これからの日本の論点2021 日経大予測
日本経済新聞社(編)
/日本経済新聞出版
作品情報
コロナ禍は世界をどう変えたか?経済の日常はいつ戻るか?企業は再出発の契機にできるか?記者の視点を先取り。「日本経済新聞」を代表するコメンテーター、編集委員らベテランの専門記者23人が、日本と世界を取り巻くさまざまな論点と向き合い、大胆な予測を提示する。
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商品情報
- シリーズ
- これからの日本の論点2021 日経大予測
- 著者
- 日本経済新聞社
- 出版社
- 日経BP
- 掲載誌・レーベル
- 日本経済新聞出版
- 書籍発売日
- 2020.10.23
- Reader Store発売日
- 2020.10.23
- ファイルサイズ
- 28.4MB
- ページ数
- 352ページ
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この作品のレビュー
平均 3.3 (8件のレビュー)
-
【感想】
翌年の展望について、毎年日経新聞社が出版している本です。
ただ本書に関しましては、20年9月に出版されたものですので、コロナワクチンの事であったり第3波・第4波については書かれておらず、また…アメリカの大統領選挙の結果についても書かれていませんでしたので、展望としてはやや的外れ気味かも・・・笑
僕がこの本を読み終えたのが2021年2月頃でしたが、その頃と比べてもかなり世の中は変化があったような・・・
そう考えますと、「トレンド」というのは本当に速いスピードで変化しますね~・・・・・
また、安倍総理辞任というトピックから、アベノミクスのレビューについても詳しく触れられていた。
アベノミクスについては、「戦後の景気回復(いざなぎ景気、バブルなど)と比較すると成長率が低い」だの、「諸外国と比べて云々」など、結構辛口のコメントで書かれておりました。
そもそも、岩戸景気やいざなぎ景気は当時の収入など元々のベースが全然違うので、「成長率」という視点で比較するのは如何なものか?と思いましたが(笑)
ただ、確かに僕個人の肌感覚としても、ここ数年の好景気っていうのは"ハリボテ感"が強かった気がします。
東京オリンピックだ大阪万博だと変に盛り上がっていましたが、不動産価格急騰や世間の盛り上がりと、世間一般の方々の世帯年収の上昇には、正直かなりのギャップがあったような・・・
バブルの時と同じく、実感の伴わない好景気っていうのは、反動が怖い気がします。
「VUCA」と言われて久しいですが、変化が激しく見通しの悪いこの世の中を生きていくためには、やはり"正しい"情報収集が必須となってきます。
というより、自分自身がその変化の波にうまく乗らなくてはいけませんね。
そういう意味でも、勉強を継続させる大切さを改めて認識しました。
【内容まとめ】
1.長期にわたる一方、勢いは弱く脆かったアベノミクス
2012年12月から71ヶ月間の景気回復だったアベノミクスは2002年?2008年の「いざなみ景気」に次ぐ戦後2番目の記録となった。
「3本の矢」と呼んだ政策のうち、最初の矢である「金融政策」は日銀が異次元緩和に邁進、第二の矢である財政は歳出を膨らませて景気への配慮を印象付けた。
半面、規制緩和に代表される第3の矢が中々放たれなかった。経済の革新、生産性を高める改革は殆ど素通りし、そうした残念な現実が経済成長を示す数字にくっきり現れた。
2.アベノミクスは景気回復が長期にわたる一方、その勢いは弱く、脆かった。
年率の成長率として
1958年から42ヶ月間の「岩戸景気」が11.3%
1965年から57ヶ月間の「いざなぎ景気」が11.5%
1986年から51ヶ月間の「バブル景気」が5.3%
戦後最長の「いざなみ景気」は1.6%
「アベノミクス」はさらに低い1.1%にすぎない。
3.国連は、貧困や飢餓の撲滅などと共に、気候変動問題への対応やクリーンエネルギー拡大を目的とする「持続可能な開発目標(SDGs)」を採択した。
環境や社会への取り組みを投資判断の尺度として重視する「ESG投資」も広がる。
4.ディープテック
相当な研究開発を必要とし、大きな社会問題や環境問題の解決を目指す。
爆発的な急成長を遂げるわけにはいかず、短期で利益をあげたい投資家には敬遠されやすい。
先端材料、AI、バイオ、ブロックチェーン、ドローン・ロボット、フォトニクス・エレクトロニクス、量子コンピューティングの7分野に関係。
ネット系サービスと異なり、言葉の壁を気にせずに世界市場を狙うことができる。
【引用】
p16
感染、賃金、金融、財政。
これら4つのハードルを乗り越えれば、日本経済は2021年にかけて「V字型」の回復へ向かうだろう。
1年延期された東京五輪の景気押し上げ効果も加わってくるストーリーだ。
しかし停滞が長引き、U字型の回復になると覚悟する経営者も多い。
さらには、避けたいシナリオだが、2021年いっぱい上向かないL字型になる懸念も否定できない。
p17
・長期にわたる一方、勢いは弱く脆かったアベノミクス
2012年12月から71ヶ月間の景気回復だったアベノミクスは2002年?2008年の「いざなみ景気」に次ぐ戦後2番目の記録となった。
「3本の矢」と呼んだ政策のうち、最初の矢である「金融政策」は日銀が異次元緩和に邁進、第二の矢である財政は歳出を膨らませて景気への配慮を印象付けた。
半面、規制緩和に代表される第3の矢が中々放たれなかった。
経済の革新、生産性を高める改革は殆ど素通りし、そうした残念な現実が経済成長を示す数字にくっきり現れた。
年率の成長率として
1958年から42ヶ月間の「岩戸景気」が11.3%
1965年から57ヶ月間の「いざなぎ景気」が11.5%
1986年から51ヶ月間の「バブル景気」が5.3%
戦後最長の「いざなみ景気」は1.6%
「アベノミクス」はさらに低い1.1%にすぎない。
景気回復が長期にわたる一方、その勢いは弱く、脆かった。
p92
国民に給付される社会保障給付費は、年間で120兆円ほど、政府の一般会計予算102兆円を大きく上回る規模だ。
このうち「年金」が全体の約半分を占め、次いで「医療」が3割、「介護」が4割、残りの部分に生活保護や失業給付、児童手当など様々なものが含まれる。
p95
日本の行政は、徴収した税金だけでは収入が全く足りていない。政府の一般会計予算のおよそ3分の1は借金で賄う状況となっている。
(コロナ対策の10万円特別定額給付金もすべて国債発行で賄われた。)
これまでの借金は積もり積もって、国内総生産GDPの2倍を超える水準に達している。
財政健全化、すなわち国の借金返済と今後も増え続ける社会保障関係費用を工面していくためには、どうみても税や社会保険料の負担は今後重くなる。
p106
国連は、貧困や飢餓の撲滅などと共に、気候変動問題への対応やクリーンエネルギー拡大を目的とする「持続可能な開発目標(SDGs)」を採択した。
環境や社会への取り組みを投資判断の尺度として重視する「ESG投資」も広がる。
p143★
VUCA時代においてますます重要性が高まるのが「イノベーションの創出」だ。
時代や環境が激変しても、それに対応したイノベーションを生み出せる企業は対応しやすい。
逆に新機軸を生み出せず、旧来の技術や組織構造、マーケティング手法にしがみつく企業の未来は明るくない。
p162
未曾有の逆風を受けて、生き残りをかけて知恵を絞ったり、研究開発投資を続けることで成長を果たす企業がいる。
歴史が裏切らなければ、今回のコロナ後もイノベーションが起こる!
p177
・ジョブ型という雇用制度
職務ごとに最適な人材を起用し、仕事の遂行能力や実績に応じて待遇を決める人材マネジメントシステム。
日本的な年功型賃金や定期的な昇給、順送り人事をすべて否定している。
p209
・ディープテック
相当な研究開発を必要とし、大きな社会問題や環境問題の解決を目指す。
爆発的な急成長を遂げるわけにはいかず、短期で利益をあげたい投資家には敬遠されやすい。
先端材料、AI、バイオ、ブロックチェーン、ドローン・ロボット、フォトニクス・エレクトロニクス、量子コンピューティングの7分野に関係。
ネット系サービスと異なり、言葉の壁を気にせずに世界市場を狙うことができる。
p209★
・治療用アプリが薬事承認
2020年8月、キュアアップが開発したニコチン依存症の治療用アプリが厚労省から薬事承認を得た。
医療用アプリの承認は日本初で、医薬品・医療機器のどちらでもないソフトウェアの力で治す時代の幕開けとなる。
キュアアップはニコチン依存症以外にも、高血圧やNASH(非アルコール性脂肪肝炎)のアプリ開発に取り組んでいる。
医療費の高騰や地域による医療格差、開発コストなどはアプリであればかなり改善できる。
治療用アプリは2025年には世界市場が1兆円規模になると予想される注目分野なのである。
p214
・ゼブラ企業
ユニコーンは急成長して市場独占も厭わない。
それに対しゼブラ企業は、持続可能な繁栄を求め、他社との共生を探る。
競争によって優勝劣敗がはっきりする世界に生きるユニコーンと異なり、他社と協力してウィンウィンの関係を重視するのがゼブラ企業だ。続きを読む投稿日:2021.04.21
日本経済・日本企業・世界はこれからどうなるのか、の3章構成で、日経新聞の記者やコメンテーター・論絶委員などが1人1論点で合計23論点を語る。長いので1コだけ勉強になった内容をピックアップ。今後の企業生…き残りのカギはPX(Portfolio Transformation)で、本業に絞れ、という話。日本の論点を来年以降読むときは、全体の流れをまずつかんだうえで、1つ1つの論点を読んだ方が頭に残りそうだ。続きを読む
投稿日:2021.09.18
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