カメラの前で演じること
濱口竜介(著)
,野原位(著)
,高橋知由(著)
/左右社*
作品情報
世界が注目する濱口竜介監督の書き下ろし演出論。映画とともに生きるとはいかなることなのか、カメラの性質と演技の本質を根源から問い直し、ワークショップや本読みを経て、これこそが演じることだと思わせる瞬間を引き出す。その驚くべき映画の方法が「ハッピーアワー」の成立過程を通じて解きあかされる!4万字超の圧倒的な書き下ろし演出論に加え、「ハッピーアワー」シナリオ+サブテキストを完全収録!
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この作品のレビュー
平均 4.9 (10件のレビュー)
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生きることと演じることが「違わない」(この言葉の美しさ!)状況を作り出し、出演者のほとんどが演技経験のないこの世で最も美しい映画を作り上げた濱口竜介の制作過程とそのシナリオを収めた貴重な書物。台詞を自…らのはらわたから発された言葉に近づけるための途方もない工夫の数々は、フィクションという手法を通じて演者の人格をドキュメントするという作り手の誰もたどり着いたことのない試みに収斂されている。濱口竜介監督から受け取る「自信家」とも「謙虚さ」とも違う確信に満ちた他者への信頼感が一語ごとに託されている。台詞だろうがアドリブだろうが、演技だろうが人生だろうが、「はらわた」で反応している瞬間というのは美しく、そんな時空を映画作りを通じて子どものような無邪気さと化学者のような執拗さで追求する著者の誠実さが曖昧ではない言葉の隅々に行き届いている。続きを読む
投稿日:2019.12.25
このレビューはネタバレを含みます
カメラはすべてを映し出す。映画製作上の制約(時間やコスト)によるOKテイクはどうもぎこちない(らしい)。演者の言いづらさによる「間」すら捉えてしまう。
レビューの続きを読む
言い換えれば、制作態度や制作準備、それまでの生活…や演者・スタッフの関係性をすべて投影する。フィクションのなかに圧倒的なリアルがそこにある。そのリアルの中において、演者は何をするのか。
ただ演技をするのではない何かがそこにあるからこそ、映画を撮り続けているのではないか。カメラの前で演技するとは何なのか。
この本において提出される濱口の解は、「カメラの前で演技をするというその条件下において、恥というべきその人らしさ(社会規範や関係性を取っ払った先にある自分の価値基準というべきもの)が表出して記録される。その記録は将来無限の人たちに届け続けるという希望だから」だとする。ただ、将来無限のひとたちに自分の一挙手一投足を隈なく届けられてしまうのは恐ろしいものでもある。その恐怖に打ち勝つために「聞く」ことが求められる。
「聞く」こととは演者同士やスタッフ・演者間の信頼関係と言っていいだろう。「社会規範には準じない行動をとっていいものか、この人達がいるなら、やってみようか」といった風に。それを構築するためのWSであり、サブテキストであり、本読みなのである。
では、カメラで撮影すればいいのであれば、ドキュメンタリーという手法もあるのでは。
そこはキャラクターを演じるからこそ到達できる恥があるとする。
キャラを演じるために演者は台本を覚える、まず演者自身によって台本は吟味される。自分にとってそれを言えるのか。ただ、言えなさをすべて無くすことは不可能だ、映画のメッセージ/ゴールがあるからだ。そのギャップにこそ恥がある。限りなく演者のからだに沿って作られた台本だが、最終的には演者から離脱する部分が生じる。限りなく自身に沿って組まれた台本とそこまで辿ってきた演技によって、その分岐点で演者自分(キャラクターではなくその人自身)でも想定していなかったような「そうせざるを得なかった」行動を取ってしまう。そしてそれこそ最深部の恥であり、その人本来の魅力である。その導出のためのフィクションなのだと。
限りなく自分でありながら、他人であるそのキャラクターがいるからこそ、恥を導出できる。
誰にも言えないこと、言わないことは誰にでも存在する。だが、時間をかけて作られた関係性をもった友人にこそ、ポロっと話してしまうこともある。そこで表出してしまった恥も受け手からしたら、魅力的に映っているだろうか。
友人だけにではなく、演技という装置を通じれば、もう少し自分の恥も差し出すことができるのだろうか。続きを読む投稿日:2023.02.11
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