【感想】最後の息子

吉田修一 / 文春文庫
(204件のレビュー)

総合評価:

平均 3.6
31
64
76
14
4
  • 新人賞受賞作より、「Water」の方が好き

     三つの短編が収められています。新人賞受賞作は「最後の息子」なので表題となっていますが、私には正直言って、ピンときませんでした。
     短編ですから、あれ?これで終わり?と思うのはママあることですけど、「最後の息子」は冒頭からのエピソードや描写が面白かっただけに、余計に物足りなさを感じました。まぁ、私にはボーイズラブの心境は、本当のところ、わからないですしね。
     「破片」には、粋なセリフがありました。「男の指には、女の握ったおむすびが一番似合うとよ。」ふ~ん、そうなんだぁ。
     「Water」は瑞々しい青春を描いた物でした。ただ、スポーツマンが麻雀を長時間やっていては、腰を悪くしますよ。この話にも粋なセリフがありました。「何かを始めるときの自分が一番臆病で、そして一番勇敢だ。」う~ん、確かにそうなのかも。この物語のラストはいいですよね。短い物語でも、このように余韻を残す終わり方こそ、短編の醍醐味だと思います。
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    投稿日:2020.10.01

ブクログレビュー

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  • ぺぷ

    ぺぷ

    初めて著者の作品を読みましたが、とにかく文章が上手いと感じました。
    収録している3つの短編、いずれも分かりやすい起承転結があるわけでもなく、登場人物たちがもつ背景や性格に沿ってごくごく自然な態度・行動を取るだけの話で、オチというよりはストーリーの過程での感情の隆起や変化そのものを楽しむものなのかな、と思います。
    起こった事象をどう認識し解釈するか、それは個々人の持っている情報や考え方によって大きく変わります。本作はそこに至るまでの背景の説明とその際に湧き起こる感情について、そのまま書き出すというよりは、目の前で起こっている事象を登場人物がどのように捉えているか、という結果となる部分を五感で立体的に表しているため登場人物への共感を強めることができ、物語の中に引き込まれるような感覚を味わえます。
    そういった意味合いでいうと、登場人物が現状をハッピーに捉えているかどうかで各編の読後感が違ってきます。最後に掲載されている「water」が爽やか要素が多いこともあって一冊の印象としてはさっぱりした本だったな、となりますが前2篇はどちらかというと陰鬱というか諦念に近いものを感じました。どれくらい感情を変化させられたか、というのは自分の中で小説を評価する評価基準の1つになっているような気がするのですが、この項目で本作は非常に優れていると感じました。
    こんな文章書けるようになりたーい。
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    投稿日:2023.12.29

  • おおつぼ

    おおつぼ

    waterが吉田先生デビュー作とのこと、でこっから小説どんどん良くなってったんやなあと思うと、感慨深い。

    投稿日:2023.07.05

  • たけ

    たけ

    ゴールデンウィーク中、家の庭の草むしりをしながらオーディブルで読む。

    吉田修一さんのデビュー作である「最後の息子」含め3遍の短編が収録。
    少し屈折してなかなかスカッとしない、
    だからと言って希望がないわけではない、
    そんな青春小説だ。

    3遍の中では「Water」が好きかな。

    ♪(I’m)The End of the Family Line/Morrissey
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    投稿日:2023.05.12

  • みなと

    みなと

    ゲイの閻魔ちゃんの家に転がり込んでる男が主人公の最後の息子

    家業の酒屋で働く弟と東京に住んでる兄が長崎に帰ってきた時の話の破片

    長崎の高校の水泳部のキャプテンが主人公のWater

    上記三部作

    最後の息子は読み始めかなり文に引き込まれてこの本あたりだ!って思ってけど後半にかけて文学的な描写が増えてう〜んで感じになった

    2作目の破片は会話がゴリゴリの長崎弁で少し読みにくかった、弟がストーカー

    最後のWaterは青春!って感じの爽やかな話で好きだった
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    投稿日:2022.11.25

  • たまに

    たまに

    色々なことが見えていながらも見えてていないふりを続けながら生きていく青年像がよく伝わってきました。人に愛されかまわれるために多少のことは気にしななかったり許せないものに歯向かう意志など持ちつつも、色々なことを隠し隠しやりくりしたりどこか全力でやりきれない逃げがちな生き方にリアルさを感じました。続きを読む

    投稿日:2022.10.01

  • 永杜

    永杜

    3つの中編。

    表題になっている最初の話は、やっと最後で
    そこにたどり着きました。
    言われてみれば、確かに『最後』になります。
    経済力があればどうにかなりそうですが
    血のつながりを求められたら、どうしようも…。

    二つ目の話は、読んでいるうちに
    ストーカー? モラハラ?? と
    首をかしげたくなるような行動に。
    そちらの方が気になってしまって
    ほぼ内容を覚えていません…。

    そんな状態で読み始めた3本目。
    青春ものっぽかったです。
    男の子、という感じの生活でした。
    続きを読む

    投稿日:2022.07.07

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