この作品のレビュー
平均 4.0 (2件のレビュー)
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もう少しで30年になるでしょうか、この本の著者の増田氏が新刊が発行されるたびに、真っ先に読んでいます。今回は資産形成に特化した内容ですが、欧米と比較して日本の社会制度等が優れていることを、実際に誰でも…入手できるデータを利用して、その入手先も示しながら解説してくれていて、読んでいて安心感を得ています。
そんな増田氏は、コロナが終息すると皆が理解するようになる数年以内に確実にやってくるであろう、株を始めとした多くの経済変動の中を耐えるにはどうしたら良いかのアドバイスを与えてくれています。
結論としては明確でした、通貨としては日本通貨で十分、乱高下している仮想通貨も面白いとのことでした。株はいずれ大暴落するので買い時が難しいとのこと、そのようなお金があるのであれば「ゴールド」を買うべきだそうです。
また、この部分が興味深かったですが、そのような余裕資金がない人(特に若い人へのアドバイス)には、しっかり働いて「稼ぐ力」を身につけることへ投資することが1番のようです。娘達の就職活動を見ていても、私が行った30年前とは全く異なっています、それなのに大部分の会社のトップは、まだ頭の硬い人たちがいるので入社後も大変かもしれません。
戦後直後に中小企業だった会社が成長したように、今は、大きな会社よりも未来を見つめている会社の方が働き甲斐があるのかもしれないと思いました。この本を読んで色々と考えさせられることがありました。
以下は気になったポイントです。
・世界各国がますます統制経済の色彩を強めてしまうのか、自由競争の市場経済を取り戻せるかは、ビットコインが定着するにかかっている(p6)
・金の比重は19.5、水より20倍重いので、金1グラムは縦横2ミリずつ、奥行き5ミリの小さな棒が、1平方メートル以上に広がる(p25)さらに、金は熱伝導性、電気伝導性が高いので、他のところから入り込んだ熱エネルギーを自由に自分の中に貯め込んだりせずに、すぐに別の場所に送り出してしまう(p36)
・2009年にアメリカのサブプライムローンバブルに端を発した国際金融危機がどん底まで深刻化した、その年を境に世界中の中央銀行が金準備を増やすようになった(p41)人類が掘り出して精錬した金(16.5万トン)のうち、所在がわからなくなった分はたった2%程度に過ぎない、金がいかに大事にされきたか、他の物質と化合することが少ないことを証明している(p44)
・独立戦争直前頃から南北戦争当時までのアメリカ、ペンシルベニア・ケンタッキー・テネシー州では、ウイスキーが貨幣として通用していた。保存状態が悪いと酢になってしまうワインと違って、比較的長い間同じような品質を保つウイスキーは、多くの銀行が紙幣を発行していて信用度に極端な違いがあったドル札よりも信頼のおける交換手段であった(p47)
・1913年から1ドルの価値がどれだか下がったか、1970年には25セント分の価値はあったが、現在では3セント程度。米ドルが不換紙幣になってからの50年間で、8分の1に価値が減ってしまっている(p55)
・現在の「金融緩和バブル」はもうすぐ終わり、今後少なくとも6−7年は投資より資産防衛に徹するべき時期である。そういう環境においては、多少の価格変動には目を瞑って、金を買って持ち続けることが最良の戦略である。ただし、金本位制が導入されて、しかも数年間続いてしまうと、金の資産価値はかなり下落する(p59)固定相場になったら、金の購買力はインフレとともに下落するので(p110)
・ウズベキスタン政府は、小さな金箔を透明フィルムに封入して、これが純度99.99%の金であることを政府が保証する、というQRコードをつけて重さに応じた価格で流通させる計画がある(p60)
・金はそろそろ底打ちするだろうと思うときに下がり続け、もう反落するだろうと思うときにさらに値上がりする、厄介な価格形成をする。金は本当に転換点が予測しにくい値動きをする商品である。なので、投資対象として金を売買することは勧めない(p77)
・2016年頃から外国人投資家が売りに入っても日経平均は下がらないどころか上がり続けている、これはひとえに日銀が日経平均連動型の日本株ETFを買っているから(p91)
・スコットランドは独立国であったが、17世紀半ばにイングランドに借金を立て替えてもらった代償として、まだイングランド王国と名乗っていた頃の大英帝国に吸収合併されてしまった(p94)
・ビットコインが金融の歴史に果たした最大の功績は、デジタル空間に記録を残しながら無名性を維持できる取引の場を設定したこと(p106)
・ロックダウンを実施した地域の方が感染者の増加率が低いという実証的データはない。一方、ロックダウンが特に中小零細サービス業の営業拠点に壊滅的な打撃を与えていることについては豊富な実証データがある。これは世界経済全体を破滅の淵に追いやっていると言っても過言ではない(p121)感染経路に関する実証研究(ニューヨーク)によれば、80%以上がホームパーティでの感染であり、レストラン感染は1−2%に過ぎない(p122)
・2007-2027年の21年間が、通常なら10年に一度起きるか起きないかの危機が、2−3年毎に起きる長期不況の時期となる、その終末店にいたるアメリカ経済衰退の経路としては、株式市場の閉店セールに過ぎない大手企業の自社株買いのための内部留保が底をつくのが大体2027年頃であった。今まではこのような平和な衰弱過程をイメージしていたが、今では違うイメージである。多大の経済的犠牲と人命の犠牲を払ってでも、巨大資本に権力が集中している時代から、経済権力が希薄化する時代への転換を阻止しようとしている。大都市中心部に住んでいた金持ちが、郊外や地方、海外へ移住している(p125)
・再生可能エネルギーによる発電、電気自動車、水素燃料車の開発に便乗した分野での投資ては、全て数年でエネルギー効率の悪さによって、撤退せざるを得なくなる袋小路であろう、これが判明するのに6−7年かかる(p126)
・投資を避けるべき重要なポイント、1)一度過ぎ去ってしまえば戻ってこない時間の損失が大きい、2)製造業からサービス業へ移行するので、投資から得られる収益も確実に低下する、3)アメリカで製造業主導経済を守ろうとする過剰投資、重複投資を推進して中小零細サービス企業潰しを図っている。今後6−7年は経済が混乱して金融市場は暴落する(p130)
・アメリカ政府の連邦準備制度の金準備は8134トンであり、ドイツの2倍以上あるが、その大部分は強制的に国民から買い上げたものである、この買いが終わった直後に政府は固定相場を1トロイオンス35ドルに引き上げて(20ドルで国民から購入)評価益を出した、ルーズベルト大統領令により、1933.4.5に金保有宣言を禁止、5月1日までに政府に売却することを命じた(p162)
・イギリスでは、12ペンスが1シリング、20シリングが1ポンド、さらに1ポンドとほとんど同じ価値のギニーは21シリングであった。ギニーは、芸術作品、書画骨董、古銭、切手、著名人のサイン入り蔵書など、専門家の鑑定なしに円滑な取引ができない商品はビニーで価格表示をした。5%の上乗せがあるということである(p207)
・金貨としては、純度が高くて刻印される図柄が安定している、オーストラリアのハーモニー金貨、カナダのメイプルリーフ金貨(純度99.99%)が良い。重さも全部1トロイオンスにしておくて、1個当たりの時価の目安もつきやすく、平積みもしやすく便利である(p207)
・どんな世の中になっても絶対にしない投資は、自分の労働力、消費力を高めるための人的資本への投資である。毎年着実に稼ぐ力を5%ずつ向上していったら金融資産でかなり大きな利回りを達成するより生涯所得は大きくなる。高齢化による劣化に耐えうる人的資本を若いうちから培っておくべき。効率が悪いのは、高学歴を取得して安定して高収入が得られる著名大企業に入ること。(p218)
・すでに金融資産をお持ちの方は、なるべく金に換えるか、円の現金で持つようにする。まだ持っていない人は、人的資本の拡充に注ぐ。その人的資本は、企業は組織の中でしか発揮できない技能や知識の習得より、企業や組織に頼らなくても発揮できるものに振り向けるべきである(p228)
2021年3月6日作成続きを読む投稿日:2021.03.06
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