死を受け入れること 生と死をめぐる対話
作品情報
「どこで死にたい」と予め考えていても、自分は変わります。こういう風にすればいいという人はいますが、教科書通りにいくはずがない。誰も自分の死体を見ることはできません。だから何も心配することはないんです。(養老孟司)外科医のときは患者をどうやって生かそうかと考えていました。今は、患者をどうやって死なせようかと考えるのが仕事です。「その人らしい死に方とは何か」「あるべき終わりがあるのではないか」と考えるようになったんです。(小堀鴎一郎)
もっとみる
商品情報
- シリーズ
- 死を受け入れること 生と死をめぐる対話
- ジャンル
- 教養 - ノンフィクション・ドキュメンタリー
- 出版社
- 祥伝社
- 書籍発売日
- 2020.07.10
- Reader Store発売日
- 2020.09.11
- ファイルサイズ
- 9.1MB
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 3.0 (3件のレビュー)
-
まず、著者のお二人について簡単に紹介したい。
小堀氏は食道がんの手術を専門とする外科医だったが、定年後は訪問診療医として患者を看取る医療に携わってきた。その体験をエッセイ風に綴った著書『死を生きる人び…と──訪問診療医と355人の患者』は大きな反響を呼び、ドキュメンタリー映画にもなっている。なお、森鷗外は母方の祖父である。
養老氏は、いまの人は『バカの壁』の著者としてしか知らないかもしれない。もしかすると昆虫学者だと思われている可能性もある。しかし、もともとは東大医学部で教鞭を執る解剖学者である。
四〇〇人以上の患者を看取ってきた訪問診療医と、三〇〇〇体以上の死体と向き合ってきた解剖学者。お二人の対談はきっと面白いだろうと期待して読んだが、想像とは違う部分も多かった。
まず、小堀氏は訪問医となる前も外科医として四十年間医療の最前線に立たれてきた経験があり、圧倒的に患者と接してきた医師である。それに対して養老氏は、解剖を通してご遺体やそのご家族と付き合ってきたとはいえ、有体に言えば医者ではなく学者である。また、小堀氏が学業でだいぶご苦労されたのに比べると、養老氏は勉強しなくても成績が良かった秀才肌で、同じ東大医学部でも大きな違いがある。加えて、小堀氏は真面目で自分の意見を率直に述べずにはおられない性格のようで、養老氏は人に意見を押し付けるタイプではないものの、人の意見もあまり気にしないところがある。そうしたお二人の間に温度差のようなものを感じずにはいられなかった。
しかし、職業的に死と向き合ってきたという点ではお二人とも変わりなく、死生観については意見の一致が見られ、その内容もまた面白かった。それを一言で表現するなら、「死をめぐる問題に、統一的で一般的な解答はない」ということである。
現代では、自宅で最期を迎える人は少ない。核家族化が進んで介護してくれる身内がいないということもあるし、マンションでうっかり死なれると事故物件になってしまう。そうした事情への反動から、逆に畳の上で死を迎えるのが理想の死に方だと考える人も少なくないはずである。しかし、病院や介護施設で亡くなることが必ずしも不幸であるとは限らないし、自宅で死を迎えることが幸せかどうかは、ご本人やご家族の状況にもよる。にもかかわらず、社会はそれらを「同じ死」として一般化して語ってしまう。
延命治療にしてもそうである。高齢者の場合、体への負担を考えて余計な検査や治療をあえてせず、自然の経過に任せるということも少なくない。ただし、それが正しい措置かどうかはケース・バイ・ケースである。傑作だと思ったのは、「九十五歳以上は延命措置をするべきではない」という極端な意見が出ることに対して、「九十四歳と三百六十四日だったらどうするのか? 一日様子を見ましょうとでも言うのか?」という反論だった。まあこれはジョークとしても、九十五歳まであと半年だったらどうなのか。当然だが、同じ年齢でも治療に耐えられない患者さんがいる一方で、治療すればまだ元気に生きられる人もいる。生かすか死なせるかをマニュアルみたいに一律で決めてしまう異常さが浮き彫りにされている。
小堀氏は講演などで「死なせる医療」や「よりよい死に方」といった言葉を使おうとすると、主催者から嫌がられるという。養老氏は解剖のためにご遺体を引き取りに行った体験から、亡くなった方が病院でどれほど冷たく扱われているかを語る。発達した医療は多くの命を救ってきた反面、死を敗北や失敗とみなして日常から排除してこなかっただろうか。しかし、死が最後には誰にでも訪れるものであり、死ぬことも生きることの一部であってみれば、よりよい死を迎えることも、よりよく生きることの一部である。著者たちの主張するように、われわれは死を遠ざけてきたことで死との向き合い方を見失ってしまったのだとすれば、そのことをいま一度思い起こしたい。続きを読む投稿日:2020.08.26
飄々と医者であり死を見続ける2人の対談集。
死亡率100%の人間の死を見続ける2人。
彼らの前に死体として立ったら、私は人としてではなく死体の一つとして認識されるのだなと思った。
検体申し込んでいるの…が少し嫌になった部分もある。
申し込み取り消そうかな。続きを読む投稿日:2020.11.27
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・今なら優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。