兇人邸の殺人

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  piroyan2690

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  待望のシリーズ第３弾！

  いやあ、まんまと真犯人をミスリードしてしまいました。また兇人の正体も直前まで選択肢に入れてなかったです。全体的にかなりぞっとする内容で、最後の決死のトリックはその最たるものでした。それでもどんどん読み…進めてしまい止まらなかった。面白かった。しかし、何ちゅう終わり方や（笑）続きを読む

  投稿日：2021.07.31

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  ABAKAHEMP

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  前2作とは明きらかに出来が....

  著者の手法の新しさは、絶海の孤島や自然災害などによって他と交信不能の断絶された限定空間を創出するのではなく、ゾンビや超能力者などのキワモノを登場させて、それを実現していること。
  さらに、ゾンビなどを…単に舞台を閉じるための道具としてのみに使うのではなく、内部の殺人に巧みに連携させていることにあった。
  つまり、キワモノを犯行の動機として凶器としてアリバイとして用いたりという舞台装置の活用に面白さを感じていた。
  今回はそれは踏襲されているのだがどうもイマイチで、逆に2作目の予言でクローズドサークルを実現させた斬新さをもっと評価すべきだったと読みながら後悔してしまった。
  
  本作で著者はこれまでとは違う新しい仕掛けも取り入れている。
  衝動的な殺人を事後に別の共犯者が隠蔽する、犯人と隠蔽者が別々というトリックは『犬神家の一族』でもお馴染みの手法だが、犯人が犯人をかばうだけでなく、探偵と殺人犯という本来は敵対関係にあるはずのものを、一種の協調関係を実現させ、利害を一致させるという企みは面白い試みだとは思ったが、難点はいくつもある。
  
  まず、当初からホームズ役の剣崎とワトソン役の葉村を別々に引き離し、安楽椅子探偵を実現するというのは構想にあったのだろうが、とても効果的だったとは思えない。
  巨人と同じ棟に閉じ込められ一番危険なシチュエーションなのに、結果的に一番安全な避難先だった(会いに行けばいつでもご宣託を受けられる)という展開もそうだし、何よりスマホを手に入れ外部と連絡がつくようになると、このお姫さまは無双状態になるのだ。
  政財界に顔が利き、警察の上層部や公安にも知り合いが多い特殊な探偵カイドウに指示できる剣崎グループのご令嬢はもう無敵で、巨人が紫外線を恐れて身動きができないうちに、さっさと早朝から跳ね橋降ろして、邸内にバケモノを封じるバリケードを構築させればいいじゃないかと思ってしまう。
  
  そもそもこのホームズとワトソンという設定もいつまで引っぱり続けるのか。
  第一作で一人のワトソンを二人のホームズが取り合う関係は面白いと思ったが、その時も感じた明智先輩の印象が鮮烈なのに比べ、剣崎の造形がいつまでたっても月並みなで平凡。
  ずば抜けた観察眼に明快な推理力というだけではなく、ホームズの造形には極度の人間嫌い、コカイン常用などの悪習の持ち主という生活破綻者の一面が皆無に近い。
  
  そのホームズの社会の窓とも言うべきワトソン役の葉村の造形も酷いといったらない。
  ホームズを助けるはずが裏で助けられてばかりで、自分の無力さに歯痒さを噛みしめ、ウジウジと逡巡を繰り返す存在。
  「俺は彼女の隣に立つ資格があるのか」「彼女に期待し、頼ることしかできない自分が嫌だ」と煮え切らない葉村に向けられる「弱いのならこれから強くなればいい」という言葉。
  グッとくる奇特な人もいるかもしれないが、別の人に替えた方がよくないかと素直に感じてしまう。
  
  他にも登場人物の行動が不可解すぎて謎。
  裏井は、ケイの暴走を止め救い出すために屋敷に乗り込んだはず。
  不木の計略やその後に起こる展開も十分に予想できたはずなのに、なぜまんまと犠牲者の数を増やすにまかせたのか?
  不木が地下の監視カメラのモニターを破壊したのも謎で、金属扉の内に隠れて犠牲者となる供物の末路を愉しめる権利を自ら放棄してしまい、作者の都合の良い舞台環境を提供してしまっている。続きを読む

  投稿日：2022.11.24

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