カスタマーデータプラットフォーム デジタルビジネスを加速する顧客データ管理
マーティン・カイン(著)
,クリス・オハラ(著)
/翔泳社
作品情報
DX時代の顧客データ基盤「CDP」の考え方と導入方法を紹介カスタマーデータプラットフォーム(CDP)はデジタル時代の重要なビジネスインフラ。その導入の方法と顧客体験の向上のためのデータの管理・活用の考え方を解説。著者の2名は、米国セールスフォース・ドットコムの有識者。米国のデジタルビジネスの最先端の経験と知見に基づきB2Bの顧客、オンライン顧客、リアル店舗からEC、アプリ、ソーシャルなど複雑なチャネルを通じて得られる顧客データを適切にマネジメントする方法を紹介。DXへの取り組みを考えるビジネスリーダー、デジタル・マーケティングを推進するマーケター顧客データ管理のシステムに携わるIT関係者にお薦め。【内容】(一部)・顧客データに関する課題・CDPとは何か・顧客の同意を得た上でのファーストパーティデータの管理と活用・顧客主導型のマーケティングシステムの構築・機械学習とAIとCDPの関係・カスタマージャーニーのオーケストレーション※本電子書籍は同名出版物を底本として作成しました。記載内容は印刷出版当時のものです。※印刷出版再現のため電子書籍としては不要な情報を含んでいる場合があります。※印刷出版とは異なる表記・表現の場合があります。予めご了承ください。※プレビューにてお手持ちの電子端末での表示状態をご確認の上、商品をお買い求めください。
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…たとえば、パーソナライゼーションを改善すると、eコマースWebサイトのコンバージョン率は平均15~20%、エンゲージメント率は30%上昇します。メールをパーソナライズすると、開封率は6%以上高くなり…ます。Webサイトのアクセスにもとづいて、ソーシャルネットワーク上の広告のターゲティングを行うと、クリックスルー率を2倍に高めることができます。複数の研究の推定によると、単純で漸進的な方法であっても、大きなセグメントからOne to Oneのターゲットに移行することで、すぐに平均顧客生涯価値が20%、エンゲージメント率が30%以上高くなります。
消費者向けブランドに対するロイヤルティは低下しつづけます。それは、「即時」エクスペリエンスの重要性がブランドの価値(すなわちロゴの心理的、感情的な価値)を上回るあらです。ブランドの価値の変化を長期間追跡しているコンサルティング企業のInterbrand社によると、消費財ブランド(コカ・コーラ、ペプシ、ケロッグなど)の平均的な価値は近年4%低下し、小売ブランドの価値はさらに低下しています。その一方、4大プラットフォームブランド(Google、Apple、Facebook、Amazon)の価値は、同じ期間にほぼ10%上昇しました。
■CDPの3つのタイプ
・インサイトCDP
【強み】永続的な統合顧客プロファイル分析の作成
【弱点】データ収集とコネクターリアルタイムでの更新と判断
【ベンダー】AgilOne/ActionIQ/ARM Treasure Data
・エンゲージメントCDP
【強み】リアルタイムのデータ収集と速やかな判断
【弱点】データ管理と健全性分析
【ベンダー】mParticle/Segment/Tealium
・エンタープライズソリューション
【強み】インサイトプラットフォームとエンゲージメントプラットフォームの両方のメリット
【弱点】市場参入が遅かったため、成熟度が低い/スタンドアロンソリューションがない
【ベンダー】Salesforce/Adbe/Oracle/Microsoft
そもそものCookieの理念は、プライバシーを侵害することなくインターネットの利便性の向上を目指すというものでした。実際、匿名のIDであり、ユーザー自身が削除できます。
現代は、企業やそのマーケティング部門によるデータの収集や、それを利用されることに抵抗感のある消費者が増えています。Forrester Reeansの調査によれば、オンラインサービスを利用する米国成人の半数以上が、もし広告を避けられるなら、意識的に避けると回答しています。プラウザーのブロック機能を使って、ターゲティング広告ができるだけ表示されないようにしているという人は、およそ4分の1にのぼります。またARF(Advertising Research Foundation)のデータによれば、マーケティングネッセージに対して「受容性が低い」消費者は、この10年増加の一途をたどり、3人に1人を超えています。
■試してみるべき4つのプライバシー戦略
1.本人の知らないところでその人の情報をやり取りしない
2.コントロール感を与える
3.メリットを具体的かつ肯定的な表現で説明する
4.人はそれぞれ違うということを忘れない
知る“最適な顧客”
誰かのことを、真に「知る」ことなどできるのでしょうか?実生活で難しいなら、マーケティングの場面でも難しいものです。幸い、マーケターは、相手の心の奥底までのぞき込む必要はなく、単にシリアルをもう1箱、ミニバンをもう1台売ればよいのです。ただ、ここまで詳しく説明してきたように、「知る」にもさまざまな側面があります。まず、既知のデータ(個人情報、PII)と未知のデータ(仮名化)の両方を収集するための技術的能力という側面があります。マーケターは、顧客が自分の判断で明らかにした情報(名前、住所、メールアドレス、好み、購入状況、来店状況、アンケートなど)のほか、顧客の意図がうかがえる情報(クリック、動画視聴、Webサイト訪問、PlayStationのセッション、ビーコンのビンなど)をすてて収集する必要があります。
「知る」ためには、そうしたデータを収集して保存できる、莫大な的能力だけでなく、データの構成を共通の分類法で整理して「信頼できる情報源」にするという視点も必要になります。知るとは、データ管理を技術ではなく、企業として不可欠なものとして考えるということです。つまり、企業にとっては独自のファーストパーティデータを資産として形成する強い意志を持つことを意味します。
知るためには、データ管理プラットフォーム(DMP)や、カスタマーデータプラットフォーム(CDP)、データウェアハウス(DWH)が必要ですが、購入しただけでは「知る」ことを実現できるわけではありません。「知る」ことは組織の哲学です。つまり、企業はできる限り多くの意思決定を、利用者のデータに照らした上で下す必要があるということなのです。
また、昨今、人々を「知る」には、「同意」や「プライバシー」に関してまったく新しい考え方が必要です。大量の「利用者データ」を収集するのは簡単(やや簡単すぎる)ですが、顧客が自ら進んで提供してくれた分のデータだけを収集するのは難しいものです。第5章でも説明したように、重要なのは顧客データの量ではなく、同意された量です。同意なしのデータ集は、冷蔵庫を期限切れの肉でいっぱいにするようなものです。一見貴重に見える、役に立たない食品を保管していることになります。しかも不正なデータを利用した場合のペナルティが、2,300万ドルあるいは年間売上高の4%に達する可能性がある今の世の中では、企業にとって致命的といえるでしょう。
また、「知る」というレイヤーは、フレームワークのその他の部分の基盤となるものでもあります。月並みな表現ですが、「ごみを入れればごみしか出てこない」ということです。適切なデータセットの構築の重要性をとてもよく言い表しています。価値のあるデータ資産に必要なものは第一に「同意」です。顧客データに関わる全属性について同意を得るほか、データベースから削除して 「忘れられる」ことを可能にする必要があります。それは、「オプトイン/アウト」という二元的な仕組み(定期的に送られるメールを読めば、リターゲティングを許可する仕組み)ではなく、顧客が自由に特定のタイプのターゲティングをオプトイン/アウトできる柔軟なインフラを持つことを意味します。
「信頼できる情報源」を持つためには、既知のデータ(顧客情報の統合)と未知のデータ(クロスデバイスID)にまたがって、顧客IDを照合できる機能が必要です。ただ、これに伴い、何通りもの人々を相手にマーケティングを行うことになるため、非効率が発生して、信頼に対する疑念が生じる場合もあります。また、AIの活用にはデータセットが大規模なことが求められます。データセットが大規模で充実すれば、AIはデータ内の偏差への識別能力が高まり、有意義なインサイトをもたらします。
私たちは、「つながる」レイヤーとは、複数のチャネルをまたいだよりスペリエンスを2つの異なる方法で提供できる能力だと考えています。つは、「カスタマージャーニー」をルールに沿って管理することであれもう1つはやり取りが発生したら「即時」にリアルタイムでカスタマージャーニーを提供することです。マーケターには、この両方のスキルが必要です。
ジャーニー管理とは、顧客がさまざまなチャネルでブランドとやり取する方法を、長期的にオーケストレーションしていくことです。メールサービスプロバイダーは、多くの場合、初回の購入が行われた直後から、新しいカスタマージャーニーの様態を管理できる機能を売りにしています。はじめに導入メール(「ようこそ!」など)を送った後、ロイヤルティプログラムへの登録を促すオファー(「登録してお得に!」など)を送信し、組み込みのインテリジェンスで顧客の行動に応じてやり取りを管理します。メールが開封されなかった場合、ソーシャルメディア広告を使い、登録してもらえるまで顧客をナーチャリングします。やっとのことでロイヤルティプログラムに登録してもらえたら、購入履歴にもとづいたオファーを毎週メールで送信します。
ジャーニーのオーケストレーションは、「つながる」レイヤーの家に重要な部分を占めます。パーソナライゼーションによって既知の顧客が最大限の価値を引き出そうとする場合は特に重要です。
リアルタイムインタラクション管理(Real-Time Interaction Management:RTIM)とは、オーケストレーションの「即時」版です。実現するには、さまざまなツールや豊富なリアルタイムデータ機能が必要です。従来型のジャーニーのオーケストレーションは、主に既知のチャネル(メール、SMS.プッシュ通知、ソーシャルメディア)を利用し、数時間、数日、数週間かけて実施されます。一方、RTIMの場合、Webサイト、モバイルアブリ、SMSメッセージ、プッシュ通知などのチャネルで、数秒や数分のうちにパーソナライゼーションを行う必要があります。RTIMが効果を発揮するために参照しなければならない顧客データは、リアルタイムのプロファイルストアに保存する必要があります。顧客がリアルタイムジャーニーの次のステップに関連する行動を起こすたびに、データは更新されます(これらの重要機能については、第10章で詳しく説明します)。
たとえば、一般的な趣味サイトで旅行関連のコンテンツを閲覧していると、すぐ次のページに、旅行に関する「おすすめ記事」が出てくることがあります。メールの特定の商品オファーをクリックすると、わずか数秒後にはeコマースサイトに、その商品が表示されるという場合もあります。顧客が複数のチャネル間を、ほぼリアルタイムで渡り歩くようになっている今の時代において、RTIMは、急速に切り替わるエクスペリエンスを結び付けて関連性を高め、売上拡大を実現する手段です。
大企業の場合は、社内に独自のチームを擁し、オンライン広告、メールマーケティング、Webサイト、アプリを管理しています。ただ、成功を収めるためには、「マーケティング部門」がCDPのセンターオブ・エクセレンスの中の1つとして声をあげ、組織全体の広告、メッセージング、Webサイト、アプリのエクスペリエンスをつなぐ1本の糸としての顧客データの必要性を主張する必要があります。CMOがCDPのオーナーとなるのはそのためです。CMOは、ポートフォリオ全体に関与する多くの独立したチーム、ベンダー、エージェンシーすべてを管轄するエグゼクティブの役割を担います。
ジャーニー: 現在
カスタマージャーニーを構築するには、2つ以上のチャネルを連携させるだけでなく、ID機能を改善する必要があります。たとえば、Webサイトにログインした人のメールアドレスとブラウザーCookieを結び付けるのは大したことではありません。しかし、匿名でサイトを閲覧している人が実際には既存の顧客であるという事実を見分けようとすると、とても難しくなります。
マーケターは、詳細な顧客プロファイル(CRMレコード、Cookie、モバイルIDなどのさまざまなID)をつなぎ合わせた上で、顧客がファネルのどの部分にいるのかを判断し、適切なクリエイティブ、オファー、メッセージを対応させることができなければなりません。これが、さまざまなチャネル間で連携できる「ライフサイクル」マーケティングです。
ジャーニーベースのマーケターは、顧客接点マーケティングから「深い溝を乗り越え」、キャンペーン志向のアプローチからマルチチャネルの方法論へと移行した人たちです。月ごとや四半期ごとに新しいキャンペーンを企画するのではなく、チャネルエンゲージメントを一連の流れの中で結び付け「この商品がお好みなら、こちらもお試しください」というような)、複数のチャネル(メール、Webサイト、ソーシャルメディア)で実施します。顧客接点マーケティングからジャーニーマーケティングに移行する上ですべての鍵となるのは、企業のデータ管理能力(利用者データの連携)と、オーケストレーションするための技術力(チャネルの連携)です。
ですが、消費者が、リアルタイムで価格データにアクセスでき、スマートフォンでクリックするだけで、ほぼ無限の選択肢が得られる現代であれば、シャープ氏はどう対応するのでしょうか?「メンタルアベイラビリティ」を獲得するため、消費者がいるあらゆる場所に、ブランドが存在しようとする場合、もはやテレビのようなマスリーチチャネルだけ過剰投資すればいいわけではありません。つまり、Facebook、Instagram、Pinterest、TikTokなど、数多くのチャネルに展開しなければならず、コス下的にも膨大で網羅することはほぼ不可能です。また、「フィジカルアペイラビリティ」についても、すべての消費者がeコマースでクリックするだけで1万もの小売店を利用できる時代になっているため、もはやいくつかの小売店で一番いい位置を確保してもうまくいきません。
■理想のCDPの5本の柱
1.あらゆる一般的なソースとフォーマットのデータの取り込み
2.データの整形(データのフォーマットを合わせ、クレンジングする)
3.顧客に関する情報を正確に関連付けるID管理
4.他の分析と同様、使いやすいドラッグ&ドロップインターフェースでのセグメンテーション
5.アクティベーション(判断や指示を、必要とするすべての場所に送信して利用する)です。続きを読む投稿日:2022.07.02
主要なプラットフォームの役割を振り返りながらCDPが何なのかを理解できます。CRMといえば多くの人が理解できるのに、CDPときくと一言で答えられない、そういう人が多いのではないかと思います。
CDP…にはモバイルの普及によってカスタマーがPC、モバイル、タブレットと様々なデバイスから未特定の状態も含めてWebやアプリを利用する状況をトレースするDMPに足りない機能を補完するプラットフォームとしての枠割が期待されている。その不足する機能とは未特定(匿名)カスタマーのデータとCRMに代表される特定済カスタマーのデータを紐付けたり、完全な紐付けができないまでも、大量のデータの傾向をつかむことによってセグメントを可能にしたりするものを含む。続きを読む投稿日:2024.02.12
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