イオンを創った男――「人間」岡田卓也と『十章』を読む

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  『#イオンを創った男』
  
  ほぼ日書評 Day535
  
  卓也2歳にして没した父。顔の記憶はない、その父から経営哲学を受け継いだ。その秘密は、米軍による空襲に唯一耐え焼け残った土蔵にある。父親の日記、経営…論、そこに経営の教科書とすべきものがすべて残されていた。さらに、この時代の商家としては驚くべきことに、「貸借対照表」も作成されていたのだと。
  
  1970年、ジャスコ設立間もない頃、松本市にある老舗百貨店の救済・債権の要請を受けた。従業員とのミーティングに臨んだ岡田は、「今は松本に1店舗だが、今後はどんどん各地に出店していく。出店候補地はどこだ?」と参加者に問いかける。長野市と答えが返ってくると「長野市は人口どれだけや？ そうすると2店出せるな、次はどこだ？」と次々と参加者から答えを引き出しつつ、都合20箇所、地図上にピンを打ち「まあ、とりあえず3年で200億円やな」、その上で「君は何が得意なんや」「とうや、君、店長やってみるか」、最初は車に構えていた参加者たちも、次第に飾らず率直に答えるようになっていった。
  それまで、団体交渉の対立の構図でしか社長や幹部と話をしたことがなかった者たちが、自分の夢を語り出した。
  
  超「オープンクエスチョン」である「どや？」
  イエスマンよろしく万事順調的な回答ではなく、現場目線での生々しい課題や障害を聞き出すための、限りなくシンプルな問いかけ。
  ★時代は下るが、リクルート創業者の江副氏もこうした問いかけの名人だったという。
  
  保守主義に陥らぬよう、店長には「商品部の言うことは聞かんでよい」、商品部には「店の言うことは聞くな」、本社と本部、部門間でも同様に常に揺さぶりをかけ、停滞、淀みの起きないよう働きかけた。
  
  良書であるが、プレジデント社ともあろう出版社が、校正ミスが多いのが何とも情けない。「功績のあった」を「鉱石」、「根を上げる」（本来は「音を上げる」）、出版元こそ、人を育ててもらいたいものである。
  
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  投稿日：2022.01.25

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  iwawanko

  筆者は元イオンの従業員ということもあり、少したたえすぎのように感じる部分はあるが、日本の小売業の地位を向上させるという志のもと、岡田氏の人生と人間性を知ることができて面白かった。
  文中にある、会社を運…営するための考え方は経営者だけでなく、組織の中で働く者にも参考になると思った。
  
  小さな断片的な変化を見逃さない、それが大きな変化になるか類推想定する能力が必要であり、その能力を鍛えるためには、漫然と物事を見ない、雑なことをしない、おごり高ぶらない、問題意識を持つことが重要。続きを読む

  投稿日：2024.02.05

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