ブロードキャスト【電子特典付き】
作品情報
陸上の夢が潰えた僕は、まさかの放送部へ。そこに居場所はあるか。夢と友情、嫉妬と後悔。大人への反発。湊かなえだからこそ書けた、心ふるわす新青春小説。町田圭祐は中学時代、陸上部に所属し、駅伝で全国大会を目指していたが、3年生の最後の大会、わずかの差で出場を逃してしまう。その後、陸上の名門校、青海学院高校に入学した圭祐だったが、ある理由から陸上部に入ることを諦め、同じ中学出身の正也から誘われてなんとなく放送部に入部することに。陸上への未練を感じつつも、正也や同級生の咲楽、先輩女子たちの熱意に触れながら、その面白さに目覚めていく。目標はラジオドラマ部門で全国高校放送コンテストに出場することだったが、制作の方向性を巡って部内で対立が勃発してしまう。果たして圭祐は、新たな「夢」を見つけられるか――。※電子書籍版特典として、「月刊Newtype」2018年10月号に掲載された対談「興津和幸×湊かなえ」を収録しました。
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商品情報
- シリーズ
- ブロードキャスト【電子特典付き】
- 著者
- 湊かなえ
- 出版社
- KADOKAWA
- 掲載誌・レーベル
- 単行本
- 書籍発売日
- 2018.08.23
- Reader Store発売日
- 2020.05.15
- ファイルサイズ
- 5.1MB
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この作品のレビュー
平均 3.5 (108件のレビュー)
-
『青春ものを読みたい!という読者は湊かなえさんを選ばない!湊かなえさんを読みたい!という読者は青春ものには興味がない!』
あなたが今、手にしている本はなんでしょうか?その本を選んだ理由は?話題になっ…ていて読んでみたかったから?友達に勧められたから?色んな理由があると思いますが、その作家さんの作品が読みたいからということもあると思います。そんな中で湊かなえさんの作品を読もうとする人は何を求めるのでしょうか。湊かなえさんの作品に抱くイメージというと、『ドロドロ』『イラッ』、そして『イヤミス』。読んだら絶対に嫌な気分になるのに、後味の悪さを味わうのに、そのことがわかっていながら、わざわざそれを求める人がいる。湊さん自身も『自分の得意な方向は「告白」のようなものじゃないか、そういうものを求められているんじゃないか』と感じられているようです。でも、『そうではないものも書いてみたい、よし挑戦しよう!』と書かれたのがこの作品。『これまで高校を舞台にした小説はありましたが、今回は真っ向から「青春」に挑戦しました』と語られる湊かなえさん。さて、本当に『イヤミス』じゃない作品になったのでしょうか?
『中学三年生、最後の全国大会へと繋がる駅伝の県大会で、一位のチームに一八秒差で負けたことが、その時点での僕の、人生において一番悔しい経験となった』という主人公・町田圭祐。『市立三崎中学に入学し、先に声をかけてきたのは、良太の方』という山岸良太に誘われ陸上部に入部し『全国を目指せる団体種目は長距離、駅伝』と練習に励み、チームとして成果を出していきます。『推薦。青海学院から来ているんだ』とスポーツ推薦での高校進学の話もくる良太を目標に頑張る圭祐。そして『全国がいよいよ夢で終わらないところにまで漕ぎつけた矢先』に、『良太が両膝を故障した』という現実。全国大会への道を絶たれた圭祐。『堂々の県大会二位。誇りに思おうよ。俺は高校に入っても、長距離を続ける。自分の力で全国大会にも出場する』という良太に『良太と駅伝で全国大会を目指せる日が来る』と猛勉強の末、青海学院に合格します。しかし、まさかの『夢も希望もない』という入学式。『合格発表の帰り道、ものすごい勢いで自動車が右折してきて…僕の左足にはボルトが入っている』というまさかの未来が待っていました。そんな時、同じ中学出身の宮本正也から声をかけられます。『町田の声は、俺の理想の声なんだ!』という正也。『俺は、脚本家を目指しているんだ。放送部に入る。俺はラジオドラマを作りたい。町田、一緒に放送部に入ろう!』と全く考えてもいなかった部活の名を告げられます。そんな圭祐は迷いながらも、正也に連れられ放送部の見学に訪れます。そして…。
『放送部』の活動と言われても全くピンときませんが、チラシの内容という自然な形で『学校行事の司会・撮影やアナウンス・朗読』などが活動内容であることがわかります。そしてこの作品では、もう一つの大切な活動である『作品制作』に焦点を当てていきます。ここで、『脚本家』を目指すという正也の語りを通じて『ミステリー作品を起承転結で表すとしたら』というなかなかに興味深い記述が登場しました。
起 事件が起きる。主役の探偵(または刑事)の登場。
承 謎解き、捜査が始まる。数々の障害あり。
転 アリバイ崩しのヒントや有力な情報を得る。犯人逮捕。
結 めでたしめでたし(ハッピーエンド)。事件が解決するも、モヤモヤとした嫌な気分が残る(イヤミス)。
『こうやってまとめられるとわかりやすい』という圭祐の感想は読者も全く同じでしょう。なるほど、これがミステリーの作り方。しかも最後に『イヤミス』と湊さんご自身で書かれるところなどよくわかっていらっしゃいます。これが湊さんの中のお決まりなんですね。さらに、ラジオドラマの作り方についてこんな記述もありました。他校が制作した『女子高生が白血病になって駅前でドナー検査を受けてくれるよう「未来をください」って訴えるという作品』を見た正也。『友人役が順番に医学書を読み上げているような構成になっている、実際に自分が街中で訴えるなら同じような感じかもしれない』と分析します。『でもコレはラジオドラマだ。現実に起こりそうなことをそのまま再現するのではなく、やはり、脚色が必要なのではないだろうか』とこう続けます。『雨音!呼びかけの最中に雨が降ってくる。通行人たちの足は速まり、耳を傾けてくれる人は誰もいなくなるかもしれない。それでも、続ける』。正也の語りを通して湊さんが作品を作るならこうするという視点を垣間見ることのできたこちらもとても興味深いシーンでした。
そして、この作品は、もう、まさしく『青春もの』です。今までにも沢山の『青春もの』には触れてきましたが、この作品が素晴らしいと感じた点は以下のような感じでしょうか。
・スポ根ではなく、『文化系』クラブに焦点を当てている。しかも『文化系』花形の吹奏楽ではなく、『放送部』というマイナー系を取り上げている
・毒が全くなく、本物の悪人が登場しない
・ケガはしても難病ものに逃げていない
・結末に、不自然に高いゴールを持ってこない
・作品を彩る伏線が極めて巧みに張られ、極めて自然に回収がなされる(湊さんの他の作品に比しても極めて巧み)
・『ここはおまえの居場所なのか?』という青春ものっぽい投げかけへの主人公の苦悩と葛藤、そして克服して未来へという王道が描かれている
・圧倒的に爽やかで、清々しい余韻が残る
など『青春もの』として『文化系』クラブを描くなどの独自性を持った上で、抑えるべき点を高いレベルでクリアしているのは見事という他ないと思いました。『竹宮先生、去年から休職して、海外のボランティア活動に参加している』という表現にあっ!湊さんだ!とマニアックに見分ける視点はありますが、普通には作家名を隠された状態で、この作品を読んだ人の中でこの作品が湊さんの作品だと当てられる人はまずいないと思います。はい、『イヤミス』の湊さん色は全くの皆無です。
『創作物を発表するということは、喜びだけでなく、恥、落胆、覚悟など、様々な感情と付き合っていかなければならないのだな、と考えさせられてしまう』という表現など、湊さんの作品制作に対する考え方も垣間見れるこの作品。そんなこの作品の一番の問題点は全く違うところにあると思います。
『青春ものを読みたい!という読者は湊かなえさんを選ばない!湊かなえさんを読みたい!という読者は青春ものには興味がない!』
この作品の一番の問題はこのミスマッチにあるのではないかと思いました。他の方の感想を読めば読むほどそのことを強く感じました。
そう、需要と供給のポケットに落ちてしまったこの作品。読みたい人は辿り着けず、読んでもらいたいと思っても辿り着いてもらえないこの作品。もったいない。すごくそう思います。なかなか需要と供給を上手くマッチさせるのって難しいですね。
…というのが私の稚拙な分析ですが、一方で私自身は、湊かなえさんに『イヤミス』は全く求めていません。そして『青春もの』が大好きな私。そう、そんな人が偶然にもこの作品に辿り着くと、そこに待っているのは、これはもう幸せな出会いしかありません。ということで、需要と供給がマッチした人間にはたまらない感動を与えてくれます。そう、素晴らしい『青春もの』の傑作!やっぱり青春って、いいなって。ラストシーンの鳥肌が立つような冴え渡った伏線回収のキレの良さ、『青春もの』の王道を行く納得感のあるストーリー展開、そして晴れ渡った高い空をいつまでも見ていたくなるような澄み渡った余韻。素直にとても感動しました。ありがとうございました。続きを読む投稿日:2020.05.28
このレビューはネタバレを含みます
湊かなえはこういう作品を書き慣れていないのだろうか…。なんかラノベ感が漂う登場人物のそれぞれのデフォルトされた個性が読んでいてむず痒かった。放送部のイロハはすごく面白かったし、ラジオドラマなんてめちゃ…くちゃ面白い題材。これだけで作品一本書いて欲しいのに、なんか部活やらイジメやら友情やら青春やらを入れ込んだごった煮作品。そしてどの登場人物にも深入りしない浅い感じがすごく冷たく感じた。温もりを出したい作風で、これはあかん。続きを読む
レビューの続きを読む投稿日:2020.12.30
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