「勤労青年」の教養文化史
福間良明(著)
/岩波新書
作品情報
かつて多くの若者たちが「知的なもの」への憧れを抱いた.大学はおろか高校にも進めなかった勤労青年たちが「読書や勉学を通じて真実を模索し,人格を磨かなければならない」と考えていた.そんな価値観が,なぜ広く共有されえたのか.いつ,なぜ消失したのか.地域差やメディアも視野に入れ,複雑な力学を解明する.
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商品情報
- シリーズ
- 「勤労青年」の教養文化史
- 著者
- 福間良明
- 出版社
- 岩波書店
- 掲載誌・レーベル
- 岩波新書
- 書籍発売日
- 2020.04.17
- Reader Store発売日
- 2020.08.27
- ファイルサイズ
- 21.7MB
- ページ数
- 302ページ
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この作品のレビュー
平均 3.8 (17件のレビュー)
-
1950年代に20代だった「勤労青年」の叔母は、日本文学全集や百科事典などの蔵書を遺していた。戦争で学校に行けなかった彼女の心のうちを知れるかと思い紐解いた。
映画「キューポラのある街」(1962)…において、ジュン(吉永小百合)は、最終盤、やっと全日制高校に行ける目処がついたのに敢えて夜間高校に行くことを決める。「これは家のためっていうんじゃなくて、自分のためなの。たとえ勉強する時間は少なくても、働くことが別の意味の勉強になると思うの。いろんなこと、社会のことや何だとか」
著者は、62年当時は、これが大衆に大いに支持されたことを指摘する(キネ旬二位、映画評論一位)。教養主義とは何か。著者の説明は以下のようなものである。
「さまざまな困難を乗り越えて、働きながら学び、実利を越えた何かを追求する」
「読書を通じた人格陶冶」
「文学・思想・哲学等の読書を通して人格を磨かなくてはならない」
つまり、試験でいい点をとったり、良い就職先にありつくことではなかった。
これは現代の学生には、全く支持されないと、著者はいう。特に小百合の言う「実利を超越した勉学・教養」という主題に共感した(著者の受講生の)学生は、皆無だったと指摘する。著者は、その背景に「格差と教養」をめぐる時代背景があるのだ、と論を進める。
悪い予感が当たった。
著者は肝心の「教養」を持ちあわせてはいない。或いは、誤った「教養」を持っている。
京大出身の社会学者である著者は、ホントに勤労青年の「人格陶冶」への渇望の意味がわかったのだろうか。社会現象として解説しただけではないか。もちろん、これを全面的に展開しようとしたならば、小熊英二の「1968」ならぬ「1958」が必要になるだろう。無名の個人の思想変遷にはまで筆を進めなくてはならない。そのボリュームを覚悟して欲しかった。
昔は若者は健気に頑張った。でも、困難や時代の推移で、今は完全に廃れている。寂しいよね。
そんな内容を書くのが、「教養」が求めていることではない。「教養」は、人は如何に生きるべきか、を求めているだろう。
今ホントに教養主義は、廃れているのか?
地方は昔と同じように疲弊している。
労働環境は昔と同じように展望がない。
世界の文明はますます危機に瀕している。
青年はホントに「実利を超えた勉学・教養」を求めていないのか?現代青年の教養に対する意識調査は、著者はひとつも紹介していない。
現在無数のサークルが日本に存在しているが、それは教養主義とリンクしていないのか?
全国的な「勤労青年」の学習組織も存在しているが、著者はなぜ完全無視したのか?
叔母さんは、結局花道と茶道で免許皆伝を取った。そうやって人生に折り合いをつけたのだと思うが、広く地域と結びつかなかった。その頃は既に、地域の組織は衰退を始めていたからである。
続きを読む投稿日:2020.07.11
ノンエリート層の「教養」について、戦後〜1970年代までを主な射程に、青年学級・定時制・人生雑誌への眼差しをまとめた本。おそらく資料収集に相当力を注いだのではないか。その苦労は察せられるが、引用とまと…めが繰り返され、やや冗長に感じた。最後の歴史趣味への論考や、高度成長以降、ノンエリート層から「教養」が如何に見放されたのか、もう少し読みたかった。続きを読む
投稿日:2022.11.05
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