【感想】冷たい密室と博士たち DOCTORS IN ISOLATED ROOM

森博嗣 / 講談社文庫
(527件のレビュー)

総合評価:

平均 3.6
59
202
194
25
0
  • より身近な「密室」

    S&Mシリーズ2作目ですが(本来はこちらが処女作)、『すべてがFになる』から立て続けに一気に読んでしまいました。前作は特殊な環境でのセンセーショナルな事件の始まりでしたが、本作品は舞台が大学の研究センター内、実験成功の打ち上げ中に行方がわからなくなった学生が殺害されるという、ミステリでありがちな導入でトリックもPC操作がある程度可能であれば理解しやすいものでしたが、とにかくラストまで犯人がわからないので、先が気になり夢中になってしまいます。犀川先生の言葉一つ一つにキュンキュンされている女性は多いかと思いますが、名言(迷言?)が多めです。本作品のほうが犀川先生と萌絵ちゃんの距離感も近いのでその辺りも楽しめます。続きを読む

    投稿日:2014.10.21

  • ドラマ仕立て

    やっぱりこのシリーズは好き嫌いが分かれる。はっとするようなミステリー小説ではないので後半が辛い。
    前作よりは少しマシになったけど、解説シーンがやたら長ったらしくて今回も中だるみになってしまった。このまま読み続けるのかはキャンペーンなど安く手に入ったときか。続きを読む

    投稿日:2014.11.28

  • 犀川先生&萌絵シリーズの処女作

    デビュー作が『全てがFになる』なのは周知の事実ですが、
    実は著者が書いた順番では4番目になります。
    まぁ編集側の意図があったんでしょう…。

    そんなわけでこの『冷たい密室と博士たち』が最初に書かれて本になります。
    犯人の動機を無視して物証から論理的に謎を解いていくのはエラリィ・クィーンの再来か!?と思いましたが、そこまでの深さはなく、
    ミステリーとしての出来は普通だと思います。

    このシリーズは「理系ミステリー」と呼ばれていますが、
    どこが「理系ミステリー」なのかよく分からなかった。
    密室の場所が研究所だったから!なんてことはないと思うけど…。
    続きを読む

    投稿日:2017.09.02

ブクログレビュー

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  • ゴムボール

    ゴムボール

    このレビューはネタバレを含みます

    非常に良い
    いかにもありそうな環境、ギリギリ居そうな人物たち、(常識的に)あり得ない警察
    慎重にバランス調整が施された作者特有の世界はモチーフがより密接なことも相まって前作よりも確かな存在感がある
    本作は謎解き関係なしに何度でも読める
    かなり現実に近い(しかしそれは地続きの現実ではない)質的空間を想像できるため依存性が高く
    おおげさに言うならここには一種の永遠があるのだ
    犀川のセリフ、思考も冴えている
    おそらく著者も普段から同じようなことを考えていたのだろう
    どうみても小説のために考えたような付け焼き刃的な発想ではない
    あと少しで作者自身のエッセイに突入しそうである
    今作は実用的であるという面ではドイルのホームズシリーズに匹敵していると思う

    トリックも飛び道具的な荒技だった前作より堅実なものになり、全体的に完成度は高い
    確かに地味でFよりインパクトは無いが、地に足が付いたような質感がある
    輪郭がぼやけたFの世界はパラレルの支流で実はこっちの方が本流なんじゃないかと思えてくる
    ブーメランのように飛び出し勢いを失って帰還するなど表現力も文章のキレも格段に向上している
    たしかに漫研には恥ずかしい響きがあるだとか、こういった男がステージで豹変するのだとか
    弱毒性の笑えない乾いた微妙なジョークのセンスも秀逸で余裕が感じられる
    Fよりクオリティが高いのはどういう理由だろう

    メインキャラクターの掘り下げも順調に進みシリーズとしてもすでに安定軌道にのっているようだ
    萌絵だけは初期の古典的なお嬢様キャラの残滓が残っているみたいで、さらにすっとぼけた部分を加味しているFと若干の違和感があった
    傑出は建築学科出身の本領発揮らしい場所の設定である
    凝り過ぎても単純すぎてもいない緻密に設計された実験施設は空間内までイメージし易く、簡潔で完璧に人物とシナリオを回す
    見取り図も気が利いている
    派手な作風より、こういった実直な作りの方が作者のポテンシャルをフルに使えるのではないだろうか

    途中、主人公が違法な手段で打開する展開があるのだが、主人公側でこれをやれるのは逆に信頼できると確信した点だ
    非常識に常識で対処不可能ならば、常識から外れるのは合理的である
    たぶん昨今の作家は批判をおそれてこういった展開は中々やらないのではないか?
    そしてあとがきで、変な謎かけを残したまま逃亡しないでほしい
    作品書いた方ならともかくその作品の解説者が謎を残すなと言いたい
    本格ミステリの伝統の論評はためになって良かったが
    一部がブラックボックス化されていたFと違って本作品では要点のほとんどは明かされていると思う

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    投稿日:2024.04.10

  • もちこ

    もちこ

    S&Mシリーズ2作目!
    1作目同様10数年振りの再読となりました。
    1作目よりもさらに内容を完全に忘れていたので、こちらもだいぶ楽しめました。

    こちらはミステリー要素が前作よりも強く感じられ、理系部分が少なめなので読みやすさは◎!理系ミス苦手組はこっちの方がオススメです。

    天才のキャラとしては真賀田四季女史の方が好きなので、好みは前作の方でした。

    今年は森先生3作目ですが、通して思ったのは、親族関係を利用した人間描写が好きなのかなと言うところ。
    続きを読む

    投稿日:2024.03.28

  • ヒイラギ

    ヒイラギ

    このレビューはネタバレを含みます

    ミステリー小説は苦手。
    正直、特に謎解きには興味なし…。
    そんな自分が思わず第二弾の本書を手に取り、あっという間に一気読み。最後までグイグイ読ませてしまう魅力がある。

    やはり個性的なキャラクターが物語に引き込んでくる。犀川先生といい、萌絵といい、頭が切れる人の考えることは面白い。自分には考えが及ばないようなことを考えてくれるから、わくわくする。

    とはいえ、第一弾もそうだけど、やはりトリック…というか設定がかなり強引と感じるのは自分だけだろうか。ラストで実はこうでした!と謎が明かされても、『いやいや、そんな偶然起こるかいな』とツッコミたくなってしまう。

    それでもつい読みたくなってしまう、このS&Mワールド!なぜだろうか…

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    投稿日:2024.03.27

  • すみお

    すみお

    1作目ほどの驚きはなかったけど面白かった
    とにかく理系ミステリという言葉が良く似合う作品
    「役に立たないものの方が楽しいじゃないか」
    すごく心に残った

    投稿日:2024.03.27

  • オカタボ

    オカタボ

    このレビューはネタバレを含みます

    Fに続き、シリーズ二作目をやっと。
    Fが良過ぎて変に期待してしまうからガッカリしたらやだなぁとおそるおそる読み始めた、が要らぬ心配でした(笑)
    私自身、天才でも無ければ理系でもないので十分な説明無しに次々と出てくる専門用語は深く考えず半ば諦めて読み飛ばしています(笑)
    それでも十分に楽しめる森ワールドに今回もどっぷり楽しませてもらいました。

    ああ犯人はこの人かなぁ、、そうだったらやだなぁ、、、と思いながら読み進めたので少しでも怪しい表現があると、ほらやっぱり…。とその思い込みはどんどん強くなっていきました。
    多分それも森博嗣の罠なんですよね、してやられました。(同じくはまった方が多いのを皆さんの感想を読んでも感じました!笑)
    私がその場にいたらタイミングよく消えるなよ!!とツッコミたくなります(笑)
    防護スーツのすり替わりもあり得るなと思ったけど読み戻って消去法をするよりも早く読みたいが勝ちました。笑
    shikaが誰なのかもめちゃくちゃ考えました。鹿なので奈良出身いたっけな?とか、トナカイに似てるしサンタクロース?三多なんていないしなとか。ああドイツ留学か、、次作は全ての情報が更に怪しく見えてくるんだろうな、メモしてまとめながら読んだら分かるかなぁと思いつつも、次作も早く知りたい、犀川の頭の中を知りたいが勝つんだろうなと思ってます(笑)
    今回は、途中まで謎解きに全然乗り気じゃない彼を深読みして騙されたし(同じ人沢山ですよね笑)、萌絵の単独侵入はハラハラしました!
    後半にかけて盛り上がり、一気に読めて楽しかったです!
    平成初期の作品だとは思えない森博嗣の天才感とコンパやフロッピーなどの懐かしワードでいい具合に思い出される90年代の感じの塩梅も好みです。
    Fに続いて今作も、夏特有の匂いや長すぎる夏休みの気怠い空気感、夏の夜の何にもないけど何かありそうなワクワクざわめきを思い出すことが出来ました。それだけで私にとっては良書!!

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    投稿日:2024.03.26

  • k-ωSST

    k-ωSST

    自分が所属している土木工学科が舞台ということで思い入れのある作品になった
    ただ、前作「すべてがFになる」と比べると少しインパクトに欠ける作品と言わざるを得ない
    しかし、前作が良すぎたので作品単体を見れば良い作品に感じる
    今回も名言が随所に散らばっていたが自分的今作の名言は「学問の虚しさを知ることが、学問の第一歩です。テストで満点をとったとき、初めてわかる虚しさです。それが学問の始まりなんですよ」である。
    続きを読む

    投稿日:2024.02.19

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