ひめゆりの沖縄戦 一少女は嵐のなかを生きた
伊波園子(著)
/岩波ジュニア新書
この作品のレビュー
平均 4.2 (15件のレビュー)
-
[ 内容 ]
半世紀前、一〇代の少女たちが戦争のなかを生きた。
「飯上げ」、傷病兵の看護、壕掘りといった作業は彼女たちを死の危険にさらした。
米軍に追われて、ついに最南端まで追いつめられてゆく。
一八…歳の一少女の目を通して、多数の住民を死に巻きこんだ沖縄戦の実相が浮かびあがる。
[ 目次 ]
1 ひめゆり平和祈念資料館で
2 沖縄戦前夜
3 南風原陸軍病院で
4 喜屋武半島で
5 死線をさまよう
6 ゼロからの出発
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]続きを読む投稿日:2011.03.23
生と死が隣り合わせ。あと1秒早く壕を出ていたら、あと数メートル後ろに居たら、目の前の爆発や空から降り注ぐ爆風と破片に四肢をもぎ取られ、頭を吹き飛ばされ、お腹から臓物を飛び散らし無惨に失われていく命。そ…れでもなお、爆発でできた穴に横たわり、流れてくる雨水とも血とも解らない水分を啜り、這いつくばって生を求める女学生。正にこの世の終わり、生き地獄が最も相応しい表現だった時間。今私たちは平和な世の中に凡そ銃声すら生涯聞くことのない様な世界に暮らしている。少し転んでかすり傷で泣いていた幼い自分さえも覚えているくらい、子供だった自分には激しい痛みの記憶として残る。
間も無く沖縄戦の終結6月23日を迎える。このタイミングでひめゆりの記憶を辿っていくのは、今を生きる人々の一つの使命ではないかと感じる。なぜ今日本が平和を謳歌し、食べ物にも困らない生活を送れているのか。なぜ海外で起こっている紛争を他人事の様に、別世界の問題として片付けられるのか。戦後70年以上経過し、当時を知る人語れる人も大分少なくなってしまった。ただ間違いなく、そこには今の私たちと同年代の人間も、お年寄りも子供も、そして本書の語り部たる女学生たちが居た。今の私たちからは想像もできない地獄を彷徨い、ほんの数センチ横に忍び寄る死の影とともに生きていた。
沖縄中央部に上陸した米軍、圧倒的な兵力と物量で難なく(少しでも時間を稼ぐため、沖縄守備隊は水際作戦を選ばず長期持久戦を選んでいた)上陸を果たし北に南にそれぞれ攻め入る。迎え打つ帝国陸軍第32軍の兵力は11万と、この数字は上陸したアメリカ軍50万以上に対して1/5以下だ。各地に地下要塞を築いて徹底抗戦に出るが、圧倒的な兵力差は如何ともし難く、日本は沖縄に住む14歳以上の学生も動員した総力戦を挑む。結果は火を見るより明らかだが、皇国日本の勝利を信じて止まない学生たち。それでも徐々に追い詰められ、自決の道を選ぶ者も多くいた。
当時、既に政府内でも沖縄戦以前から早めの降伏を望む声もあったが、少しでも有利な状況に持ち込もうと続けてしまった事で、より多くの犠牲者に繋がる。そこからは沖縄、広島、長崎の無辜の市民の死につながった事は誰もが知る歴史の事実だ。後世歴史家はこの沖縄の徹底抗戦があったからこそ、本土上陸作戦をアメリカに躊躇させる事が出来たという評価もある。然し乍ら、そこに生きた人々からすれば、ただ生きたい、死にたくない、家族と平和に暮らしたいとの気持ちが1番だったに違いない。ただ生きるという当たり前の事すら困難な状況で次々と散っていった命。
沖縄には「命どぅ宝」という言葉がある。生きてさえいれば良い事があるじゃないか、という意味の言葉の重さが深く胸に刻まれる。
戦後生き延びる事が出来たひめゆりたちも、なぜ私だけ生き残ってしまったのかという悲しみを背負いながら生きる。だからこそ二度と戦争を起こさないように後世への語り部の道を選ぶ者も多い。また教員になる者も多くいたようだ。二度と同じ目に合わせたくない、その強い気持ちが平和教育へと繋がっていく。沖縄をそうした目的で訪れる学生も多いが、ガマや慰霊地を訪れてもその様な事実も知らず友と笑い合って通り過ぎていくこと、実はそれこそが平和の証なのかも知れない。知る事は重要だ。語り継ぐべきだし教訓としなければならない。しかしそこから最も遠い場所で、戦争をドラマや映画の中の非現実なものと捉えられる事は、それだけの犠牲の上に成り立った今という時代に残る一つの光とも取れる。
世界を見ればまだまだ戦争が各地で起こっている。世界中のすべての人が戦争の惨禍を理解し、決して起こしてはならないと強く望まなけれはならない。もう二度とひめゆりの様な悲しい想いをさせない為に。涙が止まらない。続きを読む投稿日:2023.06.19
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。