たまもかる 万葉集歌解き譚
篠綾子(著)
/小学館文庫
作品情報
万葉集が事件の鍵を握る!シリーズ第2弾。
日本橋の油問屋、伊勢屋のひとり娘しづ子は、和歌を好み賀茂真淵の弟子である。しづ子が小僧の助松と賀茂真淵の家を訪れると、昨晩泥棒に入られたところだった。真淵が、武家の子息である加藤千蔭と二人に打ち明けたのは、万葉集を狙ったのではという。三日前、将軍家重の弟、田安宗武に講義をした際、別の万葉集を持ち帰ってしまったというのだ。
数日後、葛木多陽人、しづ子、助松と真淵の家に行くと、再び泥棒が入って間違えて持ち帰った万葉集だけが盗まれたという。驚くべきことに、多陽人は前もって真淵と相談し、賊の企みを考えてその万葉集を目につきやすいところに移していた。その万葉集巻三と巻十四には、あわせて十二首が、ひらがなだけで書かれていて、それに干支と大字、漢数字だけが記された三行の符牒が残されていた。
後日、多陽人の元に田沼意次という幕臣がやって来る。田沼が仕える大岡主膳を占うと、何者かに呪詛されていることがわかる。さらには、助松の父大五郎が行方不明に・・・・・・。
万葉集に残された歌と符牒の謎を解き明かすと、幕府を揺るがす大きな陰謀が浮かんで来た。そして、大五郎を攫った人物は!?好評シリーズ第2弾!
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商品情報
- シリーズ
- からころも 万葉集歌解き譚
- 著者
- 篠綾子
- 出版社
- 小学館
- 掲載誌・レーベル
- 小学館文庫
- 書籍発売日
- 2020.10.01
- Reader Store発売日
- 2020.10.06
- ファイルサイズ
- 1.1MB
- シリーズ情報
- 既刊3巻
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この作品のレビュー
平均 3.3 (6件のレビュー)
-
「からころも」に続く<万葉集歌解き譚>シリーズ第二作。
油問屋兼薬問屋<伊勢屋>のお嬢様しづ子が和歌を習っている賀茂真淵の家に泥棒が入った。真淵は将軍・家重の弟である田安宗武にも和歌を教えているのだ…が、三日前のご進講の際に自分のものではない『万葉集』を二冊持ち帰ってしまったという。
そこにはひらがなだけの万葉集十二首と干支と漢数字だけの怪しげな符牒が書かれていた。泥棒はこれを狙ったのか。
主人公の小僧・助松の父親・大五郎失踪事件のその後を知りたくて続編を読み始めたのに、今回は賀茂真淵師匠の泥棒事件から始まった。
そしてシリーズ名通り、今回も万葉集の和歌が謎解きの鍵になるらしい。
例によって陰陽師で狂歌師の葛木多陽人を頼ることになるのだが、この事件これで終わりではなかった。
多陽人の元には別の依頼も持ち込まれるのだが、その依頼者は何と若き田沼意次。この時は将軍・家重の小姓らしい。
更には何とまたまた大五郎が何者かに連れ去られてしまう。
また父親が行方不明になるなんて、不安でいっぱいの筈の助松だが前作とは違って表向きはしっかりと働いている。
そしてお嬢様のしづ子も前作とは違って落ち着きが出ているように感じる。何かと多陽人に突っかかっていたのが素直に悩みや疑問を口にしたり、引くべき時は引くこともしている。
そして助松には新しい出会いがある。真淵の住まいとして敷地の一部を貸している武家の息子・加藤千蔭だ。
助松より三才年上で、やはり真淵の弟子。最初、千蔭はしづ子に想いを寄せているのかと思っていたが、段々しづ子よりも助松と意気投合している。
武家の息子で今回の事件にも謎解きにも意気込みは強いが、実はお化けや幽霊の類が苦手らしい。
肝心の謎解き部分については暗号ものみたいで面白かった。千蔭も良いところまでは到達していたのだが最後がちょっと惜しかった。
そして私が前作から気になっていた、大五郎の秘密の部分について。
その秘密を偶然知ってしまったしづ子も大五郎に対してモヤモヤしたものを感じていたので、助松のためにもスッキリして欲しいと思っていた。
多陽人が言うように『人には隠しごとの一つや二つ、あって当たり前』なのだが、それも場合によっては『要らん心配を生むもとになって』しまう。大五郎もそのために危険な目に再び遭ってしまった。ただそれを明かしていい時、明かしていい相手を見極めないと思わぬ結果になったり傷つけたくない人を傷つけたりしてしまう。
最終的にはホッとするところが多かったが、これで全て解決と言っていいのかどうか。<伊勢屋>の商売は安泰と言えるのか。
これからも田沼や『山富さま』なる謎の人物との絡みがあるのかどうか。
助松は和歌の道に行くのか、父・大五郎と同じように薬の道に進むのか。
しづ子の想いを多陽人は受け止めるのか否か。
まだまだ気になるシリーズ。
※「からころも」レビュー
https://booklog.jp/users/fuku2828/archives/1/4094067728#comment続きを読む投稿日:2021.03.05
万葉集歌解き譚 シリーズ2
日本橋「伊勢屋」は、油問屋に薬種問屋を兼ねる大店である。伊勢屋には、しづ子という17歳の娘がいる。
しづ子は和歌を好み、国学者として知られる賀茂真淵の弟子でもあった。
…伊勢屋の奉公人・助松は、伊勢屋で手代として働く父・大五郎が、かつて陰謀によって富山藩を脱藩した侍であるとついこの間知った。
真淵の家に盗人が入り、万葉集の写本二冊が盗まれた。
将軍家重の弟・田安宗武に万葉集を講じた後、間違えて持ち帰った、他人の写本だった。
今回も、助松、しづ子と、陰陽師の葛木多陽人が、万葉集にまつわる謎を解き明かす。
続きを読む投稿日:2021.10.26
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