ポー傑作選2 怪奇ミステリー編 モルグ街の殺人
エドガー・アラン・ポー(著)
,河合祥一郎(訳)
/角川文庫
作品情報
!!!【2022年3月NHK Eテレ「100分de名著」】!!!ミステリーの原点がここに。――ポー新訳2冊連続刊行!世界初の推理小説「モルグ街の殺人」、史上初の暗号解読小説「黄金虫」など全11編! 解説「ポーの死の謎に迫る」彼がいなければ、ホームズもポワロも金田一も生まれなかった――世界初の推理小説「モルグ街の殺人」。パリで起きた母娘惨殺事件の謎を名探偵デュパンが華麗に解き明かす。同じく初の暗号解読小説「黄金虫」や、最高傑作と名高い「盗まれた手紙」、死の直前に書かれた詩「アナベル・リー」など傑作を全11編収録。ポーの死の謎に迫る解説や用語集も。世紀の天才の推理と分析に圧倒される、新訳第2弾!【ポーの傑作ミステリー+詩】世紀の天才のメジャー作から知られざる名作まで全11編モルグ街の殺人 "The Murders in the Rue Morgue" (1841)ベレニス "Berenice" (1835)告げ口心臓 "The Tell-Tale Heart" (1843)鐘の音(詩) "The Bells" (1849)おまえが犯人だ "Thou Art the Man" (1844)黄金郷(エルドラド)(詩) "Eldorado" (1849)黄金虫 "The Gold Bug" (1843)詐欺(ディドリング)――精密科学としての考察 "Diddling" (1843)楕円形の肖像画 "The Oval Portrait" (1842)アナベル・リー(詩) "Annabel Lee" (1849)盗まれた手紙 "The Purloined Letter" (1844)作品解題ポーの用語ポーの死の謎に迫る
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商品情報
- シリーズ
- ポー傑作選
- 著者
- エドガー・アラン・ポー, 河合祥一郎
- 出版社
- KADOKAWA
- 掲載誌・レーベル
- 角川文庫
- 書籍発売日
- 2022.03.23
- Reader Store発売日
- 2022.03.23
- ファイルサイズ
- 2.3MB
- シリーズ情報
- 全3巻
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この作品のレビュー
平均 3.3 (7件のレビュー)
-
世界初の推理小説『モルグ街の殺人』
小学生のころの児童書で初めて読んだときは、意外な真相におおいに驚いたのを覚えています。今回改めて読んで、推理小説というもののかたちはこの時点ですでに完成していたのだ…と感じました。
狂気的な殺人現場、バラバラの証言、消え失せた犯人……。それを解くのは理屈っぽい名探偵とその相棒。
不気味で不可思議な事件に、キャラのたった名探偵が相棒とともに挑む。今なお続く探偵小説のフォーマット。それがこの時点で完成していたことがそう思った理由ではありません。奇怪な真相に至るまでのロジックの組み立てが、しっかりと本格ミステリらしく作り込まれているからです。
不可能なものを排除していって、残ったものがどんなに信じられないものでもそれが真実である。
これはホームズの言葉だけど、推理小説の元祖である『モルグ街の殺人』から今に至るまで、この言葉がミステリの歴史に脈々と受け継がれているのだと今回改めて感じました。そう考えると感動もひとしおです。
『モルグ街の殺人』以外のポー作品は初読。『モルグ街』以外での有名どころは暗号小説である「黄金虫」や、モルグ街の殺人で活躍した名探偵デュパンが再登場する「盗まれた手紙」あたりかな。
「黄金虫」も暗号解読のロジックが素晴らしかった。こういう小説の形式や楽しみを初めて生み出したポーの偉大さを改めて感じます。「盗まれた手紙」は今読むとさすがに使い古されたパターンではあるのだけれど、最初にこの観点に気づいたのは、やはりすごいと感じます。
観点で言うと『詐欺――精密科学としての考察』という短編も面白い。いろいろな詐欺や騙しの手口が次々と出てきて、これ一編で短編集一冊分のアイディアが出て来たんじゃないかと思える。
他にも描写の不気味な怪奇小説系の作品や詩も収録されていて、ミステリ作家だけではないポーの側面を楽しめる短編集になっています。
解説も面白かった。ポーはアルコールが原因で亡くなった、みたいな話はなんとなく聞いた覚えがあったのだけど、今回の新訳を担当した河合祥一郎さんは別の仮説をたて、デュパンよろしく推理をしていきます。当時の証言や様々な文献から約170年の時代を超えた繰り広げられる謎解きは、ジョセフィン・テイの名作歴史ミステリ「時の娘」を思い起こさせます。
小説でも解説でも謎解きの楽しめる一冊です。続きを読む投稿日:2022.05.08
ポーの作品といえば、史上初の推理小説と言われ、表題にもなっている「モルグ街の殺人」が有名で、実際読んだことがあるのはその作品だけだったけど、他の作品を読んでみてこの著者の後世に与えた影響の大きさがよく…わかった。
特にホームズシリーズを連想とさせる記述が多く、「盗まれた手紙」はボヘミアの醜聞を彷彿とさせるし、ホームズシリーズで好きだった「踊る人形」は思い切り「黄金虫」の暗号解読術を引用していたのでびっくり。
江戸川乱歩的な怪奇さもあり、なるほど魅力がある推理小説家です。
ただ、途中に何個か挟まれている詩の必要性がまったくわからない...。続きを読む投稿日:2024.03.20
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