ヤマケイ文庫 増補改訂版 懐かしい未来―ラダックから学ぶ
ヘレナ・ノーバーグ=ホッジ(著)
,鎌田 陽司(著)
/山と溪谷社
作品情報
近代化の嵐のなか、環境破壊や自然破壊、地域社会の崩壊にどのような未来を描けるかをヒマラヤの辺境ラダックから学ぶ。本書は、1975年、スウェーデンの言語人類学者ヘレナ・ノーバーグ=ホッジが、小チベットと呼ばれるヒマラヤの秘境、インド北部のラダック地方を訪れ、そこで目にした自然と調和した合理的な生活が近代化の名のもとに変貌していく姿を綴った記録である。世界40カ国で翻訳されて話題を呼んだ名著の増補改訂、文庫化。グローバリゼーションのなかで推進される環境破壊や自然破壊、地域共同体の崩壊に、どのような新たな未来が描けるのか模索する。「文庫のための追記」でラダックの最新の現状、変化について詳細に解説。
もっとみる
商品情報
- 著者
- ヘレナ・ノーバーグ=ホッジ, 鎌田 陽司
- 出版社
- 山と溪谷社
- 書籍発売日
- 2021.02.03
- Reader Store発売日
- 2021.02.03
- ファイルサイズ
- 6.2MB
- ページ数
- 408ページ
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 4.8 (6件のレビュー)
-
既視感、これまで何度も読んできたような錯覚。80年代以降のローカリゼーション論の源流はすべてここにあったのか。
少し前に斎藤幸平さん(ほぼ同年代)の「人新生の資本論(https://www.amaz…on.co.jp/dp/B08L2XMQKX/ )」がベストセラーとなり、行き過ぎた資本主義社会から脱成長とコミュニズム回帰へ移行するという思想がひとつブームになっているが、このような考えは決して新しいものではなく、同じ類型の指摘は前駆的に無数の著述家によって唱えられてきた。
本書は1970年代、チベット仏教の里ラダックの伝統的な農村社会が、資本主義経済の流入、開発の激流にさらされる中で文化への誇りを失い、それまで守ってきたいまでいう「サーキュラー・エコノミー」的な生活体系を徐々に失っていく様子が、経時的にていねいに描いていく。
同時代、ローマクラブの有名なレポート「成長の限界(1972年)」の中で「環境破壊と資源の枯渇を止めるためには、私たちConsumer(消費者)はProsumer(生産消費者)となって、身の丈を知って暮らし方を再建する必要がある」と唱えられていたころ、まさにラダックでは資本の誘惑によって、伝統的なProsumer(生産消費者)社会がConsumer(消費者)社会へつくりかえられていたのであるから皮肉でしかない。
社会の大きなシステムをどうするか、いわゆるイデオロギーの論争が社会を変えうるのかもしれないが、それよりも私たち一人ひとりが自分の暮らしのためのものづくりに携わることで、貨幣経済の中で私たちが身の丈以上の生活を当たり前に享受しているという事実を、きちんと受け止めるほうことがまず第一歩として必要だろう。
社会を変えるのは口角泡飛ばしての論戦ではなく、ただ静かに自らの生活を自らの身体性をもって立ち上げることなのではないか。過去の農村生活がすべて正しく、あの頃に戻るべきだというつもりはないけれど、身の丈をわきまえてブレーキを持つことは必要だし、それが大人の分別というものではないか。そうでなければ私たちは餓鬼か、エコノミック・アニマルに成り下がる。
ドッグイヤーしすぎてえらいボリュームになるので抜き書きは控える。それだけ本書の世界のとらえ方には、1986年生まれいわゆる[ゆとり世代][ミレニアル世代]にとっては当たり前に共感できる世界観。興味を持たれたらぜひ一読を勧めたい。
あとはそれを、どのアプローチで実現するか。続きを読む投稿日:2021.05.15
今から20年近く前、とある東北の市では市政の効果を図るのにb/c(benefit by cost)という指標を設けて、金銭に換算できない価値も何とか換算して効果を測るという無駄なことをしていた。
今思…えば、馬鹿なことだと思うけど、GDPを幸福の指標としていることも、同じくらい馬鹿なことだと思う。
近代化以前の幸せなラダックの暮らしは、かつての日本にも見られたものだろう。
私の大好きな本「逝きし世の面影」に描かれた、外国人の目から見たかつての日本人も生きる喜びに溢れていたと思う。
今の私に何ができるのか、無力だなあと感じるけれど、受け身の姿勢で単なる消費者でいるのではなく、少しだけでも何かを作れる自分でありたいし、お金ばかりに頼らない暮らしを目指したい。
それにしても、こんなにも地球から収奪して暮らしていて恐ろしい。
人新生っていうけれど、道やダム、発電所や工場、果ては種まで、すべてを人工的な均質なものに置き換え、資本主義の網の目に組み込もうとする。
いつのまにか、誰もがこのシステムに組み込まれ、知らないうちに地球から収奪している。
記号にしか過ぎないお金を増やすことだけが目的になってしまっている。
もっといい在り方があるはず。続きを読む投稿日:2023.05.19
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。