【感想】トラッシュ

山田詠美 / 文春文庫
(49件のレビュー)

総合評価:

平均 3.8
18
13
12
1
4

ブクログレビュー

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  • harinezuminami

    harinezuminami

    こんな酒浸りの男とはさっさと別れないとダメだ、いやでもこの人を捨てていったらこの連れ子はどうなるのだ、いやでも自分の子じゃない、母親は別にいる、でもでも…ここまで単純ではないけれど、葛藤。

    投稿日:2022.08.02

  • マッピー

    マッピー

    このレビューはネタバレを含みます

    読みごたえがありました。
    それは本が分厚いからというのではなく、内容がヘヴィーだったから。
    こんなにこんなに言葉を尽して他人と話したり自省したりするってことが、日本人はあまりないのではないだろうか。
    けれどアメリカでの評価は掘り込みが浅い、だったそうだ。
    欧米の恋愛は、または人間関係は、それほどにヘヴィーなのか。

    愛している男・リックとの生活に疲れ果てている女・ココ。
    ココはただ、リックを愛しているだけだ。
    愛を伝える。
    彼のために献身する。
    二人の時間を楽しみたい。
    しかし、そんなココの態度が、リックを追いつめる。

    黒人として生まれ、幸せだったと思うことなく大人になったリックは、愛情というものがわからない。
    いつも目に見えるものをしか信じない。
    ココが何を望んでいるか、薄々わかっているけれど、ぞれはリックにとってとても怖いこと。
    だって愛なんて見えないから。

    リックの息子ジェシーは、幼い頃から父母の喧嘩を見て育ち、大人を信じることができない。
    だけど、大人に面倒を見てもらわなければならない子どもであるという自覚はある。
    つまりとても賢い少年なので、ココに懐かない。
    ここにとってもジェシーは邪魔だ。
    なのに、何で親でもない自分ばかりがジェシーの面倒を見なくてはならないのか。

    そういう鬱屈から始まる物語。
    リックはココと対峙することができず、毎晩酒を飲みに出かけてしまう。

    ”世の中の父親は、おやすみを毎日聞く義務を持たないのである。それは母親の義務だ。そして、ジェシーは、その母親ととうに離ればなれになっていたのだ。”


    人種差別や、性的マイノリティに対する偏見など、頭ではわかっていても現実にはいろいろある。

    ”人間の社会は、思うよりもはるかに生理的なものに支配されていると、ココは、いつも考えるのだ。”

    リックといても幸せになれないのなら、リックに幸せを与えることができないのなら、別れた方がいいのではないかとココは思う。
    だけど、できない。
    愛しているから。
    しかし彼女の周囲では、愛し合っているのに不倫をしたり、気持ちが覚めたらさっさと次の人に乗り換えたりする人も多い。
    ココは優しすぎるのだが、それは彼女の長所であり、短所でもある。

    ”何気ない顔をして、人よりも先に幸福を手にする人間。そういう人は、他人を憎んだりもせずに、いつも暖かい雰囲気を漂わせている。”
    これはなかなか鋭い指摘だ。

    ”人間関係の中で、被害者である人間は加害者でもあるんだ。そのことの解らない人間は、愚かだよ。”
    これは難しい問題。
    いじめの被害者や虐待されている子どもに言うことはできないけれど、自分自身に対しては、絶対的被害者であることを免罪符にはしたくないと思う。

    読みながらウクライナとロシアのことをちょっと考えた。
    絶対的な被害者も絶対的な加害者もなくて、どちらにも言い分はあるという立場で話を聞かないと、何かを間違えてしまうのではないか。
    関係性の中にある、というのは、そういうことだと思う。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2022.03.08

  • terry

    terry

    懐かしい。昔の私の恋愛バイブルとも呼べる作品だった。でも、今読むと主人公や彼女を取り巻く人間の価値観がハッキリしすぎていて、押し付けがましく感じてしまった。もう今の私にはしんどいなあ。

    投稿日:2020.12.16

  • H

    H

    多分舞台はNYで、黒人の彼氏リックと、リックの前妻との間の息子ジェシーと住んでるココの物語。

    個人的にはココがいろんな場面で幼稚に思えた。
    なんのかんのと言っても結局子持ち&バツイチ男性と付き合う覚悟が足らなかったのでは?
    私は女だけど、ココのような女性とは仲良くなれないなあと思った次第。

    会話で進むので読みやすかった。
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    投稿日:2020.01.14

  • 0107springsteen

    0107springsteen

    再読、★1.5。
    出だしから、これはダメだなと。この作家、短中編で読める作家であって長編向きでない。ストーリー展開の中で何かを語ろうとする訳ではなく、自己主張ありき・生き方ありきだから、長編では正直しつこい。それが人生そのものと言えばそれまでだけれど、読者に読み方を委ねず、作家が明確な型を要求してくるので、これだけ長いと読んでて辛い。作家と読者の共犯関係が成立してないと飽きるだけかな?まぁ好みの問題かもしれないかもです。続きを読む

    投稿日:2017.12.23

  • なんくるない

    なんくるない

    何年も前に読んで、時々恋愛で考え事する時に部分的に読んでた。甘美でおしゃれな恋愛モノの中に、時にぐっさりくることがある。ゲイのバッキーの恋愛に対する考え方がすき。
    2015.12.13

    投稿日:2015.12.13

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