この作品のレビュー
平均 3.5 (20件のレビュー)
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違和感を覚える人も多い「○○させていただく」について(自分も場面によっては強く違和感を覚える)、語用論の観点から分析している本。
著者が以前に出版した学術書の内容を非専門家向けに噛み砕いて解説してい…るため、内容の妥当性を保ちつつ、非常に読みやすい。
敬語に遠隔性と近接性があって、これらの調節の自由度が高いために「させていただく」の人気があることや、「させて」と「いただく」が統合的に運用されており、その後に続く語の多様性が損なわれていくことが平板的な表現を招き、特に働き盛りの世代からの人気が少ないこと、そもそも全ての敬語は「敬意の漸減」を免れ得ないことなど、興味深い分析結果がたくさん披露されている。
また、「させていただく」の運用についてのみならず、語用論のアプローチ自体の概説書になっているのも面白い。「言葉は生き物だから」という言葉自体ももはや耳慣れすぎて若干食傷気味だけれど、語用論アプローチがこれほどまでに丁寧に言葉の運用のされ方や変遷を描くことができるのか、ということを発見できて感動した。
さらに、ゴフマンの理論が用いられており、社会学を専攻していた身からしても親近感を覚えた。
言葉の運用について、それを排他的に扱うでもなく、称揚するでもないような眺め方は、人間をよりよく理解しようという人文学・社会科学の根幹に適切に則ったものだな、と感じた。続きを読む投稿日:2022.01.09
「させていただく」使用の理由や歴史的経緯について。著者はこの言葉について中立的あるいはやや肯定的な立場で説明している。文法とか元々の意味から言葉遣いを考えるというよりは、今よく使われているのは理由があ…るからだ、という立場。させていただくというのを、文法的に謙譲語だと言うのでなく、使われ方からもはや丁重語だと分類している。
敬意漸減というのは初めて聞いたけれど、納得感が大きかった。かつては適切だった敬語が、時代とともに敬意がすり減って、失礼に聞こえるようになる。自分自身、「させていただく」を使うのは、敬語を使っているはずだけど何となく失礼に聞こえる気がする、というときに「敬語の上乗せ」として使うという感覚がある。
敬語は、相手への敬意とか自分のへりくだりという上下の位置調整のほかに、相手との横方向の距離感調整という機能もある。
調査に関しては、比較の仕方や解釈に疑問を覚えるところもあった。ただ、これは新書だからということで説明が省かれている面もあるのかもしれない。
敬語に対するこのような感覚を、私たちがどうやって身につけるのかに興味がある。学校で習う敬語はたぶん時代ごとにそう変わらないだろうに、なぜ私たちは敬意漸減を感じ取って、させていただくのような新しい敬語をちょうど良いと認識するようになるんだろう。不思議だ。続きを読む投稿日:2024.02.01
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