この父ありて 娘たちの歳月
梯久美子(著)
/文春e-book
作品情報
石牟礼道子、茨木のり子、島尾ミホ、田辺聖子、辺見じゅん・・・・・・。
不朽の名作を生んだ9人の女性作家たち。
唯一無二の父娘(おやこ)関係が生んだ、彼女たちの強く、しなやかな生涯。
『狂うひと』『原民喜』『サガレン』など、話題作を発表し続けるノンフィクション作家が紡ぐ、豊穣たる父娘の物語(ナイン・ストーリーズ)。
目次
・渡辺和子
目の前で父を惨殺された娘はなぜ、「あの場にいられてよかった」と語ったのか?
・齋藤 史
二・二六事件で父は投獄された。その死後、天皇と対面した娘が抱いた感慨とは――。
・島尾ミホ
慈愛に満ちた父を捨て、娘は幸薄い結婚を選んでしまい、それを悔い続けた・・・・・・。
・石垣りん
四人目の妻に甘えて暮らす、老いた父。嫌悪の中で、それでも娘は家族を養い続けた。
・茨木のり子
時代に先駆けて「女の自立」を説いた父の教えを、娘は生涯貫いた。
・田辺聖子
終戦後の混乱と窮乏のなかで病み衰えた父の弱さを、娘は受け入れられなかった。
・辺見じゅん
父の望む人生を捨てた娘は、父の時代――戦争の物語を語り継ぐことを仕事とした。
・萩原葉子
私は、父・朔太郎の犠牲者だった――。書かずには死ねないとの一念が、娘を作家にした。
・石牟礼道子
貧しく苦しい生活の中でも自前の哲学を生きた父を、娘は生涯の範とした。
・「書く女」とその父 あとがきにかえて
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商品情報
- シリーズ
- この父ありて 娘たちの歳月
- 著者
- 梯久美子
- 出版社
- 文藝春秋
- 掲載誌・レーベル
- 文春e-book
- 書籍発売日
- 2022.10.25
- Reader Store発売日
- 2022.10.25
- ファイルサイズ
- 7.7MB
- ページ数
- 280ページ
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この作品のレビュー
平均 4.5 (24件のレビュー)
-
筆者の梯久美子は、本書のあとがきに「"書く女"とその父」という題名をつけている。その題名の通り、本書は、9名の、比較的活動時期の古い、従って、既に亡くなられている女性作家とその父親との物語を描いたもの…である。執筆の動機について、筆者は「女性がものを書くとはどういうことか、ということに、私は長く関心をもってきた」と書いている。これら9人の女性作家たちが、ものを書くようになったこと、あるいは、書いている中身、に父親がどのように影響を与えているかを考える、すなわち、「娘と父の関係を通して、新たな側面からこのテーマについて考える」ことが狙いであったということだ。
それぞれの女性作家たちの経験は強烈だ。
例えば、渡辺和子は、2.26事件で青年将校に襲撃・殺害された父親が、自宅で実際に殺害される場面を9歳の時に目撃している。萩原朔太郎の娘、萩原葉子は、「私はまさしく父親の犠牲者としてこの世に生まれた」という父親・親族との関係を持っていた。それらは、もちろん、彼女たちの作家として書くものに、そして、その背景となる人生そのものに大きな影響を与えているのだ。
本書は、日本経済新聞の、土曜日朝刊に連載されていた。書評欄の裏のページに書かれていたように記憶している。新聞連載の1回分に書ける分量は限られており、どうしても、話が断片的になってしまう。今回、単行本で読むことが出来て良かったと思う。筆者は、ノンフィクション作家であるだけに、本書の取材や調査も行き届いていると感じた。続きを読む投稿日:2023.08.23
家庭環境によって人生が左右されることを意味する「親ガチャ」本といっても言い過ぎではないほど登場する人物は死ぬまでその影響を感じされる内容。
梯久美子さんの足で取材したからこそ書かれた内容だからこそより…リアルな人物像が浮かんでくる。そして、一文字でも読み飛ばしさせてくれず、じっくり本と向き合うことになった。
それにしてもよくこれらの人物を選んだな、という父そして子供(娘)ばかり出てくる。
読後ここから、それらの著書を読んでみたくなる読み手に行動を起こさせてくれる。続きを読む投稿日:2024.01.01
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