処女のまま死ぬやつなんていない、みんな世の中にやられちまうからな(新潮文庫nex)
葵遼太(著)
/新潮文庫nex
この作品のレビュー
平均 4.3 (21件のレビュー)
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たとえて言うなら、彼らはクラスの中で周辺部にいるメンツだ。陰キャラと呼ばれたり、そこにいることを無視されるような、そんな存在。そんな彼らがたまたま新学期の席順で窓際の後ろの4つの席にかたまったのは、あ…る意味奇跡の始まりだった。もし、彼らのうちの1人でも席が離れていたら、もし、彼らのうちの1人でも最初の自己紹介を無難に終えていたら、もし…
いくつかの偶然が彼らを結び付け、そして奇跡のようなキラッキラの青春を見せてくれた。
高校生なのに恋人が病気で死んだり、クラスの周辺部メンバの4人がバンドを組んで文化祭で演奏したり、美女と野獣のようなカップルが生まれたり…っていままでにもう充分語りつくされた青春小説なのだけど。
その「よくある話」をここまでまぶしくオトナも泣ける小説に仕上げるなんて、葵遼太、おそるべし。
親目線で読むなら、どうしても晃の両親のことを心配してしまう。大切な息子が、不治の病の彼女のそばで過ごすために学校に行かないことを認めるってなかなかできませんよ。息子が傷つくことがわかっているし、つらい時間を過ごすことになるし、なにより、彼女の死のあと、立ち直れるかどうか、不安だろうし。
そんな中でよく、息子を信じて1年を過ごさせたな、と。
それと、Twitterでは和久井人気が高いようだけど、アタクシ的にはどこをどう切っても藤田一択ですわ。
サイコーじゃないですか、藤田。友だちと、友だちの彼氏のために、どれだけ時間を費やしたんですか藤田。最後にはお願いだもう藤田を開放してやってくれ、と思ったりもして。
願わくは、藤田のこれからの人生が美しく輝いていますように、と祈る。
ただ、ひとつ。心から愛していた彼女を失った18歳男子の一年間って、どんな風なんだろう、と。ちょっと考えたりもして。
「死」というものがそれほど身近ではないであろう年ごろの高校生にとって、一年でその死を乗り越えることってできるんだろうか。いや、ずっと砂羽のことを思い続けろ、引きずり続けろ、とは言わないけど。
あぁ、でもそうか。これは恋人を失った高校生のたんなる再生の物語、ではなく、それぞれに鬱屈を秘めた4人の青春音楽小説、ってことなんだな。
ニルヴァーナやレッドツェッペリンの音楽が今の時代に再び必要とされている、という、そういう物語なんだな。
そういえば「天国への階段」を繰り返し繰り返し聞いていたのは、私も17歳の頃だったな、とふと。
音楽の持つ力って無限大だ。
あぁ、そうだそうだ。白波瀬のお母さんの仕事より、武彦くんの両親の学校への力の理由の方が気になっております。武彦くん、いいやつだ。彼のような人がいて、小さな世界は回っているんだよね。続きを読む投稿日:2020.06.18
このレビューはネタバレを含みます
すごいタイトルだな、というのが初めの印象。
レビューの続きを読む
ただ、読んでいくにつれて惹き込まれて泣きながら一気に読んでしまった。
主人公の佐藤晃が二回目の高校三年生として教室にいくところから本編は始まる。
晃が二回…目の高校三年生を送ることになったのは、昔付き合っていた砂羽のお見舞いに通い続け、出席日数が足りなくなったから。そしてその砂羽はもうこの世にはいない。
クラスの輪に入れず浮いた3人と、4人でクラスに対抗する同盟を組み、モンキーズというバンドを組む。
晃の過去は、モンキーズとしての活動が進んでいくにつれて少しずつモノローグの形で明らかになっていく。
砂羽の死への恐怖、晃の生きることへの執着が自覚なしに薄れていく描写が読んでいて苦しくなる。
柿ケ原はよくクラスに1人いる”いい子ちゃん”で晃たちと敵対するような存在かと思いきや、最後にはモンキーズを助けてくれる。そしてその理由が”流れに逆らう覚悟を持つきみたちを邪魔させたくなかった”であり、とても明確で読者としても納得できた。
一点だけ、晃と御堂はいい感じになるが、砂羽を亡くしてあれだけ苦しんでいたのに次に行くのが早くないか…?とは思った。もちろん1年は経っているという話ではあるが、そこだけ少し疑問。
和久井もなんとなく憎めないキャラで応援したくなる。
第三章で、砂羽からの手紙が明確になっていく。恋人を亡くしても学校にこれていたり、初めて話しかけた白波瀬とちゃんと会話していたのは砂羽との約束だったから、というのがわかった時は思わず読み返してしまった。
そして親友の砂羽が亡くなっても飄々と日々過ごしていたように見えた藤田だが、彼女自身も本当は深く傷ついていたことが最後の手紙の描写でとても伝わった。
何より、ご両親や砂羽の親御さん、そして小菅さんという素敵なしっかりした大人が周りにいて晃は本当によかったと思う。続きを読む投稿日:2023.10.01
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