この作品のレビュー
平均 4.1 (67件のレビュー)
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>人は誰しも、この世界の外のどこか別の場所、遠くて美しいもの、広大で圧倒的な何かを希求する心を、少なからず持っているのではないでしょうか。きっと、そうしたものに人一倍強く惹かれる人たちが、SFを読んだ…り書いたりするのだと思います。(中略)この本に収録されている作品には、そういった遠い場所や見知らぬ存在に長年抱いてきた愛情が込められています(日本語版への序文より)
SF短編集です。韓国SFです。
タイトルが好きです。タイトル買いです、
SFはやっぱりタイトルです!と言いたいけど世界SF会議やらで色々評判を聞いておりました。
柔らかくてノスタルジックで、めちゃくちゃ面白かった。素晴らしいSF体験でした。
著者は1993年生まれの女性。若い!
SF会議での発言も理性的で感傷的で好感でした。
日本の若手SF作家って、どのへん?狭い知ってる範囲で若そうなのって小川哲とか宮澤伊織とか草野原々あたり…でも30台かな。
韓国SF初体験でしたが、中国SFとはまた違う方向だなーと思いながら読みました。国で括ることに意味はないのですが。
「巡礼者たちはなぜ帰らない」
大人が少なく子供ばかりで平和な『村』。18歳になると『始まりの地』への巡礼がある。巡礼を控えたデイジーはある時、巡礼から帰らない大人が毎年何人かいることに気づく。始まりの地とは何か、なぜ帰らないのかという話。世界の謎!っていう導入で世界の成り立ちは主題じゃないぞ、と主張するのが現代的。
萩尾望都に描いてもらったら似合いそうな雰囲気がすごく良い。
「スペクトラム」
『それは素晴らしく、美しい生物だ』
人類初の地球外知的生命との接触者であると主張しながらも、決してその詳細を明かさなかった祖母の研究ノートを紐解く話。
奇妙だが優しい生き物たちの生活を読むのが楽しい。どこか牧歌的で絵本の世界のようでいて、理知的な魅力に溢れた異星の描写が素敵。
「共生仮説」
どこにも存在しない場所の絵を描き続けた画家がいた。彼女は生まれる前にそこにいた、と言うのだ。その風景は人類の誰もが見たことがないのに、誰もが懐かしく思う風景だった。という話。
なぜそう感じるのか、その場所はなんなのか。乳児の思考を読む機械の実験が事実を明らかにしていく。
「わたしたちが光の速さで進めないなら」
打ち捨てられた宇宙ステーションでもう来ることのない遠い星行きの宇宙船を待つ老婆に、彼女を立ち退かせたい男が話を聞く短編。
たどり着けない場所に別れてしまった家族の元へ行きたい、と願う話。
「感情の物性」
『キョウフ』『ユウウツ』『トキメキ』『オチツキ』『ゾウオ』…感情そのものを物質にした商品が流行っている。それを持ったり使ったりすると心がそのようになるという。プラセボ?本物?ネガティブな感情の商品もよく売れるのは何故か。
感情をモノとして手に持てるというのは面白そう。小川一水の短編「グラスハートが割れないように」を思い出した。
「館内紛失」
死後に自我をデータ化できるようになった世界。アップロードされた自己は、紙の無くなった図書館に収められる。その図書館でジミンは母のマインドが館内紛失したと告げられる。データは確かにあるがインデックスが削除されたのだという。
自身が母になることが分かり、毒親だった母のことを回想する話。母を理解しようとする話。
死後に死者のコピーと会話できるとしたら、どう思うだろうか。何を聞きたいと思うだろうか。
「わたしのスペースヒーローについて」
ワームホールを通過する人類初の宇宙飛行士に選ばれたガユン。失敗した前任の宇宙飛行士の1人、家族同然に暮らした、ガユンにとってのスーパーヒーロー、ジェギンおばさんが実は出発直前に逃げ出していたと聞かされる。彼女は何故宇宙へ行かなかったのか。
どんな過酷な場所でも生きていけるようになった人は何を望むだろうか。
後から振り返るお話が多いですね。
切ない感じが全編漂うのはそのせいでしょうか。
そういえばネタバレになるかも知れないのですが、「わたしのスペースヒーローについて」のジェギンは、
AIの遺電子10話(第1巻)に出て来る「海の住人」になったのでしょうかね…。続きを読む投稿日:2021.03.30
遠く離れた星に移住した家族を想うコールドスリープの研究者を描いた表題作ほか7編。若手韓国SF作家による短編集。
韓国SFって若い女性の作家さんが多いのでしょうか。以前読んだ「千個の青」も若い女性だっ…た気がします。「千個の青」のような雰囲気を想像して読み始めたのですが、意外にかっちりした固めのSFでした。内容は遠くの星を舞台に組み込んだものから近未来テクノロジーの話まで。どれもそこはかとない哀しさが漂っていて、中にはマイノリティや社会から居場所を奪われる人たち、つまり現代社会の問題も描き込まれていて、読んでいて胸が痛くなりました。特に、ストレージに人格をコピーする「館内紛失」や共生説と幼児期健忘を絡めた「共生仮説」が好き。「共生仮説」なんかは手塚治虫の短編「ドオベルマン」を思い起こさせたりして、手塚治虫のアイデアの先見性を改めて認識します。続きを読む投稿日:2024.03.19
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