【感想】神々の山嶺(上)

夢枕獏 / 集英社文庫
(165件のレビュー)

総合評価:

平均 4.4
80
57
19
2
0
  • 血わき肉おどる山岳ミステリー

    「そこに山があるからさ」
    登山に縁のない人でも知っている、有名なこのセリフ。イギリスの登山家ジョージ・マロリーは、エベレストの頂上を目指して出発したきり、帰らぬ人になりました。
    果たして彼はエベレストに登る途中で死んだのか、それとも一度は頂上に辿りつき、下山途中で事故にあったのか?
    エベレスト登山史上最大の謎を解く鍵を、日本人のカメラマン深町誠は見つけますが、せっかく手に入れたものの盗まれてしまい・・・
    一度は日本に帰国したものの、諦めきれない彼は再びネパールの地を踏むことになるのです。

    謎を追いかけるうち、いつの間にかエベレストの魅力に引き込まれる上巻。ドキドキハラハラしながら下巻に続きます。
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    投稿日:2015.03.17

  • 手に汗握る 徹夜ものの山岳小説!羽生のいきざまが心臓に染みる

    圧倒的なリアリティと手に汗握る展開。それでいて謎解きを追う山岳小説はこの神々の山頂の他に知りません。
    登山家カメラマンの深町がある実在の人物が落としたとされるカメラを偶然手にしたところからはじまる。
    山を登るわけでもない私がその魅力に引き込まれる相当な調査に基づくリアリティ、そして文面から伝わる羽生の圧倒的なオーラ。
    読み進めるうちに狂おしいまでにひたむきに山と向き合う羽生が求めるものが一体何なのか、そして山岳界もっとも謎とされた登頂実績にまつわる事実はいったいなんなのか?下巻に向かいずんずん引き込まれていきます。
    山岳ファンのみならず一級のエンターテイメントとしてどなたにも楽しんでいただけます。
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    投稿日:2013.09.29

  • 「危険なことはしないで・・・」「それは山(下巻に)に行くなということだ」

    エベレストの初登攀は誰だ?というミステリーものかとおもいきや、山を背景に重厚な人間模様を描く、骨太の物語。
     決して好きになれそうにない孤高の天才クライマー「羽生」を丹念に描き、語り部である深町が揺れ動く様は「あっ!普段の自分が、”できる人”に持っている嫉妬の感情と同じだ・・・」と少なからずへこみました。 だからこそ!下巻のピークに達するまで登り切ってやろうと決意を固めました。続きを読む

    投稿日:2015.07.09

  • これぞ最高傑作!

    いまだにこれを超える作品に巡り合うことのできない最高且つ最強の一冊。
    男は、自分の夢のために全てを犠牲にしてもいいということを教えてくれる。
    結末のまとめかたも最高にうまい。
    特にラストの羽生の日記は、日本文学史上に燦然と輝く名文である。
    読んで涙すべし!!
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    投稿日:2013.10.07

  • エベレストへ抜群のリアリティと読みごたえ!!

    山岳小説の最高峰といっていいと思います。
    作者の夢枕獏さん自身も「もうこれ以上書けない」と
    叫んだほどの傑作です。
    もう完全に自分が主人公となり、山麓の町での準備から
    超リアルで緻密なアルピニスト体験がまっています。
    そして凍りつく酸欠のエベレスト登山の真っただ中に
    入っていけます!
    読み終わったときは、自分が世界一流の登山家になったような感覚に
    なっていました。圧倒的な迫力とリアル雪山の世界に浸ってください。
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    投稿日:2014.04.05

  • 筋肉と退廃の山岳小説

     筋肉と退廃をこよなく愛する夢枕獏が、本気になって情熱をたたきこんだ山岳小説。

     熱い。孤独で熱い。

     目を前に向けよ、孤独を恐れず、命をかけてその一歩を踏みだせ。

     そうでなければ生きている価値が無い。

     
     そんな感じの小説です。熱かった。
    続きを読む

    投稿日:2013.10.07

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  • はるパパ@ファミコンしようぜ

    はるパパ@ファミコンしようぜ

    夢枕獏さんといえば陰陽師。幻想的な昔語りのスペシャリスト、だとばかり思っていたら全くのお門違い。
    ゴリゴリに現実的で、瑞々しい山岳エンタメだった。
    ヒマラヤを取り囲むチベット・ネパールという異国情緒も生々しく映る。これはハマらないでいられない。

    山登りといえば、ゴルフや釣りと並んで三大老後の楽しみと勝手に決めつけている。お金も時間もかかる。やりきるなら3つからどれか1つを選択しなければならない。
    体力的に最もハードルの高いのが登山だろう。40代でまだ味見すらできていない。華々しいプロの世界もないから露出もない。自分から手を出さなければ、一生味わえない世界。

    最高峰に挑むこの作品で、少しでも気分を味わいたい。
    続きを読む

    投稿日:2024.03.01

  • よっしい

    よっしい

    羽生丈二。なんと不器用で、魅力的な男だろう。 なぜ山に登るのか?という問いにマロリーは「そこに山があるから」と答えたという有名な言葉があるが、「ここに俺がいるからだ」という羽生。
    誰もなし得ていないエベレスト登山に己の全てを注ぎ込む人生。少年から青年になり、年齢を重ねると共に社会に適合するようになっていく周囲の人々とは異なり、常に山だけを見据える。
    決してスマートな生き方ではないのに、小説の中の深町のようにいつのまにか引き込まれていく。

    酸素の薄い地点で高山病に苦しみ、意識が朦朧とする中で、とりとめもない考えががぐるぐる回る様子に、エベレスト登山のリアルさ、怖さを文字から感じた。

    なぜ山に登るのか?というのは、なぜ生きるのか?と同じだと言う。読みながら、自分にとっての目指すべき山嶺とは何だろうと考えていた。

    (補足)映像化もされているが、原作を読む方が断然オススメ。
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    投稿日:2023.12.20

  • mao2cat

    mao2cat

    この本を買ったのは随分前で、有名な作品だし、読んだら面白いのはわかってたけど、分厚い上下巻でなかなか手を出せずにいた。
    けど、読み始めたら止まらない!面白い!
    登山のことはよくわからないし、エヴェレストのこともよく知らない。
    そして、なぜそこまでして登山家は取り憑かれたようにして山頂を目指すのか、ほんとによくわからないけど、読んでて引き込まれた。
    ミステリー要素も多分にあって、これからどうなるのか、下巻が楽しみ!
    続きを読む

    投稿日:2023.08.21

  • 0107springsteen

    0107springsteen

    ★評価は読了後に。
    最近フランスでアニメ映画化された(?)らしいような話を聞き、手に取ってみました。思った以上に重厚さがありますが、一つだけ言えば、描く世界、というか設定・人物描写が狭いものになっているのかな?と。要は大風呂敷広げたエンターテイメントではなく、焦点を絞った日本の小説だなと感じます。
    ただなかなか面白いのは疑いなく、次、楽しみに進みます。
    続きを読む

    投稿日:2022.10.06

  • kratter

    kratter

    エベレストや様々な難所を巡る登山史、登攀史の記述は面白いです。

    ただ、僕には主人公の登山へのスタンスは受け入れられないので上巻で挫折です。

    投稿日:2022.09.05

  • ミイ

    ミイ

    エベレストの最初の登頂者は誰か?今でも論争になる伝説の登山家がいるらしい。その逸話だけでもおもしろい。
    標高8000メートルで消息を絶ったその伝説の登山家のカメラが見つかった?
    上巻は山岳小説らしさもありながら、探索のミステリー要素やネパールの旅情要素もあって読ませる。
    見方を変えると、完全燃焼しきれない中年カメラマンが未練がましくヒマラヤや女性への思いを燻らせたり泥棒に合ったりする話にも思えるけど。
    続きを読む

    投稿日:2022.09.04

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