【感想】最終戦争論

石原莞爾 / 中公文庫BIBLIO
(35件のレビュー)

総合評価:

平均 3.7
6
12
11
2
0
  • 稀代の天才

    満州事変の首謀者であり、時の指導者である東条英機を面と向かって批判したことで左遷された、旧日本陸軍の異端児。
    本著では世界での戦争を多角的な面から分析し、帰納的に最終戦争を予言している。
    また、この最終戦争は単に軍人としてではなく敬虔な仏教徒であったことがうかがえる結論であるともいえる。

    その理論では世界戦争が今後短時間に決着が着く戦争になり、その後最終兵器が開発され、その圧倒的な破壊力によって超大国による一極支配が到来し、恒久的な世界平和が到来するという彼の理論は、すばらしい洞察力であると思う。

    ただ、絶大な威力を誇る最終兵器がもたらした冷戦や国家の枠組みを外れたテロリズム、サイバー空間での戦闘さすがに予見できなかったようである。

    体系的な戦争史を知るのにも適しているし、ページ数も多くなく読みやすく思われるかもしれないが、一部戦術について知識がないと厳しいところはある。
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    投稿日:2013.09.25

ブクログレビュー

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  • Jimmy

    Jimmy

    書店でたまたま見つけて興味を持ち、購入しました。興味深かったのは、古代、中世、近代、現代の時代ごとに、西洋の戦争の歴史を分析し、戦争の性質を決戦戦争と持久戦争に分類したり、兵制を国民皆兵と傭兵に分類したりして、最終的には、東洋文明の日本とアングロサクソンの西洋文明の代表であるアメリカとが、「世界文明統一」のための「最終戦争」を行う、と予言したところです。戦史の分析については、西洋に限定されており、上述のように一般化できるのか、判断がつかないところもありますが、1つの考え方としては理解できます。また、本篇は昭和15年に発表されたようですが、そうすると、その一年後の12月8日に真珠湾攻撃が起きているので、アメリカとの最終決戦という予言は当たったことになります。日本は、対日石油輸出の全面禁止で対抗されながら、アメリカと、ぎりぎりまで交渉を続けたわけですが、一方でアメリカと戦わなくてはいけない運命も受け入れていたことがわかります。一方で、受け入れ難いことは、宗教の最も大切なことは予言であると言っているところです。「日蓮上人は、日本を中心として世界に未曾有の大戦争が必ず起こる。その時に菩薩が再び世の中に出て来られ、日本の国体を中心とする世界統一が実現するのだ」と日蓮が言うことを引用し、宗教面においても、日米の最終決戦が起きることを根拠づけようとしています。この辺の記述に関しては、胡散臭さを感じながら、話し半分で読みました。他にも突っ込みたいところはいくつかありますが、その一方で、なんとなく引き込まれるような魅力も感じました。例えば、八紘一宇は、現代では日本の世界征服の野望を表現した標語と考えられているようですが、これは、石原莞爾の信仰の師が、日本書紀に出ている神武天皇建国の詔勅の中の、六合を兼ねて以て都を開き八紘を掩うて宇を為さん…から作った新しい言葉ということです。真意は全く日本の世界征服でなく、道義に基づく世界統一の理想を述べたものであるという意味のようです。いろいろ書いてみましたが、上っ面しか捉えていないと思います。時間をおいて、日本国近代史を学び直した上で、読み直してみたいです。続きを読む

    投稿日:2023.05.13

  • 四十路

    四十路

    このレビューはネタバレを含みます

    星2は本に対してではなく内容を理解できない自分に対しての評価。

    兵器の進化(核)で均衡が保たれると予測したのはさすがだけど統一云々までの過程が???

    もっと歴史を勉強します…

    レビューの続きを読む

    投稿日:2023.05.05

  • argrath

    argrath

    「戦争史大観」で出ていた最終戦争論の部分をより詳しく書いたもの、かな。
    第二部「最終戦争論に関する質疑応答」で細かい疑問点にも
    触れられているのでよくわかった。

    宗教の部分を置いとくとしても、まあ考え方はかなり鋭いよなあ。
    この通りにいかなかったのは、日本人の全体的なモラルが
    石原が考えるほどなかった、ってことなのかもな。
    まあ短いし、読んで損はない。
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    投稿日:2019.03.07

  • hokkaido

    hokkaido

    日本の現代史において、「なぜ太平洋戦争のような明らかに負けが決まっている勝負に突入してしまったのか?」という意思決定の誤謬を問うことは、恐らく最も重要な論点の一つである。その論点を考える上で、関東軍参謀として満州国という理想を掲げて日中戦争を引き起こしながら、東南アジア・太平洋への戦線拡大には批判的であり軍部を左遷された天才的軍人、石原莞爾の思想を知ることも、また極めて重要であろう。

    石原莞爾は日本の陸軍にとっては明らかに異端児であり、その思想の論理性や明確な絶対平和へのビジョンについては、驚愕せざるを得ない。そして、日本の左派はこれに対抗できる論理を、ロシアからの借り物であるマルクス・レーニン主義以外にどれだけ構築できたのかというとその点は恐らく全く構築できておらず、思想の強度が明らかに異なる点に、戦前から連なる左派のふがいなさすら感じてしまう、というのは言い過ぎだろうか。
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    投稿日:2018.09.24

  • いりあ

    いりあ

    大日本帝国陸軍軍人である石原莞爾が1940年に発表した著作。1940年5月に京都での「人類の前史終わらんとす」の講演内容をまとめたもの。なかなか興味深い内容です。これから日本が突入するであろう最終戦争を欧米戦史や仏教などの観点から考察しています。ちょっと仏教のお話は微妙ですが、本職の軍人だけあって戦況の考察はさすがです。今では第二次世界大戦及び太平洋戦争の顛末を知っているので、ここに書かれた内容の当たっていた部分も間違っていた部分も分かりますが、当時の人たちがどう感じたか気になります。続きを読む

    投稿日:2018.08.30

  • yoshidamasakazu

    yoshidamasakazu

    石原莞爾 「 最終戦争論 」危険な本だと思う。

    論理性は欠いているのに 「最終戦争が終われば 平和になる 」という 戦争プロパガンダ的メッセージが 宗教のように 頭に入ってくる。兵器の破壊力を低く見積もっていることも危険

    アメリカ、ヨーロッパ、ロシア、東アジアの4つの世界が破壊兵器による最終戦争を経て、1つの世界のみが勝利したときに平和が訪れるというもの

    続きを読む

    投稿日:2018.03.11

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