最期の対話をするために
玉置妙憂(著者)
/KADOKAWA
作品情報
看取りの現場での後悔を、わずかでも少なくするために。死に向かう人が肉体的にどういう過程をたどるか。延命治療にはどういうものがあるのか。逝く人の心に寄り添うにはどういう対話をすればいいのか。看取る人の心が折れないためには、周囲のどういうサポートが必要か。逝く人、看取る人、その近くにいる第三者の視点から、相手を傷つけず、心に寄り添う対話をするにはどうすればいいのか──。緩和ケアの最前線にいる現役医師による、終末医療の最新情報も掲載。
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この作品のレビュー
平均 3.0 (2件のレビュー)
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人の最期は、息を吸って、止まるそうです。
息を吐いて終わるケースもあるそうですが、吸って終わるケースの方が多いそうです。
産まれるときはオギャーと息を吐いて産まれ、最期は文字通り「息を引き取る」。
…この本は、最期を迎える人と看取る人たちの双方が、どのように前向きに最期の準備をしていくかのアドバイスが書かれた本です。ここで言う準備とは、金銭や書類や住環境などの物理的な準備、精神的な心の準備の両方を指します。
この本が紹介している物理的な準備の中で特に勉強になったのが、「ACP(アドバンスケアプランニング」というものです。
これは、自分自身の今後の治療方針をあらかじめ自分と家族と主治医との間で約束しておく、というもので、例えば「もし自分が認知症になったらどうしたいか?」という問いに対し、「できる限りの延命治療を望む」のか「積極的な治療は望まず、痛みを緩和する治療だけを望む」のかを、自分が元気で判断能力があるうちに自分で決断して書類に記入することが求められます。
こういった準備は、精神的にとても辛いし難しいと思います。人の死を、その人が生きているうちから語るのはタブー視されていた昔とはだいぶ変わってきた現代においてもなお、大切な人の死の準備をするのは誰だってとても辛いです。感情的になって冷静な判断ができなくなることもあると思います。そんな精神的な辛さを和らげるための方法もこの本ではいくつか紹介されていて、その中で僕がいいなと思った2つを紹介します。
1. 死者とのアクセスポイントを決めておく
これは、ここに行けば死者とまた会える、という場所をあらかじめ決めておくというものです。過去に旅行で訪れた思い出の場所でも、家の近くにある大きな木でも、お墓でも、どこでも良いと思います。これを大切な人たちの間で前もって決めておき、そこに行けばいつでも再会できるんだという安心感を抱いておくという方法です。
2. タオルの端と端を掴んでつながる
これは著者が実際に病院で見た老夫婦のとある光景だそうで、入院中で寝たきりになった夫と見舞いに来た奥様が、話すでもなく目を合わせるでもなくただ互いにタオルの端と端をつかんでいて素敵な光景だった、というものです。
長年連れ添った日本の老夫婦にとって、手をつないだりハグをしたりという欧米文化は気恥ずかしい、だけど物理的にも心でも何かしらのつながりが欲しいときにとてもよいやり方だと思います。
著者は、看護師の資格と経験を持ち、その後僧侶として活動している方で、この本は、そんな著者が、医療関係者としての視点と精神世界に携わる人としての視点の両方から、死との向き合い方について記した良書です。
僕はこの本を読んで、最期の準備をするというのは、看取る側と看取られる側の双方が豊かで穏やかな気持ちでそれを迎えるために大切なことで、それがお互いの思いやりの形なんだと思いました。続きを読む投稿日:2020.08.11
自分の足りないところが、たくさん書かれていた。
看取りだけじゃない、子育てや人とのつきあいにも、そのまま通じる、人との関わり方なんだと思った。投稿日:2020.09.27
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