殺戮の宗教史(東京堂出版)
島田裕巳(著)
/東京堂出版
作品情報
十字軍の「聖戦」、魔女狩り、異端諮問から、NYの同時多発テロ、シャルリー・エブド社襲撃事件、イスラム国(IS)による人質誘拐殺害などイスラム過激派によるテロ事件、オウム真理教による地下鉄サリン事件まで、人類の歴史を振り返ると、宗教の名の下で行われる「殺戮」は数多くみられる。なぜこのような「殺戮」は繰り返されるのか。ある特定の宗教が危険な存在なのだろうか? 果たして「和解」の道はあるのか。本書では、世界の宗教にみられる「殺戮の歴史」をたどりながら、その背景や宗教の教義、神の役割について徹底分析する。たんに現象を追うだけでなく、それぞれの宗教の根本をおさえることによって、なぜ宗教による殺戮が起こるのか、その理由を考察していく。この問題は私たち日本人にとっても無縁ではない。「宗教的テロの時代」の本質を理解するための必読書。
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商品情報
- シリーズ
- 殺戮の宗教史(東京堂出版)
- 著者
- 島田裕巳
- 出版社
- PHP研究所
- 掲載誌・レーベル
- 東京堂出版
- 書籍発売日
- 2016.03.10
- Reader Store発売日
- 2021.08.06
- ファイルサイズ
- 2MB
- ページ数
- 288ページ
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この作品のレビュー
平均 4.0 (3件のレビュー)
-
人間は「死」を免れることが出来ない。「死」をどのように捉え向かい合えばよいのか、この問題に対処し導きを得るための「宗教」が必要となる。人類の歴史は「死生観」に根ざした宗教がぶつかり合う生存競争であり、…信仰する宗教と政治信条の相違が必然的に殺戮を生むことになった。宗教(神も仏も)は、殺人を戒め抑制する役割を担っているが、戦争やテロによる殺戮が繰り返されてきている。全人類の四分の一を超えるイスラム教は、武力による拡大を正当化し聖戦を旨とする。全人類の無宗教化で殺戮の宗教史が幕を閉じるのか、甚だ疑問が残る。続きを読む
投稿日:2021.08.19
宗教の専門家によるキリスト教、イスラム教、仏教、ユダヤ教を中心とした宗教史。宗教どおしの争いに焦点を当て分析している。勉強にはなったが、結論がはっきりしないように思う。
「経済が発展するということは…、新たな経済格差が生まれるということでもある。それまでの生活基盤を失ってしまう人間たちも出てくる。彼らは都市のスラムに住むことを余儀なくされたり、自分たちの境遇に対する不満を募らせていく」p4
「(文明の衝突)今後、危険な衝突が起こるとすれば、それは西欧の倣慢さ、イスラムの不寛容、そして中華文明固有の独断などが相互に作用して起きるだろう(ハンチントン)」p64
「アッラーは、イスラム教を信仰するムスリムたちに、自らを信仰の対象としない多神教徒を皆殺しにするよう命じていることになる」p91
「イスラム教という宗教は、仏教やキリスト教と比較した場合、驚くほど単純であるという側面をもっている」p97
「教団のような組織の存在しないイスラム教では、そもそも律は存在しようがなく、すべては自発的な戒めである。そのために、たとえ豚肉を食べたとしても、それで罰せられることはないのである」p103
「教団が存在しないために、テロの実行犯を特定の教団の人間としてとらえることができず、その結果、イスラム教徒であるという側面が強調されることになる。それによって、イスラム教こそが危険な宗教であるというイメージが拡大していくことになるのである」p106
「(イランのイスラム革命)それまで時代遅れの古い宗教とみなされてきたイスラム教は、一気に現代史の舞台において重要な役割を演じることになった」p117
「一般に、多神教と一神教は対立するものとしてとらえられる。多くの神を同時に祀る多神教は信仰に対して寛容な傾向を示すのに対して、一神教は、唯一絶対の創造神に対する信仰を強調するので、他の信仰を認めず、不寛容な姿勢を示すとされる」p122続きを読む投稿日:2018.10.23
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