ユーゴスラヴィア現代史 新版
柴宜弘(著)
/岩波新書
作品情報
民族,国家,宗教,言語・・・・・・.独自の社会主義連邦の道を歩んできたユーゴの解体から三〇年.暴力と憎悪の連鎖が引き起こしたあの紛争は,いまだ過ぎ去らぬ重い歴史として,私たちの前に立ちはだかっている.内戦終結から現在にいたる各国の動向や,新たな秩序構築のための模索などについて大幅に加筆.ロングセラーの全面改訂版.
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商品情報
- シリーズ
- ユーゴスラヴィア現代史 新版
- 著者
- 柴宜弘
- 出版社
- 岩波書店
- 掲載誌・レーベル
- 岩波新書
- 書籍発売日
- 2021.08.27
- Reader Store発売日
- 2021.12.23
- ファイルサイズ
- 8.6MB
- ページ数
- 298ページ
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この作品のレビュー
平均 4.1 (10件のレビュー)
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柴宜弘(1946~2021年)氏は、埼玉大学教養学部卒、早大大学院文学研究科博士課程満期退学、ベオグラード大学哲学部歴史学科留学、東大教養学部・大学院総合文化研究科教授等を経て、東大名誉教授、ECPD…(国連平和大学)客員教授、城西国際大学特任教授・中欧研究所長。専門はバルカン史。
本書は、1996年に刊行された『ユーゴスラヴィア現代史』に、ユーゴ解体後の状況を加えて「新版」として2021年に出版された。
私は以前より、世界各地で続く宗教・民族的な対立や紛争に関心が高く、それらについて論じた本や、現地を取材した(フォト)ジャーナリストの書いた本を多数読んできた。その縮図ともいえるエルサレムとヨルダン川西岸地区には、フリーで訪れたこともある。
そして、ユーゴスラヴィアもそうした問題を抱えてきた場所であり、その歴史が現在にどのように引き継がれ、それをどのようにして乗り越えようとしているのかを、いつか訪れて肌で感じてみたいと思っており(コロナ禍で実現できるかもわからなくなってしまったが)、今般本書を目にし、そもそもの歴史を詳しく知りたいと思い、手に取った。
ユーゴはもともと「はざまの国」といわれた。それは、冷戦期に東西両陣営に属さず、政治・外交的に非同盟政策を採っていたことに留まらず、古くは東ローマ帝国と西ローマ帝国の境界線上に位置していたし、中世においてはビザンツ・東方正教文化圏と西方カトリック文化圏の接点でもあり、更に近代では、ハプスブルク帝国とオスマン帝国との辺境を形成し、イスラム文化との接触も進んだことなどによる。
更に、バルカン半島は、民族構成が複雑で、諸民族が混在し、混血も進んでいた地域であり、第二次大戦後に再建された「第二のユーゴ」は、「7つの国境、6つの共和国、5つの民族、4つの言語、3つの宗教、2つの文字、1つの国家」と表現される、世界でも稀な複合国家であった。東西冷戦終結後は、連邦を構成していた6つの共和国(スロヴェニア、クロアチア、セルビア、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、モンテネグロ、北マケドニア)とコソヴォの7ヶ国に分かれて現在に至っている。
読了して、あらゆる面での複雑さに驚き(到底想像の及ぶものではなかった)、また、「ユーゴの縮図」と呼ばれるボスニア・ヘルツェゴヴィナが今も非常に複雑な統治体制(ボスニア・ムスリムとクロアチア人からなるボスニア連邦とセルビア人からなるセルビア人共和国の二つによる連邦制)の下にあることを認識したのだが、最大の疑問は、「第二のユーゴ」が壮絶な内戦により7つの国に分裂したことは必然だったのか、である。そして、一般的には、原因は複雑な民族構成や宗教の違いにあったと、いわば決定論的に説明されるのだが、著者はそうした考えには与せず、人々は長年に亘り、お互いの違いを認めながら、知恵を絞って共生してきたにもかかわらず、一部の政治エリートがそうした違いを意図的に際立たせ、人々を煽り立てた側面が強いと分析している。即ち、あの目を覆いたくなるような悲惨な戦いは、避けることができたはずだと言うのだ。
著者は旧版「はじめに」で、本書について「ユーゴを含むバルカン地域、そして民族問題をかかえる多くの地域において、今後、多様性や異質性を保障する、新たな思考や枠組みを作り出す糸口を見つけること」を目指している、と語っている。
旧ユーゴは紛れもなく世界の縮図である。その何(十)倍もの国家・民族・宗教を抱える世界が向かうべき道を考える上で、我々はユーゴの歴史を参考にしなければならない。
(2021年8月了)続きを読む投稿日:2021.08.31
旧ユーゴスラヴィアの事を全く知らなかったのが、ほとんど知らないくらいになれたかもしれない。もう少し勉強してからまた読んでみたい
投稿日:2023.03.27
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