取材・執筆・推敲―――書く人の教科書
古賀史健(著)
/ダイヤモンド社
作品情報
「この一冊だけでいい。」100年後にも残る、「文章本の決定版」を作りました。(担当編集者:柿内芳文)編著書累計93冊、1100万部! 世界的ベストセラー『嫌われる勇気』のライターが教える、書く技術・伝える心得の永久決定版!ライターや編集者はもちろん、すべてのクリエーター必読・必携!!
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商品情報
- シリーズ
- 取材・執筆・推敲―――書く人の教科書
- 著者
- 古賀史健
- 出版社
- ダイヤモンド社
- 書籍発売日
- 2021.04.06
- Reader Store発売日
- 2021.04.07
- ファイルサイズ
- 13.2MB
- ページ数
- 480ページ
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この作品のレビュー
平均 4.6 (40件のレビュー)
-
これはあまりにも良書。
凄まじくクオリティの高い情報が詰まっています。
私は物書きでもなんでもないのですが、自分の人生を良くしてくれる学びがたくさんありました。
これ、全人類読んだ方がいい。
---…
評価とは、自分の都合に従って導き出された、安直な結論である。他者を評価するときあなたは、その人の価値、能力、職業観、人生観、可能性を決めつけてしまっている。 相手を評価しないこと。 それは相手のことをどこまでも考え続け、もっと深く知ろうと耳を傾ける、「聴くこと」や「読むこと」の大前提なのである。
---
良い言葉がたくさんあり、全てについて感想を残していると途方もなく時間がかかりそうなので、中でも印象的だった1つをピックアップして感想を書こうと思います。
確かに相手を一度評価してしまうとそこでその人に対する好奇心は失われるように思えます。
自分としては相手を評価をすること自体を悪いとは考えませんが、評価をするために評価をしないことを長くする、というようなことも必要な行動だと気づきました。
第一印象で相手を評価してしまうことで適切に立ち回れないことが生きていると多々あるので、このことは心に刻み込んでおきたいと思います。続きを読む投稿日:2023.10.03
2673
図書館で面白そうな本を分野問わずに乱読するって言うのやって2ヶ月目なんだけど、その中で一番面白い本見つけた。文章を書くライターの為の本なんだけど、この著者の古賀さんは嫌われる勇気を担当した…ミリオンセラーの実績のあるライターさんだから、ミリオンセラー級の本の製作現場が見られたみたいな感動だった。私は工期4年ぐらいのデカめの建築の製作に携わる仕事をしてるけど、その建築が出来る過程を初めて見た時も感動したけど、それに近い感動だった。目的に応じた読書じゃなくて乱読すると思いもしなかった面白い本に出会えるから楽しい。
この発言に触れたとき、ぼくはライターもまったく同じだと膝を打った。鍛えるべきは「書く力」ではない。まずは「読む力」を鍛えてこそ、すぐれたライターたりえるのだと。
まず、取材対象を「読む」ことができていない。表面的な理解にとどまり、その根根底にあるもの、奥にあるもの、あるいは裏側にあるものを、まるで見ようとしていない。なにもわかっていないのに、わかったつもりで書いている。
小手先の表現テクニックを学ぶよりも先に、まずは「読者としての自分」を鍛えていこう。本 を、映画を、人を、世界を、常に読む人であろう。あなたの原稿がつまらないとしたら、それは 「書き手としてのあなた」が悪いのではなく、「読者としてのあなた」が甘いのだ。
①「この人に会ったらなにを聞くか」を考えながら読む
②書かれたことではなく、書かれなかったことを考える
③第三者にどう紹介するかを考えながら読む
いい本は、何度読んでもおもしろい。だが、せっかく再読するのなら、以前とは違った読み方を心懸けよう。とくに古典として生き残っている作品群は、さまざまな読み方を受け入れるだけの懐の深さを持っている。
しかし、読書とは本来、もっと自由なものだ。 役に立つとか立たないとか、そんな実用とは無縁の領域でおこなわれるはず 目的に沿った読書は、どうしても拾い読みに流れる。重要なところだけ、役に立ちそうなとこだけを拾い、結論を急いでその他を素通りする。情報収集という意味では効率的だはほとんど「検索」と変わりがない。 読むことと検索することは、まったく別の行為だ。 がにあたるときのぼくを含め、多くの人たちは「検索型」の読書に傾いているいるが、どれほど膨大な数の検索をこなしたところで、 「読者としての自分」を鍛えることにはつながらない。
では、どうすれ、「検索型」ではない読書ができるのか?
乱読である。
自分の興味関心から離れた本、仕事やプライベートの実利と直結しているとは思えない本、特段話題になっているわけではないジャンルの本、顔も名前も知らない異国の作者の本を、ただ読んでいく。目的のないまま、いわば「読むために読む本」として読んでいく。 目的さえ取り払ってしまえば、読書は結論を急がない。 社会学の本を読んでいても、美術史の本を読んでいても、誰かの評伝を読んでいても、情報を求めているわけではないのだから、なにかを「お勉強」する態度にならない。眼前に広がる世界を純粋にたのしみ、作者と語り合うことができる。本の細部にまで目が届くし、表現の巧拙がよりくっきりと浮かび上がる。
もしも読書を「知識のインプット」と捉えていたなら、何百・何千の名作を読んだところで座 右の書には出会えない。一方、自分を変えるつもりさえあれば、たとえ何歳になってからでも座 右の書を更新することができる。座右の書が更新されることは、すなわち自分という人間が更新 されることだ。
①相手の話がおもしろい
②相手のことが大好きである
③自分にとって、ものすごく大切な話をしている
だからぼくは取材前、入念に下調べする。 その人の著作、音源、映像、過去のインタビュー記事、ソーシャルメディア、ブログ、その人が身を置く 業界を紹介した書籍や関連ウェブサイトなどに、できうるかぎり目を通し、読み込んでいく。取材用の「資料」として読むのではない。その人を「好き」になるため、「好き」になる 手がかりをつかむため、手当たり次第に読みあさっていく。 調べていくうちに、その人に幻滅することもあるだろう。思いのほか古い価値観の持ち主だっ たり、差別的な発言をしていたり、いかにも薄っぺらい人生訓を述べていたり、「知らなきゃよか った」と思うことだってあるかもしれない。 それでも、どんな人にだって「いいところ」は、かならずある。 人間としては好きになれないけれど、一緒に働きたいとは思わないけれど、友だちになれる気はまったくしないけれど、「この一点に関しては、尊敬できる」。あるいは「この考えに関しては、 心底共感できる」。そういう一点は、ぜったいにある。もしも見つけられないとすれば、それは探す側――つまりは取材者側――の怠慢だ。 そしてひとつでもいいから「いいところ」を見つけたら、その「いいところ」を自分のなかで 思いっきり膨らませ、「好き」を育てていく。対面する前からもう、大好きになっておく。そうすれば自然と「聴く」態勢がつくられていくはずだ。
きっとこういう人なんだろうな、もしかしたらこんな経歴の人かもしれないな、こういう理由 で、いまの仕事に就いているのかもしれないな、などと勝手な想像を膨らませる。外れたってかまわない。大切なのは「その人のことを考える時間」だ。1時間でも、あるいは30分でもいいか ら、あらかじめその人のことを考える。肩書きを頼りに、年齢を頼りに、取材に応じてくれた経緯を頼りに、考える。「こんな人だったらいいな」「こんな話ができたらいいな」と期待を膨らませるだけでもかまわない。そのわずかな手間で、「好き」の土台はできていく。
「自分の頭で考える」とは、対象を「自分のことば」でつかまえる格闘なのである。
さて、ぼくは本(書籍)に軸足を置くライターである。 これまでもそうだったし、これからもできれば本をメインに活動していきたいと思っている。 雑誌やウェブメディアもいいけれど、つくっていていちばんおもしろいのは本だと思っている。 なぜなら、本とは最強のオウンドメディアであり、どこまでも自由なメディアだからだ。 やウェブメディアと違って、本には従うべき編集方針がない。編集者は、もち? しかし、雑誌でいう「編集長」にあたる人はおらず、テーマも、編集方針も、スタイルも、章構 成も、文体も、刊行のタイミングさえも、すべて自分と編集者とのあいだで決めることができる。 冒頭10ページを写真にしてもかまわないし、途中に漫画を入れてもかまわない。本という完結し たパッケージのなかに、まったくあたらしい世界をつくることができる。雑誌でいえばこれは、 毎回創刊号をつくっているようなものだ。
確かな観察眼と、描写力。そして「巻き込まれた自分」までも観察の対象としてしまう、「わた し」との距離感。感情のことばに頼ることなく、手の届く範囲の世界を観察し、変化する自分の こころを観察しよう。
ぼくは推敲の本質を、「自分への取材」だと考えている。 このときあなたは、なにを考えていたのか。なぜこう書いたのか。このエピソードはほんとう 要なのか。もっと別の話、別のたとえ、別のことばはないのか。赤ペンをたず ――すなわち過去の自分――に取材していく。厳しい問いを、容赦なくぶつけていく。それがぼ くの考える推敲だ。続きを読む投稿日:2023.07.27
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