崇を待ち受ける運命はただひたすら暗鬱であるが,それだけに共感をする人も多いのだろう。

    ただ各出来事がダイジェスト的にまとめられており,もっとやってくれれば面白いところなのに……という場面が多かった。オチは無難にまとめられているが,そこで問題提起が終わってしまうのはもったいなく思う。

    著者の哲学講義は確かに魅力的ではあるが,華麗な修辞による重厚感の演出かもしれず,神学などの学問から注意深く批判する必要がある。
    続きを読む

    投稿日:2024.04.01

  • につ

    につ

    このレビューはネタバレを含みます

    感想
    内面的に複雑な心情描写が多いので、登場人物の心情を容易に理解するのは難しいな。

    兄の崇の話が文学的過ぎて難しい。自分なんかもっと単純に物事を考えて生きてるって思ってしまう。

    上巻の最後になってようやく事件。殺人事件ものの小説で誰かが殺されるまでたどり着くのにここまで長かった小説は記憶にない。兄怪しすぎる。

    あらすじ
    良介は、母の兄弟が亡くなったことを機に家族3人で実家に帰る。兄も久しぶりの帰省となった。母親が兄に昔から不気味な怖さをかんじていたことを聞く。また、父親がずっと伏せっていることから、兄は鬱病ではないかと懸念を持ち、病院に行くことを進める。

    北崎友哉は中学生。いじめられて仕返しをしたことで学校で問題になる。好きな女の子がバスケ部の先輩といかがわしいことをしていたことをネット上に晒す。自分がその女の子を助けようとするも拒否され、苛立ちを募らせる。自分のことを虐げるものを殺したいとネット上の日記で吐露し、ある人からそれを実現する方法があるとコンタクトされる。

    良介の妻の佳枝は旦那がネット日記で本音を挙げていることを悩んでいた。自分に直接相談して欲しいと思っており、兄の崇に相談していた。良介が大阪に出張に行くにあたって兄と会い、そのことについて話すと思っていた。大阪出張時に良介と連絡が取れなくなる。

    京都でバラバラ死体が発見された。人体の部位は全国で見つかり、話題を呼ぶ事件となった。殺されたのは良介であることが判明した。

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    投稿日:2024.03.03

  • タカギ

    タカギ

    とりあえず上巻読了
    相変わらず、平野氏、どこを目指してるんだろうな。
    知識が溢れるほどあるから、とことん「しゃべり」たいだけなのかな。
    娯楽本にはならないぞというプライドみたいなのがあるのかも。
    下巻でミステリーの謎解きという手筈なのかな。続きを読む

    投稿日:2023.11.27

  • にこ

    にこ

    ⚫︎受け取ったメッセージ
    平野啓一郎さんの提唱する「分人主義」前期の作品。相手の、全く知らない相手の部分を知る怖さを、ミステリー、サスペンスの形で見せてくれる。


    ⚫︎あらすじ(本概要より転載)
    方都市で妻子と平凡な暮らしを送るサラリーマン沢野良介は、東京に住むエリート公務員の兄・崇と、自分の人生への違和感をネットの匿名日記に残していた。一方、いじめに苦しむ中学生・北崎友哉は、殺人の夢想を孤独に膨らませていた。ある日、良介は忽然と姿を消した。無関係だった二つの人生に、何かが起こっている。許されぬ罪を巡り息づまる物語が幕を開く。衝撃の長編小説。


    ⚫︎感想
    一気に引き込まれる設定。すぐに下巻を読みたくなる。
    続きを読む

    投稿日:2023.11.19

  • ふじ

    ふじ

    オーディブルで聴いたので、小難しいこと言ってるところはなかなか頭に入ってこなかったが、面白かった。地の文の視点がコロコロ変わるので、ちょっと聴きづらいと感じるところはあったが。
    早く下巻を聴きたい。

    投稿日:2023.10.30

  • Tohru

    Tohru

    登場人物がことごとく苦手...だから、なんだか新鮮な感じがする。話は中々進まず、読んでいてもやもやしてたけど、最後の方でようやくエンジンが掛かる音が聞こえた気がした。下巻の展開に期待。物語性や登場人物の影響もあるのだろうけど、言葉選びが個人的にどうにも好きになれないのが少々残念...。私の頭の出来が良ければもっと楽しめる作品なんだろうなと感じた。続きを読む

    投稿日:2023.04.15

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