告白
作品情報
「愛美は死にました。しかし事故ではありません。このクラスの生徒に殺されたのです」我が子を校内で亡くした中学校の女性教師によるホームルームでの告白から、この物語は始まる。語り手が「級友」「犯人」「犯人の家族」と次々と変わり、次第に事件の全体像が浮き彫りにされていく。衝撃的なラストを巡り物議を醸した、デビュー作にして、第6回本屋大賞受賞のベストセラー。
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商品情報
- シリーズ
- 告白
- 著者
- 湊かなえ
- ジャンル
- 小説 - ミステリー・サスペンス・ハードボイルド
- 出版社
- 双葉社
- 掲載誌・レーベル
- 双葉文庫
- 書籍発売日
- 2010.04.08
- Reader Store発売日
- 2020.06.08
- ファイルサイズ
- 1MB
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この作品のレビュー
平均 4.0 (2716件のレビュー)
-
この世には殺人事件が溢れている。『誰でもよかった』、たまたまその時そこにいただけのことで奪われる生命。『復讐』という言葉が刻まれる瞬間。
『殺人は悪である、と本能で感じる人などいるのだろうか。』、小…さい頃から、良いことをしなさい、悪いことをしてはいけない、と言われて育った人は多いと思います。でも何が良くて何が悪いのかは相対的なものでもあります。動物含めても蜘蛛、豚、牛、犬、猿そして人、どこで線引きがされるかは国によっても時代によっても大きく変化し、長い人類の歴史においても絶対的な答えのないある意味究極の難題です。人に備わっているのは自己防衛本能のみ。だから、『殺人が犯罪であることは理解できる。しかし、悪であることは理解できない。人間は地球上に限りなく存在する物体の一つにすぎない。何らかの利益を得るための手段が、ある物体の消滅であるならば、それは致し方ないことではないだろうか。』、そんな風に考えてしまう修哉。どこまでも自分に都合の良い考え方だとは思います。そもそもそんなことを誰もが考え出すとこの世は成り立ちません。でも、そう思う気持ちに誰も満足のいく回答が出来なければ、回答をしてあげなければ、彼は納得しないでしょうし、彼の考え方が勝ってしまいます。そして、悲しい歴史は繰り返され続けます。
作品内で語られるK市児童殺傷事件、H市母子殺傷事件、いずれも90年代後半にこの国を震撼させた事件として人々の中に記憶されています。未成年が起こした凄惨な殺人事件。未成年の事件が起こる度に、家庭環境が、教育現場がと、大騒ぎが繰り返される世の中は変わりません。この作品では、まさしく学校現場を舞台に事件が起こります。警察が事故と結論したはずなのに、それは事件だという真実。加害者も被害者遺族もそれを知っているという不思議な均衡。物語は、そんな背景の上に登場人物が順番に第一人称となって様々なことを『告白』していくことで展開します。「告白」、それは『秘密にしていたことや心の中で思っていたことを、ありのまま打ち明けること』という意味の他に、『自己の罪を神の前で打ち明け、罪の許しを求めること』という意味も持っている言葉です。作品中では気持ちを整理するためにつけた直樹の母親の日記が描かれます。人は文字で、言葉でその心の内を『告白』します。
人は秘密が大好きです。それでいてそれを黙っていることを苦痛にも感じてしまいます。でも、その秘密が罪の意識を感じるものであった時、書くこと、語ることでその苦痛を和らげようとします。複数の登場人物が順に第一人称となって語るそれぞれの心の内、それぞれが思う真実。こういった形式で描かれた作品は他にもありますが、この作品では、告白だけで物語が進んでいくこと、それぞれが見ていた相手の捉え方、認識に致命的に大きなズレがあったことがわかることで、読み手の中に大きな衝撃を積み重ねていきます。
そもそも人はコミュニケーションをしなければ生きていけない生き物です。『殺意とは一定の距離が必要な人間が、その境界線をふみこえてきたときに生じるものなのだと、初めて気付いた。』、修哉が気付く殺意の瞬間、殺意の理由。でもこの『一定の距離』が人によって異なることが、問題を複雑にします。コミュニケーションの手段である言葉だって同じです。『死ね』、場面によってはドキッとしますが、驚くほどに日常にありふれた言葉でもあります。『なんとなくむしゃくしゃする気持ちを、ボキャブラリーの少ないあいつは、「死ね」という言葉でしか表現できなかっただけなのだ。』、そう、人によってこの言葉を使う感覚が異なる、この言葉の意味するところさえも異なってしまう。重い言葉のはずなのに認識が一致せずにズレてしまうコミュニケーションの難しさ。出版されて10年も経つ作品なのに、このサイト内だけでも毎日のように感想が書き込まれています。作品を読んで何かを語りたくなる衝動、でも同じ登場人物の同じ『告白』を読んでいるのに、感じるところは千差万別です。改めてコミュニケーションが如何に難しいことかが分かります。
作品中、森口先生は休職明けに自分に二つのルールを課しました。『子供たちを呼び捨てにしない』『出来る限り同じ目線に立ち丁寧な言葉で話す』、彼女なりに生徒たちとの関わり方を、コミュニケーションの取り方を考えた上でのルールでした。それでも事件は起こりました。でも、私はそれでもこれをヒントにしたいと思います。人と対峙する時、年齢や性別、相手との力関係を問わず、目の前の相手と同じ立ち位置で、同じ目線で、同じ気持ちに寄り添うということをより意識したいと思います。
小説は学ぶものなのか。単なるエンタメなのか。綺麗事では語れない、願っても救われないのは事実です。でも、何かしら学びを感じたくなる、何かしら読後の自分の中で決着させたくなる、そういう思いを強く感じた作品でした。続きを読む投稿日:2020.03.06
自分が他人の欲望を満たすために使われてると気づくと、酷く失望する
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めちゃ面白かった!投稿日:2021.01.04
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