ルポ コロナ禍で追いつめられる女性たち~深まる孤立と貧困~
飯島裕子(著)
/光文社新書
作品情報
困難が集中するシングルマザー、DV等でステイホームすることがままならない少女、エッセンシャルワーカーとして現場に立ち続ける女性。ある人は非正規雇用の待遇に怒り、ある人は孤立感から自死を考える・・・・・・。私たちがコロナウイルスの影響を受け始めてから1年半余り。その間に女性たちに何が起こっているのか。当事者の言葉を丹念にすくいあげた取材記録によって、コロナ以前から変わらないこの国の実態が浮き彫りになる。
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この作品のレビュー
平均 5.0 (3件のレビュー)
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◎日本は貧富の差があります。日本は先進国でなく発展途上国に後退したと感じています。私たちは難しい人生をと感じています。
投稿日:2021.11.07
〇新書で「コロナ」を読む②
飯島裕子『ルポ コロナ禍で追いつめられる女性たち』(光文社新書、2021)
・分 野:「コロナ」×「女性」
・目 次:
はじめに
第1章 シングルマザーを全方位から…襲う困難
第2章 ステイホームできない女性たち
第3章 エッセンシャルワーカーの苦境
第4章 テレワークの明と暗
第5章 孤立する女性たち
おわりに
・総 評 :
本書は、コロナ禍で苦境に立たされる女性たちのルポルタージュである。著者はノンフィクションライターとして活動しており、これまでも「貧困」をテーマにした著書を発表している。
以前より、コロナ禍で「女性」が大きな打撃を受けていることは指摘されてきたが、本書では、当事者である女性たちの実際の声が掲載されている。なぜ、ここまで女性たちが苦境に立たされているのか――そのポイントは、以下の3点にまとめられる。
【POINT①】「この国では父親がいないと本当に生きづらいのだと感じることばかり」
シングルマザーの女性たちは、コロナショックの影響を強く受けた。例えば、一斉休校によって学校や保育所、介護施設などのインフラが停止し、彼女たちのような「母親」が働くための前提が失われた。また休業補償も、算出方法に問題があったり、申請に必要な確認を雇い主が拒否したりするなど、まさに“絵に描いた餅”の状態であった。その背景には、働き方の多様化で「家計自立型非正規」が増加する一方、未だに女性や若者は「家計補助型非正規」として企業に都合よく扱われているという問題があると指摘する。
【POINT②】「未だに妻/嫁/母でない女性が利用できる支援がほとんどない」
経済的な困窮や家庭内の人間関係から、家に居られない(失った)女性への支援の少なさも、コロナショックで露呈した。現行制度では、女性が家を失う要因は「夫の暴力(DV)」しか想定されておらず、経済的困窮などは想定されていない。特にシングル女性が利用できる施設は驚くほど少なく、DV防止法の範疇に収まらない女性たちは、売春防止法にある「放置しておくと売春の恐れがある要保護女子」を拡大解釈する形でしか、婦人保護事業を利用できないという差別的な状況にあると指摘する。
【POINT③】高齢おひとりさま女性の貧困
全世代の中で、最も貧困率が高いのは「高齢単身女性」の世帯であり、約2人に1人が貧困という状況にある。彼女たちは非正規のエッセンシャルワーカーに従事する比率が高く、コロナ禍でも解雇や雇い止めを恐れて休業できない状況にあった。この背景には、現行の社会保障制度が「サラリーマンと専業主婦」をモデルとし、単身女性の年金額が男性よりも低いことがある。しかし、感染リスクを恐れてひきこもりがちな生活を送る人が多く、SNSへの発信力も弱いため、問題の存在自体が認知されていないと指摘する。
これらの問題について「自己責任」や「男性も辛い」といった感想を抱く人もいるだろう。しかし、ただでさえ社会が想定するレールから少しでも外れた人たちに冷たい日本社会の中で、さらに「女性である」ことの困難さがあることを、本書は明確に指摘している。行政による様々な支援制度がある一方で、制度を受けられない、または、制度が想定していない人たちがいるという事実を「知る」ことこそ、より良い社会を築いていくための第一歩となるのではないだろうか。
(1199字)続きを読む投稿日:2022.09.17
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