僕が殺した人と僕を殺した人
東山彰良(著)
/文春文庫
作品情報
夏休みが終わる2日前。13歳だったぼくたちの人生は、大きく狂いはじめた。
1984年の台湾と2015年のアメリカを舞台に、数奇な運命に弄ばれた少年たちを描く、青春ミステリーの金字塔!
2015年冬、アメリカを震撼させた連続殺人鬼〈サックマン〉が逮捕された。
彼の弁護を担当することになった国際弁護士の「わたし」は、30年前に台湾で過ごした少年時代を思い出していた。
当時、13歳だった「わたし」は〈サックマン〉のことを確かに知っていたのだ――。
台湾を舞台に贈る青春ミステリの金字塔。
織田作之助賞、渡辺淳一賞、読売文学賞小説賞をトリプル受賞!
解説・小川洋子
※この電子書籍は2017年5月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
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商品情報
- シリーズ
- 僕が殺した人と僕を殺した人
- 著者
- 東山彰良
- ジャンル
- 小説 - ミステリー・サスペンス・ハードボイルド
- 出版社
- 文藝春秋
- 掲載誌・レーベル
- 文春文庫
- 書籍発売日
- 2020.05.08
- Reader Store発売日
- 2020.05.08
- ファイルサイズ
- 1.4MB
- ページ数
- 368ページ
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この作品のレビュー
平均 4.0 (38件のレビュー)
-
2015年、アメリカを震撼させた連続殺人鬼〈サックマン〉が逮捕された。彼の弁護を担当することになった国際弁護士の〈わたし〉は、30年前、当時13歳で台湾で少年時代を送っていたとき、後に〈サックマン…〉となった少年のことを知っていた。
1984年から1985年、当時中学生だった台湾の三人の少年の物語が回想される。
彼らの住んでいたのは台湾の廣州街と言う町で、線路によって〈大陸人側〉と〈台湾人側〉に分断されていた。語り手の元少年は、〈大陸人側〉に住んでおり、線路を越えた向こう側へ行くことは大人から禁じられていた。
兄の死、親の不仲、義父からの虐待など家庭に問題を抱えている三人の少年は、つるんで万引をしたり、ブレイクダンスの練習に明け暮れたり、タバコを吸ったりそんな青春時代を過ごし、絆を固くしていた。
線路の向こう側へも行った。中一から中二の多感な時代、大人から禁じられている〈線路の向こう側〉へ行くことは、彼らたちにとって、怖いものを見ることであり、大人への橋を渡ることであった。そして同時に自分たちの精神や性の〈向こう側〉を知ることでもあった。
自分達を取囲む大人のどうしようも無さを知り、また分かりあっていると思っていた自分たち親友同士の理解しあえない部分を知り、彼らは大人になっていく。彼らだけでいるときは楽しかった日々が少しずつ狂い始めていく。
ある日、三人のうちの一人をどうしようもない家庭環境から救うため、彼らはある計画を立てるが、その時から彼らの時間は止まってしまう。
この小説は、初めから連続殺人鬼〈サックマン〉が語り手の元少年と30年前、台湾で共に過ごした元少年だといっているので、「犯人は誰?」という謎はなく、「サックマンがどうしてサックマンになったか?」という疑問を持って読み進めるわけであるが、それでも犯人を明かされた時には、背筋を冷たいものが走った。
〈サックマン〉がアメリカで逮捕された、2015年には三人の元少年たちは、台湾、アメリカで生活していたが1984年に台湾で過ごした時の記憶が再び三人を結びつける。
大人になり、「あの時彼らにとって本当は一番大事だったもの」を知った元少年。大人になれないまま時間が止まった元少年。サックマンの行為は人々を震撼させるが、元少年たちだけが共有てきる青春の思い出には心温まるものがある。
続きを読む投稿日:2020.11.23
登場人物と共に台北の路地を駆け抜けた日々からの結末に、衝撃が大きすぎて、心が揺さぶられ続け、読後は何も手につかないです。
あの瞬間の1つの発言が、1つの選択が、ちょっとしたノリが、振り返れば大きく人…生に影響を与えていく衝撃。
切なくて、でも若い頃の勢いってそういうものだったりするよね。
台湾行きたい。
続きを読む投稿日:2024.02.28
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