池上彰の世界の見方 東欧・旧ソ連の国々 ~ロシアに服属するか、敵となるか~
池上彰(著)
/池上彰の世界の見方
作品情報
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ロシアとウクライナの情勢を徹底解説!
「ロシアと西側諸国の間に緩衝地帯を設けたい、プーチンの個人的な思いとは?」「クリミア併合時、プーチンがついた嘘とは?」「クリミア併合後、クリミア住民がロシアに対して抱いた意外な感情とは?」「ウクライナの反ロシア感情の原点は、ウクライナであった大飢饉。いったいなぜ起きたのか?」等、ウクライナ情勢を、歴史的な経緯から詳しく解説。ロシアによるウクライナ侵攻の背景がわかります!
さらに、「東京都が日本を乗っ取ったようなソ連邦解体」「チェチェン弾圧で大統領になったプーチン」「杉原千畝ゆかりのリトアニアが持つ悩みとは」「世界から孤立し、ロシア頼みのベラルーシ」「民主化したポーランドとハンガリーが右傾化したのはなぜ?」等、旧ソ連の崩壊の歴史や、東欧・旧ソ連諸国の現状まで、幅広く紹介します。
近年、これらの国では大きな事件が発生しています。ウクライナはロシアから戦争をしかけられ、ベラルーシは国家がハイジャック事件を起こしました。カザフスタンなど「スタン」がつく国には独裁者が多くいます。なぜそんな事態になったのかについても、池上彰が徹底解説いたします!
(底本 2022年4月発行作品)
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商品情報
- シリーズ
- 池上彰の世界の見方
- 著者
- 池上彰
- 出版社
- 小学館
- 掲載誌・レーベル
- 池上彰の世界の見方
- 書籍発売日
- 2022.04.26
- Reader Store発売日
- 2022.04.21
- ファイルサイズ
- 9.1MB
- シリーズ情報
- 既刊16巻
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この作品のレビュー
平均 4.4 (25件のレビュー)
-
【感想】
「池上彰の世界の見方」シリーズ13作目。本シリーズは、世界情勢に重大な変化があれば、その当事者国に強く焦点を当てて解説してきた。IS誕生のときは中東を、アメリカ大統領選挙のときはアメリカを、…ブレクジットのときはイギリスとEUを取り上げている。今回はロシアのウクライナ侵攻を受け、旧ソ連と東欧諸国の国々を解説している。
ロシアの軍事行動の土台となるのが「緩衝国家」の概念である。EUやNATOといった西側諸国とロシアとの間に一国を挟むことで、敵の侵略に対して時間的余裕を確保する狙いがある。ソ連時代にはロシア共和国以外の各共和国を衛星国家として周りに配置し、西側諸国に対する壁として機能させていた。その衛星国内部に対しても自治州を設置して民族の分断をあおり、ロシア本国への反抗を封じている。この影響が、中央アジアの「〇〇スタン」国家群や、コーカサス地方に乱立する自治州として今でも残り続けている。
究極のところ、ロシアに接している国は否が応でもロシアの影響から逃れられない。
しかしながら、日本人は「日本もロシアのお隣の国」という意識が希薄である。
ロシアにターゲットを向けられているのは主に東欧や中央アジアの国だが、シベリア側に目を向ければ、中国や日本、そしてアメリカでさえもすぐそばに位置している。巻末で池上さんが「この本をきっかけに日本のあり方に目を向けてみて欲しい」と残しているが、まさにその通りで、地政学的には日本も他人事ではいられないのだ。ロシアが強大な軍事力を活かして周辺国にどのような外交を展開してきたのか、そしてウクライナなどの(比較的)小国家はどのように対応してきたのかを学ぶことは、露中に圧迫されるように太平洋に位置している日本にとっても、決して無駄ではないはずだ。
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本書を読んで、やっぱり池上さんの本は非常に分かりやすいと思った。もともとが学生への出張講義をベースに組み立てているだけあって、分かりづらいことをかみ砕いて説明しながら、かつ専門的になりすぎないようにバランス良くまとまっている。各国がどういう歴史を辿って今に至るのかと、今後どのように外交を展開しようとしているのかを、初学者向けに細かく解説している。学生だけでなく、大人にもおすすめな一冊だ。
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【まとめ】
1 ソ連の建国
ソビエト連邦を構成する15の共和国を現在の国名で言うと、ロシア、ベラルーシ、ウクライナ、モルドバ、ジョージア、アルメニア、アゼルバイジャン、カザフスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、タジキスタン、キルギス、エストニア、ラトビア、リトアニア。
ソ連は連邦国家のため、本来は州ごとに法律を持つ地方分権国家なのだが、資本主義国家からの干渉による侵略を恐れたソ連は、社会主義体制を維持することを重要視する。結果、ロシアのスターリンを中心とし、東ヨーロッパの国々を隷属関係に置く独裁国家が誕生する。
連邦国家を維持するために、アゼルバイジャンやジョージアの国内に「自治州」を設置し、民族同士を分断させることでロシアに反抗できないようにした。また、中央アジア地域のトルコ系イスラム教徒たちを分断し、複数の国(〇〇スタン)を作った。
2 ソ連崩壊
スターリンの死後、フルシチョフが第一書記となりスターリン批判を展開する。その後ブレジネフ政権を経て、1985年にゴルバチョフが書記長に就任。停滞する経済を立て直すため、ペレストロイカとグラスノスチによる民主化政策を実施すると、各共和国に内政干渉をせず自由な活動を認めるようになる。1989年にはブッシュ大統領と会談し、核兵器の削減に合意して冷戦終結を宣言した。同年11月にはベルリンの壁が崩壊。東ヨーロッパ各国で共産党政権が倒され、独立機運が高まっていった。
ゴルバチョフ(間接選挙によるソ連の大統領)の内政に不満を抱いた政府高官がクーデターを企てるが、エリツィン(直接選挙によるロシア共和国の大統領)により阻止される。これによりゴルバチョフとエリツィンの力関係が逆転。エリツィンがソ連共産党の活動禁止を命じ、ソ連の財産を全てロシア共和国に移す。同時に、ウクライナ、ベラルーシのトップと秘密会議を開き、ソ連の解体と独立国家共同体の創設を発表する。1991年12月25日、ゴルバチョフがソ連大統領を辞任し、ソ連が消滅した。
崩壊後、15の共和国がソ連から独立したが、資本主義へ切り替わろうとしても産業がない。結果、圧倒的な大国ロシアを頼るか、ロシア以外の国々と関係を築いて自立を目指すか、どちらを選ぶか迫られることとなった。現在でも多くの国は、ロシアの影響から完全に逃れられていない。
3 ベラルーシとウクライナ
ベラルーシの第一回大統領選挙で当選したルカシェンコは、就任から2年後に大統領の権限を大幅に強化する憲法改正案を提案し、国民投票で承認させた。2001年に再選を果たすと、今度は大統領の3選禁止規定を削除する憲法改正案を承認させて、独裁者の地位を固める。その後、2020年の選挙まで大統領6選、27年に及ぶ長期政権を続行中であり、「欧州最後の独裁者」と呼ばれている。
2020年の大統領選挙が不正だったとして反政府運動が盛り上がると、ルカシェンコはプーチン大統領にすり寄る。プーチン側はベラルーシを支援するかたちで、ロシアの支配下に置こうと考えていた。
ウクライナは世界を代表する穀倉地帯である。
ウクライナがソ連の一部だった時代、スターリンが進めた集団農業の影響によりウクライナ全体で深刻な飢饉が起きる。これをきっかけとしてウクライナ人の間で反ロシア感情が生まれることとなった。
ソ連から独立したウクライナは西側諸国と手を結ぶことを模索する。しかし、ウクライナの東部にいるロシア系の住民がこれに反発し、西のEU派と東のロシア派に分かれて内戦状態が生まれる。
ウクライナの南部で黒海に面したクリミア半島はもともとロシアに属していたが、フルシチョフがウクライナを懐柔するため、ロシア領だったクリミアをウクライナにプレゼントした。歴史的にクリミア半島は長い間ロシアに属しており、またクリミア半島にある不凍港セヴァストポリは軍事戦略の要衝であったことから、ロシア政府にとって非常に面白くないものだった。
そこでプーチンが突然、クリミア半島はロシアのものであると宣言する。これを受けてクリミア自治州では、ウクライナから独立をしてロシアに帰属するかどうかを問う住民投票が実施される。投票の結果「編入に賛成」という票が多数を占めたと発表され、クリミアはロシアに併合された。
2022年2月2日、プーチン大統領は親ロシア派が樹立した自称国家「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の独立を承認する大統領令に署名し、ロシア軍の派遣も指示する。そして2月24日、ロシアがウクライナに軍事侵攻を開始した。現在、ウクライナはNATOから武器の支援を受けて一人で戦っている状態だ。
ロシアが、親ロシア派が多いウクライナの東半分を編入しないのは、ウクライナの東半分(親ロシア派)がロシアに編入されたら、西半分(親EU派)がEUに入ったり、NATOに入ったりするかもしれないから。そうなると、ロシアは、EUやNATO軍が駐留するような国と国境を接することになる。ロシアはあくまで緩衝地帯を置きたいだけであり、ウクライナを全部ロシアのものにしようとは考えていない。ウクライナあるいはベラルーシを、ロシアにとっての緩衝地帯にしようとしている。
4 ポーランドとハンガリー
ドイツとソ連により分割統治されたポーランドは、第二次世界大戦後ソ連の衛星国のひとつになる。
ソ連崩壊により民主化したポーランドは、1999年にNATO、2004年にEUに加盟する。もともと社会主義国であったポーランドは国民の教育水準が高く、労働賃金は極めて安かったため、EU加入後には多くのポーランド人が域内に出稼ぎに行った。なかでもイギリスへ向かう人が多く、100万人のポーランド移民がイギリスに住むようになった。この結果、イギリス人の仕事が減少し、EUから離脱する原因のひとつを作ったと言われている。
ポーランドでは2015年から現在まで、右派政党「法と正義(Pis)」の政権が続いている。同政権は、裁判官の人事やメディアへの政府の介入、性的少数者の権利の侵害など、民主主義のありようをEUから再三批判され、改善を求められてきた。2021年10月には、ポーランドの憲法裁判所がEU基本条約のうち一部の条項は同国憲法と相いれない、つまり「ポーランドの国内法がEU法に優先する場合がある」と宣言した。これをきっかけにEUとの溝が深まっている。
そうしたポーランドを支持しているのがハンガリーだ。
ハンガリーは2010年にオルバーン・ヴィクトル政権が発足してから、憲法を改正して報道機関への統制を強めるなど、言論の自由、表現の自由が失われつつある。また、セルビア国境にフェンスを設置し、北アフリカや中東からの難民入国を阻止している。
2国はEUの基本方針と対立しているものの、EUから多額の資金援助を受けているため、イギリスと違って離脱することはないだろう。続きを読む投稿日:2022.05.08
◯◯スタンの国々のことがあやふやなので、シリーズのロシア巻とともに読み、世界情勢の理解が深まって良かった。
某ポッドキャストで「ハンガリーはEUのガキ大将」のようなことを言っていたが、その所以も知れた…。
授業相手である学生さんの質問がレベルが高く、素晴らしいと思う。続きを読む投稿日:2023.12.02
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