- 最新巻
ロボット創造学入門
広瀬茂男(著)
/岩波ジュニア新書
作品情報
地雷探知除去ロボットをつくるとき,アフガニスタンの現場でつい地雷原に入りこんでしまった! そんな危険な体験をしながら,つくりあげた実用ロボットはどんなものになったか? さまざまな用途のヘビ型や四足歩行ロボットを開発してきた著者が,それぞれどのようにつくったかを解説し,ロボットの形や心の未来も語る.
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商品情報
- 著者
- 広瀬茂男
- ジャンル
- サイエンス・テクノロジー - 工学
- 出版社
- 岩波書店
- 掲載誌・レーベル
- 岩波ジュニア新書
- 書籍発売日
- 2011.06.21
- Reader Store発売日
- 2023.03.23
- ファイルサイズ
- 14.8MB
- ページ数
- 220ページ
- シリーズ情報
- 既刊2巻
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この作品のレビュー
平均 3.8 (6件のレビュー)
-
説明が「む?ちょっと高度なのでは?」と思うところがいくつかあるけれど、いろんなロボットの登場はそれだけで面白い。ミライのロボット事情についても、まあそうだろうな、とは思う(アシモフファンとしては、反論…したくなる部分もいくつかあるけれど)。
蛇足ながらちょこっと入っている行政批判も笑えるし、少々悲しくもなる。ああお役所。。。続きを読む投稿日:2016.09.04
広瀬茂男(1947年~)氏は、横浜国大工学部卒、東工大大学院博士課程修了、東工大大学院助教授・教授等を経て、同大学院名誉教授。多くの独創的なロボットやロボット技術を開発している世界的権威で、ヘビ型ロボ…ット、四足歩行ロボット、惑星探査ロボット、地雷探査ロボット、全方向移動ロボットなどで多くの業績がある。エンゲルバーガー賞受賞。紫綬褒章、瑞宝中綬章を受章。
本書は2011年出版のジュニア向け新書だが(現在絶版)、成毛眞の『本棚にもルールがある』(2014年)の中で必読と書かれており、今般、新古書店で偶々見つけて入手した。
目次は、1.地雷探知除去ロボットをつくろう、2.いろいろなロボットをつくる、3.創造的思考法、4.未来のロボットの形はどうなるか、5.未来のロボットの心はどうなるか、6.ロボット・クリエイターになるには、となっており、1章、2章では、地雷探知ロボット、ヘビ型ロボット、四足歩行ロボットについて、具体的な開発のプロセスが書かれている。また、3章では創造的な問題解決手法(①情報の収集、②目的と制約条件の明確化、③発散的思考による問題解決法の展開、④収束的思考による問題解決法の選択)、6章ではロボットの作り方(駆動機構系、センサー系、制御系、全体)という、主に、ロボット工学を志すジュニア向けに相応しい内容が含まれている。
ただ、本書において一般の大人が読んで目から鱗が落ちるのは、4章と5章の「未来のロボットの形・心」のくだりであろう。
未来のロボットの形については、我々は、SF映画などから、人間に近い形をしたもの(ヒューマノイド)を想像するし、研究者たちの多くも、ロボットはいずれ人間の形にするべきと考えているが、著者はそれを否定する。というのは、技術というものは、何かを模倣しようとして始まったとしても、その過程で、新しい技術や使える要素技術の制約などから、その目的とする機能を達成する最適な形態にその形を臨機応変に変えて進化するのが普通だからだという。そして、それを踏まえると、未来のロボットは、人間の行っていることを代替するヒューマノイドではなく、現在ある機械がその本来の機能を拡張するために、知能性や運動性を獲得してロボット的なもの(それが人間に近い形である可能性は限りなく低い)になっているのが自然であるという。著者が描く未来の姿は、子守役ヒューマノイド、野球やゴルフを教えるインストラクター・ヒューマノイド、案内嬢ヒューマノイド達が人間社会の中に割り込むものではなく、人間社会の中の子守役、インストラクター、案内嬢は引き続き人間が行い、ロボットは人間社会を支えるインフラや環境管理などの作業を黙々とこなすものなのである。
また、未来のロボットの心については、有名な「アシモフのロボット3原則」に異論を唱える。というのは、同原則においては、ロボットにも生物的な生存欲があることを想定している(『2001年宇宙の旅』に出てくる人工知能HALのように)が、ロボットを知能化することと、ロボットが生物化する(=生存欲を持つ)ことは全く別のことであり、ロボットの存在のあり方が生物と同じになる必然性はないし、寧ろそうならないように注意して開発すべきであるという。つまり、生物型ロボットではなく、高度な知能性を持ちつつも、あくまで機械として働くロボットを指向するのである。
私は、AIの問題を、現在人類が直面する大きな問題の一つとして捉えており(究極の懸念は、人類の知能を超えたAIが人類に敵対するリスクである)、本書もそれを意識して読んだが、(出版から僅か10年しか経っていない)現在のITテクノロジー・AIの進歩は、著者の唱える未来のロボットの形・心を、既に遥かに超えているように思える。
この現状を著者ならどう考えるのか、改めて尋ねてみたい。
(2022年11月了)続きを読む投稿日:2022.11.15
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