ユーザビリティエンジニアリング(第2版) ―ユーザエクスペリエンスのための調査、設計、評価手法―
樽本徹也(著)
/オーム社
作品情報
ユーザ中心のインタラクションデザイン実践ガイド!本書は「ユーザビリティはプロセスから生まれる」という立場のもと、ユーザビリティエンジニアリングのテクニックを設計の現場で活かし、実践できる書籍として2005年10月に発行した『ユーザビリティエンジニアリング 』の第2版です。この第2版ではユーザビリティの定番書とすべく、「調査・分析」「設計」「評価」の三部構成とし、実践ガイドとしての使い勝手を考慮したほか、「ペルソナ」(仮想のユーザ像)を用いたユーザの調査法、評価手法である「認知的ウォークスルー」にも言及し、内容を充実させています。さらに、単に使い勝手のよい高機能のユーザビリティインタフェースというものにとどまらず、ユーザが真にやりたいことを「楽しく」「面白く」「心地よく」行える点を、機能や結果、あるいは使いやすさとは別の“提供価値”として考えるコンセプト、「ユーザエクスペリエンス」についても言及し、今後のさらなる展開を示していきます。★このような方におすすめWeb/ソフトウェア・プロデューサ、システムエンジニア、Webデザイナ、インタフェースデザイナ、マーケティング部門、ハードウェア(携帯電話、カーナビ、情報家電等)・ユーザインタフェースデザイナ、ソフトウェアエンジニア、商品企画、品質保証、マーケティング部門など、設計・開発、販売企画に携わる方●目次●■Introduction Chapter1 ユーザ中心設計概論 1-1 ユーザビリティ 1-2 失敗の原因 1-3 ユーザエクスペリエンス 1-4 ユーザ中心設計■Part1 調査・分析 Chapter2 インタビュー法 2-1 ユーザの声聞くべからず 2-2 ユーザに弟子入り Chapter3 インタビューの実践 3-1 リクルート 3-2 インタビューの準備 3-3 インタビューの進行 Chapter4 データ分析法 4-1 質的データ分析 4-2 ペルソナ■Part2 設計 Chapter5 発想法 5-1 ブレインストーミング 5-2 キャンバス 5-3 シナリオ Chapter6 プロトタイプ 6-1 プロトタイプの原則 6-2 プロトタイプの制作 6-3 カードソート■Part3 評価 Chapter7 ユーザビリティ評価法 7-1 評価とは 7-2 ヒューリスティック評価 7-3 認知的ウォークスルー Chapter8 ユーザテスト 8-1 ユーザテストとは 8-2 代表的なテスト手法 8-3 ユーザテストの基礎理論 8-4 プライバシーと倫理 Chapter9 ユーザテストの準備 9-1 テスト計画 9-2 リクルート 9-3 テスト設計 Chapter10 ユーザテストの実施 10-1 テスト会場の設営 10-2 ユーザテストの進行 10-3 ユーザテストの見学 Chapter11 分析と再設計 11-1 ユーザテストの分析 11-2 再設計■Ending Chapter12 ユーザ中心設計活動 12-1 USDの始め方
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この作品のレビュー
平均 4.1 (11件のレビュー)
-
このレビューはネタバレを含みます
読む人の立場によって色々だろうけど、数ページ読んだだけでこれは良書だ!って感じの本でした。
レビューの続きを読む
UCDの概論から始まり、調査・分析、設計、評価まで幅広く書かれている。テストなどの実施例も含まれていてかなり実践的。全体を把握するには良い本。もっと細かなことが知りたくなったら各フェーズの専門書に進めばいいかも。各フェーズの中でも評価の部分のボリュームが多かった。
以下メモ。
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[Introduction]
・ユーザインタフェースの設計では、”重要な経路”上の問題点を集中的に取り除くようなアプローチのほうが有効
・ユーザの体験を改善するためには、あくまで”重要なケース(重要な経路)”に絞ってテストすればよい
・ユーザインタフェースは一見すると”1枚の絵”なので、ちょっとセンスのいい人に頼めば、サラサラと書き上げてもらえると誤解されがちです。しかし、本来は、そこにはすべての要素(ユーザニーズやビジネスゴール、技術要件など)が凝縮されています
[Part1.調査・分析]
・「師匠と弟子」ではインタビューアを弟子、ユーザを師匠と見立てて、師匠の体験を弟子に”継承”します
1.インタビューアはユーザに”弟子入り”する。
2.ユーザは仕事を見せながら説明する。
3.インタビューアは、不明な点があればその場でどんどん質問する。
4.一通り話を聞いたら、インタビューアは理解した内容をユーザに話して、間違っていないかどうかチェックしてもらう。
・話の糸口をつかむための定番パターン
体験の有無>体験の頻度>直近の体験
[Part2.設計]
・ペルソナの元となるユーザの中で、最もそのパターンを代表していると思われる特定のユーザを選びます。これを『ベースユーザ』といいます。このベースユーザを基準として、同じグループの他のユーザの情報を合成したり、多少加工したりすれば、比較的簡単にペルソナを”創作”できる
・プライマリーペルソナの要求を完全に満たすことを目的にプロジェクトを進めます
・プライマリーペルソナの要求を完全に満たすとは、プライマリーペルソナの要求だけを満たすという意味ではありません。要求が対立する場合には、プライマリーペルソナを優先するという意味です。
・誰の話に一番興味を感じるでしょうか?誰が一番困っているでしょうか?誰が一番魅力的でしょうか?誰のためにデザインしたいでしょうか?
・ペルソナとは「ユーザをパターン化して、それを擬人化して、優先順位を付けた」ものです。この3要素の中で本当にデータを必要とするのは「パターン化」だけです。
・誤用・悪用には気をつけてください。特に、偽物で要件開発(要件定義)してはいけません。「○○したい」というペルソナの要求は、実際にはペルソナを作った人/チームの要求だからです。
・シナリオに基づく設計
・課題シナリオ
・作業シナリオ
・情報シナリオ
・対話シナリオ
・Tプロトタイプ…ある程度の幅と深さを持ったプロトタイプ
[Part3.評価]
・10ヒューリスティックス
・システム状態の視認性
・システムと実世界の調和
・ユーザコントロールと自由度
・一貫性と標準化
・エラーの防止
・記憶しなくても、見ればわかるように
・柔軟性と効率性
・美的で最小限のデザイン
・ユーザによるエラー認識、診断、回復をサポートする
・ヘルプとマニュアル
・認知的ウォークスルー
・そもそもユーザは”何を”すべきかわかっているのだろうか?
・ユーザはインタフェースを探索して”やり方”に気づくだろうか?
・ユーザは目的と正しい操作方法を”関連付け”られるだろうか?
・システムの”フィードバック”から、ユーザは操作が順調に進んでいることがわかるだろうか?
・問題点は”ユーザの視点”で記述します
・既存製品は微妙なバランス(つまり妥協)の上に成り立っています。現在の設計に至る”社内政治”を十分に理解しないまま、テスト結果だけを掲げてチームミーティングに乗り込んでも、それは作り手から見れば混乱をもたらす邪魔者にすぎません。
・テストを実施する前に、まず、作り手と評価者の間に十分な信頼関係を構築すべきなのです
・1.まずユーザを”調査”して真のニーズを把握したうえで、2.そのニーズを満たすような製品を設計して、3.その製品を”評価”して改善する、のです投稿日:2014.05.01
本書は12のチャプター
ユーザー中心設計概論、インタビュー法、インタビューの実践、データ分析法、発想法、プロトタイプ、ユーザビリティ評価法、ユーザテスト、ユーザテストの準備、ユーザテストの実施、分析…と再設計、ユーザ中心設計活動
から構成されていて、インタビューやユーザテストの解説に多くの分量が割かれていて具体的な手法が記載されていて参考になる。
本書の副題は「ユーザエクスペリエンスのための調査、設計、評価手法」だが、本文中では「ユーザビリティ」と「ユーザエクスペリエンス」は区別されているように見える。
ユーザビリティは ISO 9241 を参照して、効果、効率、満足度という尺度を用いて評価されるものとしている。一方で、ユーザエクスペリエンスはユーザビリティを超えた概念としてディズニーランドや iPhone を例に挙げた上で『仮にユーザビリティが満点であっても、その製品への評価は中程度にとどまる(1-3 ユーザエクスペリエンス より引用)』と表現している。
本書はユーザビリティを担保するためのインタビュー法やユーザテストについて詳しく書いていて、ユーザビリティとユーザエクスペリエンスを繋げるための手法としてユーザ中心設計(User Centered Design)を紹介しているものの、その記述は数ページにとどまる。
開発の規模にもよるが、ユーザビリティのためのインタビューやユーザテストをして戦略を考える人間といわゆるユーザエクスペリエンスを考える人間は別である場合が多く、その間の連携に課題があるケースが多いような印象がある。
本書を読んだ後は、上記のような連携における課題を解決するためにさらに学ぶ必要があるだろうと感じた。続きを読む投稿日:2023.04.08
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