赤ちゃんをわが子として育てる方を求む
作品情報
子をはぐくむのは血ではなく愛のつながり。
1926年石巻で生まれた菊田昇は、母が経営する遊郭で幼少期を送り、遊女の悲哀を目の当たりにする。その後、東北大学医学部に進学。卒業後は、産婦人科医となり、望まぬ妊娠をした女性が子供を堕ろすことなく、子供を欲する夫婦の実子となるよう非合法な縁組みを始める。法を犯してでも小さな命を守ることを優先、多くの赤ちゃんの命を救うこととなる。ところが、その事実が新聞にスクープされ、世間を揺るがす事件に発展。
日本医師会からの処分、国会招致、家宅捜索など、幾多の試練にさらされ、それでも命を守るという信念を曲げることなく、国を相手に闘い続けた昇は、悲願の「特別養子縁組」制度を勝ち取った。
ノンフィクションの旗手・石井光太氏が取材を重ね、「赤ちゃんあっせん事件」の裏にある真実を描いた小説。
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この作品のレビュー
平均 4.4 (8件のレビュー)
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「子どもを産む」ということは親自身も喜び、周りからも祝福されることだと信じている。いや、信じたい。
望まれないまま生まれてきた子どもたちがいることは当然知っている。けれど、自分が子どもを産んだとき、「…世界中が私たちを祝福してくれている」という絶対的な幸福感がその現実への認識を揺るがしてしまう。
望まない、あるいは望まれない妊娠をしたとき、母親はどうするか。
人工妊娠中絶。現在は22週までの人工妊娠中絶は認められている。というか、逆に22週つまり7か月までしか認められていない。かつて8か月まで行われていた中絶が禁止された。その法律とそこから続く「特別養子縁組法案」の制定を勝ち取るまでの菊田昇医師の闘いがフィクションという形で描かれている。
この説明を読んだだけでは、その6週の違いで何がどう変わるのか、よくわからないと思う。
大人にとって見たら6週間なんてあっという間だ。けれど、胎児の成長にとってその6週間は「人」になるかどうか、という大きくて長い時間なのだ。28週で中絶された胎児は時に生きてこの世に生まれてくる。生きているということは「出産」されたということで、つまり戸籍にその存在が記されるということだ。
中絶する親は自分の戸籍を汚さないことを望む。では、生きて生まれてしまった胎児をどうするのか。
医者が、そっと、殺す、のだ。それが当たり前として行われていたのだ。
遊郭で育った菊田医師は身近に妊娠や堕胎、そしてそれによる死を身に染みて経験していたからこそ、そんな悲しい現実を変えたい、変えねばならない、という強い信念を持つ。
危険な堕胎を避け、生まれてきた子どもを子どもを欲しがる夫婦の実施としてあっせんする。その時に、必要な書類を偽造する。それは法律に違反することだ。罪に問われることになる。けれど、菊田医師の信念は様々な圧力に屈することなく、自分の信念を、信じた道をがむしゃらに進み続けた。
国を、組織を、変えるのは、簡単なことではない。一人の力ではかなわなかった、この偉業。
妻も、医院の看護師たちも、支えてくれた友人たちも、すべてが素晴らしい。
自分なら、できるだろうか。
信じることがあったとして。それが自分のためではなく、苦しく悲しい思いをする誰かのために、自分のすべてをかけて大きな力と闘うことができるだろうか。あるいは、身近にいるそういう人のために、全力で協力することができるだろうか。
泣きながら考えた。今も、考え続けている。続きを読む投稿日:2020.04.23
産婦人科医、『菊田昇』さんの医師としての生涯が書かれている。
この方が起こした『赤ちゃんあっせん事件』なるものを
私は知らなかった。
産婦人科医が中絶手術をしなければ病院経営が回らなくなるという事実も…初めて知る。
様々な理由から中絶を望む女性たち。
後期中絶手術はお医者さんたちも本当に辛いでしょう。
そこで何とか赤ちゃんを母親に産んでもらい、
その赤ちゃんを不妊夫婦の元で育ててもらうという、
赤ちゃん斡旋を独自に始める菊田医師。
これはタブーに近い話ではあるけれど、
目を逸らせてはいけない事でもあり、
一概に賛成だ反対だと大きな声で言えないのが本音。
1987年に特別養子縁組が法的に導入され、
何歩も進んだかのように見られるが
調べたところ、そこから促進させるような法律はまだ存在しないらしい。
とても偽善的な言い方になるが、
産まれてきた命、どの子にも幸せになって欲しい。
蛇足。
作中に遠藤周作や三浦綾子、大好きな作家の名前が出てくる。
菊田さんはクリスチャンになられたそうで、納得。続きを読む投稿日:2020.11.08
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