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吉村昭 / 中公文庫 (6件のレビュー)
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総合評価:
naotan
3
いろんな人の人生に思いを馳せてみる
殺人その他の罪で無期懲役を言い渡され、長い刑期を経て仮釈放の身となった囚人の男、死期が近づき、身よりもない故郷に帰りたいと願う病人を運ぶ運転手、変死を遂げた人の解剖を専門に行う検査技師、実験用のマウス…を飼育し続ける研究所の所員、愛する人に先立たれたわけあり風の親子、漂流し陸地に戻れなくなった漁船の船員。 それぞれ異なる事情を抱えた人々の生活を、静謐な文体で書き綴った短編集。 彼らは私たちとは縁のない、まるで別世界に生きている人間のように見えるけれども、誰もが死にゆく運命にあるという点で同じなのだと思った。続きを読む
投稿日:2013.09.25
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はれ
吉村昭作品を読む時は緊張する。一文字も読み落としてはならないと思うからだ。「秋の街」は7つの短編だが、どれも短編ながら長編を読み終えた後のような疲労感がある。死と向き合う人間の心理描写は隙がなく読後の…虚しさと悲しさを伴う。 『秋の街』は、死は出てこないが、仮釈放の受刑者を見る刑務官の視点から描かれている。逃亡というドラマが起こる不安感を読者も共有する。 我々が日常生活の中で見ないようにしている死と向き合う職業や、大人の闇の部分を垣間見た少年の心理など、顔を覆いながら指の隙間から覗くようなドキドキ感がある。続きを読む
投稿日:2022.11.21
いぶ
比較的初期に書かれた吉村昭の短編小説集。怜悧だけど静かな熱を帯びている筆致は、やはりさすがの一言に尽きる。これなんだよなぁ、吉村昭の小説のかっこよさは。『秋の街』『雲母の柵』『さそり座』がオススメ。
投稿日:2015.05.12
massy
「秋の街」吉村昭 ヒューマンドラマ短編集。無彩色。 昭和の時代の、職業人としての市井の人々の姿を描くオムニバス。 切々と過ごす日常を、今風に言えば「リアルに」描き出しながら、 全体に漂う退廃的な色合…いに吉村昭の世界観を感じます。 監察医助手の卵の短編が、若いにも関わらず、むしろ若いが故に“死”に淡々と向かう姿を鮮やかに描き、印象深かった。 昭和の生活を感じられるという点でもおすすめ。(3)続きを読む
投稿日:2011.01.27
あおい
表題作「秋の街」は仮出所を迎えようとする囚人が何十年かぶりに塀の外へ社会見学にいく、その様子を刑務官の視点で描いたものですが、とても臨場感があるというか現実感があるというか、囚人の気持ちというのも刑務…官の気持ちもとてもよく伝わってきます。大正時代に海を漂流している船員の視点から書いた「船長泣く」もおすすめ。短編とは思えない重厚さ。そのほかの収録作品もどれも人生を鮮やかに浮かび上がらせます。続きを読む
投稿日:2006.11.20
Vava
短編集なんですが、心にぐっと来るような話ばかりでとてもよいです。 自分が年取ったときに読んだら、また違うんだろうなと思います。
投稿日:2005.05.21
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