ハーバードはなぜ日本の「基本」を大事にするのか
佐藤智恵(著)
/日経プレミアシリーズ
作品情報
経済再起動、カギは日本にあった!MBAホルダーである著者が、ハーバードの白熱授業と教材に取り上げられた日本企業を徹底取材。海外企業に「柿の種」の工場見学が人気の理由トヨタウェイは「両利きの経営」の模範だったソニーとアップル、復活劇の共通点は・・・・・・?16万部突破 『ハーバードでいちばん人気の国・日本』 待望の続編!世界一「長寿企業」が多い日本には、企業が長く存続し、成長していくための知恵が蓄積されているという。イノベーションを起こし続ける仕組み、社会貢献を重んじる経営、人を大切にするリーダーシップ・・・・・・。なぜ激動の時代の中で、ハーバードは日本企業がずっと大事にしてきた「基本」に注目しているのか。ベストセラー著者がハーバードの白熱授業を徹底取材し、その理由に迫る。【本書の内容】テッセイ、楽天、 トヨタ、が定番教材に/日本企業が起こした破壊的イノベーション/学生が驚いたホンダの「長期的視点」/ハーバードの研究対象となってきたコマツ/優れたプラットフォームを生んだ日本型組織/ミクロンの世界にイノベーションを起こす/世界的なベストセラー教材『日本:奇跡の年月』/松下電器の社歌に象徴される復興への情熱/日本企業の創業者が伝える「遅咲きの人生」/リクルートの本質はドリームマシン/ 「個の尊重」に大きな影響を与えたドラッカー/AKB48は「体験型エンターテインメント」/「柿の種」を試食する授業が大人気/米のお菓子でアメリカに挑んだ亀田製菓/ソニー株式会社が初めて教材に/学生の記憶に強く残るトヨタの事例/トヨタはなぜ街をつくるのか/国のブランドランキングで1位/経済複雑性指標が示す日本の潜在能力・・・・・・
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商品情報
- 著者
- 佐藤智恵
- 出版社
- 日経BP
- 掲載誌・レーベル
- 日経プレミアシリーズ
- 書籍発売日
- 2020.06.30
- Reader Store発売日
- 2020.10.12
- ファイルサイズ
- 2.4MB
- ページ数
- 312ページ
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この作品のレビュー
平均 4.5 (4件のレビュー)
-
率直に感じたのは、結論の捉え方を間違うと危険な思想を読み手に植え付けてしまうということ。たしかに日本の「基本」を大事にしてくれるのは嬉しい。同じ日本人としてどういうところが学びのポイントになるかが再発…見できてありがたい。だからといってハーバードが日本から「学んでいる」と理解したら大間違い。相手は学んでいるのではなく研究しているのだ。だからこそ逆に日本も他国のいいところを研究し、グローバルステージでのプレゼンスをあげていかなければならない。これを読んでただ喜んでいたら、褒め殺しされるだけで後には何も残らない。続きを読む
投稿日:2020.09.13
■「ダントツ経営」本質は人と同じことをしないこと。今後もコマツが競合優位性を保って行けるかどうかは、イノベーションの創出継続できるかどうかにかかっている。競合優位性は永遠に保てるものではない。優れた製…品を開発し、それがヒットしてもすぐに他のメーカーがに多様な製品を製造し、価格競争になる。特許が切れたり競合が類似技術を開発したりすれば製品のコモディティ化も進む。
■ダントツ経営の本質は人と同じことをしないこと。人の真似をして、人と同じレベルのことをやっていたならば、我々は生き残れない。国の違いはあろうと「効率的に土を掘りたい」「効率的に土を運びたい」というニーズは変わらない。このニーズに応えていくだけ。
■競合優位性を保つにはイノベーションを起こし続けるしかない。
・イノベーションの本質は顧客の視点から発想し、人と同じことをしないこと
■リーダーとして何よりも大切なのは自らの経営哲学を確立すること。哲学がなければ組織も構築できない。そして、その哲学を具現化する組織ができるまで実験し続けること。思考と実験はハーバードの校是でもある。
■なぜ日本はこれほどの成長を実現できたのか。その要因として「政府主導による経済復興システム」が挙げられる。政府が主導して特定の産業や企業に対して低利融資を行ったり補助金を付与したりすることによって産業政策を推進していくシステムが日本の場合は非常にうまく機能した。
・通産省は軽工業ではなく、あえて重厚長大産業に投資していくことを決めた
・政府主導による経済復興システムを他の国にそのまま導入しても成功するとは限らない
■一般的に国を成長させるには、
①リソース(ヒト、モノ、カネ等の資源)
⓶そのリソースを今後リターンが見込める重点産業に集中的に分配し、
③その産業の中でさらに効率的にリソースを使う
という3段階が必要となる。
・日本の場合は戦前からこの3つがうまくいく土壌が国内に整っていた
■国内要因、国外要因に加え日本人の国民性も高度経済成長の原動力になった。
①高い倫理観を持っていること
⓶国民が基本的には政府を信頼していること
③教育水準が高いこと
④地域、社会、国に対する責任感が強いこと
■会社の本当の成功要因は目に見えないところにある。そこには企業文化、人脈など目に見えない資産が複雑に絡んでいて簡単にまねなどできない。
■心理的安全性の定義(エイミーエドモンドソン)
チームメンバーがお互いに「このチームでは対人リスクをとっても大丈夫だ」と信じている状態。かみ砕いていえば「上司にも部下にも思ったことを忌憚なく言える雰囲気」のこと。
・忖度が蔓延るような職場の生産性は著しく低い
■恐れには二つの種類がある。
①健全な恐れ
・納期を守れるだろうか、競合に勝てるだろうか
⓶不健全な恐れ
・人間関係にかかわる恐れ
・不健全な恐れが蔓延した組織では社員は委縮し新しいことを提案したりリスクを取ったりすることができなくなる
■ウィリアム・エドワーズ・デミングは「結果を出す組織を作るための14のポイント」提言しているが、その8番目に「組織から恐れを取り除く」ことを挙げている。
・人は不健全な恐れを抱くと学習できないし成長もできない。日本流に負いうならばカイゼンもできない
・同じ会社の中でも生産性の高いチームと低いチームがあるがその違いはいかにリーダーが「言いたいことを言っても罰せられない雰囲気」「失敗を報告しても減点されない雰囲気」を作っているかどうか
■エドモンドソン教授は著書「チームが機能するとはどういうことか」の中で「心理的安全性を高めるためのリーダーの正しい行動」として8点を挙げている。
①直接話をしやすい雰囲気をつくる
⓶自分が今持っている知識の限界を認める
③自分もよく間違うことを積極的に示す
④メンバーの意見を尊重する
⑤失敗を罰せずに学習する機会であることを強調する
⑥具体的ですぐに行動に移せる言葉を使う
⑦「やっていいこと」と「やってはいけないこと」の境界線をはっきりさせる
⑧「やってはいけないこと」をやってしまったメンバーには公正に対処する
■日本企業の中には組織の深部にまで「探索と深化」を推進する企業文化が浸透していて一般社員や中間管理職であってもボトムアップで変革を起こせる企業もある。トヨタ自動車は格好の事例。
・「トヨタウェイ」とは全世界のトヨタで働く人々が共有すべき価値観や手法を示したもの
・その二つの柱は「知恵と改善」と「人間性尊重」
・「知恵と改善」とは常に現状に満足することなくより高い付加価値を求めて知恵を絞り続けること。その具体的な手法として「チャレンジ」「改善」「現地現物」という3点を定めている
・「人間性尊重」とはあらゆるステークホルダーを尊重し従業員の成長を会社の成果に結びつけること。「リスペクト」「チームワーク」の2点がそれを実現するための基本概念続きを読む投稿日:2021.02.28
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